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ディヴァイン・アーカイブ~罪の影を斬り、黎明を呼ぶ者~  作者: するめ


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第6話 白色の閃光・銀の流体

「……行きます、マスター!」

「来なさい……駄犬」


その言葉を合図に、俺は自身を人間たらしめている形の維持を放棄した。


武器を持たない左手と、両足の皮膚をドロリと融解させる。


両足は爆発的なバネとして機能させるべく、銀の流体を極限まで圧縮し、凄まじい反発力を溜め込む。そして、その圧縮が完了するコンマ数秒の間に、液状化した左手を無数の鋭い三角錐へと変形、回転させ、空中に展開。蛍めがけて散弾のように連続発射した。


「……浅知恵ね」


蛍は表情一つ変えず、飛来する銀の凶弾を木剣で片手間にはじき落としていく。


(なんで、鉄よりも固くした物質を木剣で弾けるんだよ……だが、それでいい。目眩しとしては十分だ)


最後の一発を撃ち出したと同時――俺は極限まで圧縮した両足の銀を一気に解放した。


――ドンッ!!!


床が陥没し、俺の身体が砲弾のように弾け飛んだ。


木剣の身体強化に、ネフェリアの異常な推進力を掛け合わせた一撃。60キロなんてあくびの出る速度じゃない、時速数百キロにも及ぶ、視認すら困難な神速の突進。


周囲の景色が線のようにブレる中、俺の握る木剣が、吸い込まれるように蛍の細い首筋めがけて迫る。


入った――! そう確信した、次の瞬間。


――ガギィィィィンッッ!!!


鼓膜を劈くような轟音と共に、俺の突撃は蛍の木剣に阻まれていた。


(いつ、軌道上に木剣を置いた!?視界はブレていても認識はできていた……この人は何から何まで規格外なのか!!)


「速度は合格。でも、力が直進的すぎるわ。ただの速いだけの暴力なんて、実戦では的になるだけよ」


至近距離で交錯する視線、蛍の瞳には、一切の動揺がない。

直後、俺の身体が力が抜けたように落ち始める。


(なっ!?……いや違う、足を掛けられたのか!!)


体勢を崩された隙に、木剣の柄部分が俺の鳩尾を正確に撃ち抜いた。


「ガハッ……!」


俺の身体は、先ほど自分で生み出した速度と同じ勢いで後方へと吹き飛ばされ、訓練室の分厚い壁に深々と叩きつけられた。


ガラガラと崩れる瓦礫の中、ぐちゃぐちゃになった**肉体を**無理やり繋ぎ止める。


「……ゲホッ、マジで理不尽すぎだろ……」


壁の瓦礫に埋もれながら、体を無理やり繋ぎ合わせようと意識を集中させた、その瞬間。


――ゾワリ、と。

俺の全身を、心臓の鼓動すら凍りつくような強烈な悪寒が覆い尽くした。


思考よりも先に、本能が警鐘を鳴らす。俺は咄嗟に身体を捻り、その場から横へと大きく飛び退いた。


その直後、先ほどまで俺の頭があった空間を、空気を焼き切るような鋭い音と共に白色の閃光が走り抜けた。


――ドォォンッ!!!


背後で鼓膜を破るような轟音が爆ぜ、凄まじい衝撃波が訓練室の空気を震わせた。

振り返ると、特務防衛局の分厚い強化壁が、すり鉢状に大きく抉り取られ、粉々になって崩れ落ちていた。


「は……? 嘘だろ……」


蛍は、人間の肉体と身体強化の魔術のみで、白い閃光と化して一直線に俺へと突っ込んできていたのだ。


「今のは殺す気だったろ!!」


「誰が休んでいいと言ったの?」


舞い上がる粉塵の向こう側。

蛍は、今しがた壁を粉砕した木剣を静かに下段に構え直し、氷のような瞳で俺を見透かしていた。


「再生する隙を与えるほど、私は甘くないわ。……私に一撃入れるまで、あなたの訓練は終わらないと思いなさい」


一切の手加減なし。本気で殺しにきている。


(まともに打ち合っても、あの速度と技術には今は絶対勝てない)


床に飛び散り、回収したばかりの銀の流体を体内で循環させながら、俺は冷静に蛍の動きを分析する。俺がこの木剣で蛍の剣を弾こうとしても、その軌道を完全に予測され、逆に弾き返される。


(あの木剣を止められれば……)


俺は体内の銀の流体を、再び全身の筋肉と骨格に圧縮・結合させた。

だが、今度は圧縮する箇所を複数に分ける。両腕、両足、そして背中。

そして、その銀の流体で、手に持った木剣を覆うように鞘を形作らせた。木剣を、銀の鞘に収納した状態にする。


「木剣は刀ほど抜刀術には向いていないわ、どうするつもり?」


「こうするんですよっ!!」


俺はニヤリと口角を上げると、蛍めがけて木剣を振るった。と同時に、木剣を覆っていた銀の鞘を木剣の先端へと集中させ、接続。


そして、腕の圧縮を振る方向に合わせて爆発させながら、銀の鞘を柔軟な鞭へと変質、木剣を柄として鞭のようにしならせて攻撃した。


木剣の先端から伸びる銀の鞭が、不規則な軌道を描きながら、蛍の首筋へと、音を置き去りにする超高速で襲いかかる。一瞬、不意を突かれたような顔をした蛍はわずかに口角が上がったような気がした。


「なら、こうするだけよ」


蛍は、まっすぐ突進してきた。

ただ、先ほどの白色の閃光と錯覚するほどの速度より、さらに速い。極限だと思っていた速度を、彼女は笑いながらもう一段階引き上げたのだ。


「……ッ!? なんだその速さ……!!」


鞭が不規則に空間を叩き据え、彼女を捕獲するよりも速く。

蛍は、自身の木剣にわざと銀の鞭を絡ませながら、猛烈な突進をしてきたのだ。


ピンと張り詰めた銀の鞭に引かれ、逆に俺の体勢が前のめりに崩される。


(懐に潜り込まれたが、それは予測していた……このまま流体を俺に接続し、硬化させる!!!)


俺の右腕と蛍の木剣が、強靭な銀の鞭によって完全に固定され、至近距離で互いの動きがピタリと止まった。


「……ッ!! 剣そのものを止めに来たのね!!」

「これならァァ!!」


腕が塞がっているなら、別の場所を使えばいい。人間の形にこだわる必要などない。

俺は自身の胴体を構成している銀の流体の一部を瞬時に圧縮し、鋭利な槍へと変形させ、ゼロ距離から蛍の首筋めがけて直接発射した。


人体の構造を完全に無視した奇襲。

 入った――! そう確信した。


「なら、手を離せばいいだけよ」


蛍はしゃがみこみ、槍を回避した。


しゃがみ込んだ蛍の身体が、圧縮されたバネのように弾けた。

槍を回避したその滑らかな動作を一切殺さず、彼女は下から跳ね上がるような鋭い蹴りを放ったのだ。デバイスを捨てた直後の、純粋な人間の極限の体捌き。


「ガッ……!?」


――ズガァァァンッッ!!!


鼓膜を劈くような轟音と共に、俺の意識は途切れた。

主人公の能力って色々悪用できるんですよね.....

ちなみに技の元ネタわかる人いる?

1、圧縮ダッシュ

2、鞭のような剣

3、剣を話しての蹴り

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