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第5話 独りになった青年
青年はビーを連れて、老人の家を訪ねました。
チャイムを鳴らしても返事はありません。
「ビーにビギ―を会わせてあげて欲しい。
ビーはビギ―に会えないのが哀しくて、元気がないんだ。
僕だとビーを元気づけることができなんだ。
僕は会えなくたって良い。
ビーとも会えなくなって良い。
ビーをあなたにあげるから、ビーとビギ―を一緒にさせて欲しい」
青年がそう言って、ドアの前で待っていると、ドアが静かに開きました。
「わかったよ。
私も怒りすぎてしまったと思っている。
君の言葉に免じて、許してあげよう。
でも、その言葉通り、ビーだけ置いていくんだ。
いいな」
老人はそう言うと、両手を差し出しました。
青年はその手にビーを乗せました。
ビーには何が起きているのか、わかっていません。
「ビー。
ここで幸せになるんだ。
僕はもう会えないけれど、これからはビギ―と老人が傍にいてくれる。
……。
…。
今まで一緒にいてくれて、ありがとう
君と過ごした時間はとっても幸せだったよ」
言い残した青年は、空中に浮かぶ小屋に帰っていきました。
そうして青年は独りになりました。