第6話 二匹の亡霊
長い長い時が過ぎ、街にはあるうわさが流れていました。
村人A「ああー!今月も金欠だよおおおおお。誰かお金貸してくれえええ」
村人B「ダメだ。どうせ、博打にでも使い込んだんだろ。お前の自業自得だ(笑)」
村人A「んなこと言うなよおおおおお」
村人C「……」
村人A「あ!思い出した。お前ら、街はずれの草原に浮かぶ小屋って知っているか?!」
村人B「あー、行ったことはないが聞いたことはある。その小屋がどうかしたのか」
村人A「そこには一人の青年が住んでいたんだが、だいぶ前に居なくなってしまったんだ」
村人B「どうでもいい話だな。そいつは、どうせ旅にでも出たんだろう」
村人A「いやいやいやいや!それがさあ、良くないんだよ。住む人がいなくなったせいなのか、最近あの辺り野犬が出るようになったんだ。近くまで行った人は、二匹の野犬を見たんだそうだ。野犬だからさ、嚙まれたら病気になるって、気味が悪がって、誰も近づきやしねえ」
村人C「…なら近づかなきゃ良いんじゃないか?」
村人A「それがよお、あの辺でしか採れない花があるらしいんだ。売れば結構金になるらしくてな」
村人B「ほーう」
村人A「でさ、提案があるんだ。お前ら二人と俺の三人、協力すればうまいこと犬を引き付けて、その花をたんまり回収できるn」
村人C「却下っ!」
村人A「…」
村人B「はい、解散解散ー(笑)」
村人A「ちょっ!ちょっとおおお。二人とも待ってくれよおおお!マジでお金ないんだってえええええ」
二匹の犬は今もずっと、空中に浮かぶ小屋と、その周りに咲くツキヨビジンを守っているそうです。
誰かの帰りを待つように。
―おわり―