第2話 老人とビギ―
いつものように青年は、遊びに来たビギ―を小屋に入れてあげて、二匹は遊んでいました。
小屋は空中に浮かんでいて、二匹が落ちてしまうと危ないので、青年は常に集中して見守っていました。
しかし、いくら集中していても、人である限り隙はあるし、気が抜けてしまうものです。
青年がよそ見をしている時に、ビギーが小屋から地上へ落下してしまいました。
青年は慌てて地上に降り、ビギ―の様子を見ました。
ビギ―は大けがを負っていました。
(病院へ連れて行かないと……!)
そう思った青年は、すぐさまビーと一緒にビギ―を街の病院に連れて行きました。
青年が急いで病院に連れて行った甲斐あって、ビギ―は一命を取り留めました。
でも青年は大きなものを失いました。
それは老人からの信用です。
ビギ―の怪我の原因を知った老人は、青年をこれでもかと怒りました。
「ビギ―は二度とお前に預けないぞ。お前のビーと遊ばせてなるものか」
そう言うと、老人は去ってしまいました。
それからというもの老人は、ビギ―の身を案じて、ビギ―と一緒に引きこもる様になってしまいました。
もちろん青年は、すぐに謝りました。
老人が引きこもってからも、何度も、何度も、許してもらえるように必死に謝りに行きました。
雨の日も、風の強い日も、謝りに行きました。
それでも老人は許してくれませんでした。