第三話 例の本
ここで例の本についておさらいをしておこう。
見た目はハードカバーの本で割と分厚い。全体的に古ぼけているが、本としての強度は悪くなさそうに見える。少なくとも中の紙が自然に破けたりすることはないだろう。
まず、表紙はボーナス補正選択の時に書かれていた文字が消えていて何も書かれていない。
同じく裏表紙にも何も書かれていない。表紙の裏の見返しにも何も書かれていない。
一ページ目には、横書きで氏名/年齢/性別/生年月日/各種ステータス/状態/種族/職業/所持ゴールドなどの、おそらく俺に関する個人情報が書かれている。
名前はソラ・サンとなっていた。当然本名ではないし、俺が考えた名前でもない。年齢は元の世界と同じ二十歳。性別も同じく男。ちなみに職業は無職だ。
ニートはかっこ悪いし、レイブルってのも寒いからまあいいんだけどね。改めて今の自分は、住所不定無職(20)という犯罪者っぽい肩書きだと思い知らされる。なんで自分の個人情報を見て精神的にダメージを受けなきゃならんのだ。
二ページ目には、装備品表示らしき欄が設けられている。
『腕:布の服 胴:布の服 腰:布のズボン/布の下着 脚:布のズボン 足:皮の靴』
と、表示されていた。なんか無駄に細かいな。腕とか脚とか省略していいだろ。
隣の三ページ目には、アイテム欄らしきスペース。なぜ装備欄だとかアイテム欄だとかがわかるのかというと、ページの一番上に横書きでそう書かれてるからだ。
めくって四ページ目には、魔法欄。今使える魔法は、
『スモールファイヤー
スモールウォーター
スモールソイル
スモールウインド
スモールメタル
スモールサンダー
スモールサウンド
スモールアイス
スモールポイズン』
火/水/土/風/金/雷/音/氷/毒/光/闇/時が地味に色分けされて書かれている。他のページは白黒なのにこのページだけカラーだ。
あと、この本は全体的に文字が小さい。本はそこまで大きくないのに一ページに情報を詰め込んでいるせいだろう。
魔法欄の隣の五ページ目は完全な空白である。ただ、いろいろと弄ってるうちに判明したのが、四ページの魔法が書かれてる文字に触れると、隣の五ページ目に詳細が表示される。なるほど、そういうことか。五ページ目は魔法の詳細説明欄らしい。
六ページ目は、召喚獣の欄で、多分七ページの空白ページは召喚獣の詳細説明欄だろう。
それ以降のページにもなんやかんや書いてあったり、空白だったりするが、さらっと流す。クエストだの、モンスター討伐数だのそんな感じのやつだ。
そして、本の最後の方はヘルプになっていてFAQもあったが、小さな文字でつらつらと書かれているので読む気が失せた。