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序章:歴史
かつての日本には妖怪と呼ばれるモノたちがいた。
隣人のようにそれらは人と共にあり、時には対立し、時には寄り添い、時には恐怖を与え、そんなふうに同じ時間を過ごしていた。
しかしそれも遥か昔のお話。
人間たちの社会が豊かになるにつれて、妖怪たちは気付いてしまったのだ。
妖怪と人間。
互いに住む世界が違う、という当たり前のことに。
そう思うには様々なことがあった。
ここでは割愛するが、それ故に、妖怪たちは自らひっそりと自分たちの世界に帰り、人間たちの前から姿を消すことを選んだ。
身を引いた妖怪は、人間たちにとって見えないものとなり、やがて過去の産物となった。
しかし、人間たちにとって過去の産物になったからと言って妖怪の存在が消えるわけではない。
妖怪たちは今も人間たちの世界の隣で生きている。
決して交わることはないが確かに存在しているのだ。
気付けば、妖怪たちにとっても人間と言う生き物が過去の産物になるくらいの時が経っていた。
人間という進化し発展する生き物と世界を隔てた不変で種族の縄張り意識の強い妖怪の世界。
これは、そんな妖怪たちの世界の変わらぬ味に、とある世界で生まれた食を妖怪たちに気まぐれに提供する一人の妖怪の話である。
もっとも、それがどこから来た味なのかを語る者はいないのだが。




