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第3話 一つの幸せ
小屋は再び、一人と一匹だけの世界となりました。
青年は仕事に行き、帰ってくるとビーと遊ぶ、そんないつも通りの日常を過ごしました。
青年は、これで良いのだと思ってました。
でもビーは、そうではありませんでした。
ビギ―という親友を得たビーにとって、ビギ―と会えなくなるということは、とてつもなく哀しいことだったのです。
ビギ―と会えなくなってからというもの、ビーは日に日に顔が暗くなって、元気が無くなりました。
青年は悩んだ末、あることを思いつきました。
(ビーと一緒に街に出かけよう)
青年は休みの日にビーと一緒に街に行きました。
街に出たことがないビーにとって、街の景色は新鮮で、心を奪われるものでした。
初めての露店、初めての大道芸、初めての人混み、あらゆるものがビーにとっての思い出となりました。
朝から晩まで街で楽しんだ一人と一匹は、幸せな思い出を胸に、住んでいる小屋に帰りました。