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第86話「世界をめぐる」

「アル!いったぞ!」


振り向きざまにラクスが指示を出す。


「承知している」


ラクスの方を向かず、その豊満な……いやいや、強靭かつ柔らかな2つの……いやいや、その女性は魔物と対峙していた。その高身長に匹敵する長さの大剣は、通常の人間には振れるものではなかったが、アルザリオン(人型Ver.)には軽いものだった。大剣とは思えない速さで、目の前の魔物を次々と屠っていく。



「チッ……油断したな。毒をくらった。リリー、頼む」


「ほーい!どれどれ……」


リリーはラクスが見せた腕をさらりと滑るように触ると、毒も傷も一瞬で消えてしまった。



「あいつ……1匹だけ尋常じゃない速さだ。魔力を抑えて迷宮突破する予定だったけど……。魔王拳を使う」


ラクスがめんどくさそうに2人に話す。それを聞いていた2人も「どうぞ」と言わんばかりの顔だ。



「魔王拳!」


ドンッ!!!



恐ろしく速く動いていた階層ボスは、虫の魔物のようだった。ハチのような姿で、針はなくキバに毒があるらしい。目では追いつけないほどの速さで飛行し、通りすがりにちょっと傷つけ毒状態にする。毒消しを持っていないと徐々に毒が回り、最終的にとりまきの魔物にやられてしまうようだ。


この中央大陸南にあるランドアナ王国の迷宮では、30階が最下層だった。当然正規の手続きなど踏めないので、バルクロイド領の迷宮から転移してきたのだった。



魔王拳の魔圧に階層ボスが吹き飛ばされる。そのまま壁にぶつかって死んだようだった。複数アイテムと迷宮の根源がポップする。



(スピードと毒だけに特化した魔物だったということか……王妃様のときの魔物と似ている気がする。ランドアナ王国の階層ボスはことごとく虫系だったし……)



「よし、これでランドアナ王国の全ての迷宮はクリアだな。ここも同じように迷宮出口付近はランドアナ兵が大量にいるだろうから偵察は厳しいな。一旦帰って領主様に報告だ」


「はーい」

「承知した」




ラクスは2人を率いてやってきた転移魔方陣へと乗ると、バルクロイド領、北の迷宮へ飛んだ。








約1年前、バルクロイド領主マルクウェルは、ハロルドタウン南の迷宮で起こったことをラクスから報告された。10万を超えるという国同士の戦争並みの数に驚きを隠せなかったが、それ以上にそのほとんどをラクス1人で対処したことに、ラクスの危うさを感じていた。


(10万とは……しかもそのほとんどをラクスが。これは必ず噂が国内外へ届いてしまうな。徐々にヘラクレスと似たような境遇になりつつある。これは運命なのか?)




ちなみにリリーが倒した魔物はラクスが倒したことになっている。ラクスはアルザリオンから「主はユグドラシルに目をつけられている」という話しを聞き(世の中の悪意を引き受けるのは俺1人で十分)と出来る限りリリーを目立たせないようにしていた。





マルクウェルは「ユグドラシル」という単語も気にかかっていた。国の禁書には様々な歴史の事実が記載してあったが、ヘラクレスについての内容はあまりにも凄すぎて、正直話し半分だった。だが目の前にいるラクスは、ヘラクレスと同じような成長を遂げているように見える。



あまりにも強すぎたヘラクレスは各国から疎まれた。そしてついに計略により子どもと妻を誘拐・殺害される。それまで国の英雄であったヘラクレスだったがその日を境に突然姿をくらました。


次に報告があったのはヘラクレスがユグドラシルで発見されたか?と言う内容。その報告から数か月後、ユグドラシル付近で魔王が誕生。世界は、人類は、初の魔物との大戦を迎えることとなる。その中で魔王はもしかするとヘラクレスなのでは?という噂がたった。最終的に真実は分からないが、ヘラクレスが行方不明になった時期と魔王誕生場所の一致、フランクド王国には大戦中一切魔物が現れなかったこと、ヘラクレスの育ての親であるS級ランクの冒険者のみが魔王と対峙することが出来、その命を賭して魔王を討伐したと言われていること。


フランクド王国では人類に絶望したヘラクレスが、最後は心を取り戻して育ての親に自らを裁かせたのでは?という憶測もあったが、真実は分からない。






ユグドラシルとは何か?

それは世界中の人が知っている。世界最大の木だ。1本の木だが樹高は3,000mを誇り、国境からもある程度標高が高ければ空へ伸びる木を確認できる。自重で潰れないのか?と思うが、どうやら魔法の力で潰れないらしい。そしてそれは遠くから確認できるが、近づけば近づくほど何故か認知できなくなっていく。そこに木があっても分からないのだ。神聖ローズミール教国に住んでいる人々は、首都からある程度離れている場所に住んでいる人を除き、木があることに気づいていない。人々の意識としては「不思議な木」という以外に何もなかった。






だが近年の調査と今回のラクスの研究で、この木があの水を生み出している可能性、人々や魔物を操っている可能性が浮上してくる。




マルクウェルはバルクロイド領がこれ以上危険に晒されることを良しとしなかった。その解決方法を探っていたが、ラクスから提案を受ける。


「領主様、私に世界の迷宮を探索させてください」


「お前が直接動くと危険だと思うが……」


「ある情報を掴みまして。ユグドラシルという木がありますが、この木が私を狙っているというものです」



「!!!」

(まさか本当に!?ヘラクレスと同じことが起こる可能性が……)



「今回のハロルドタウン南の迷宮からの魔物は、私がそこにいたからではないかと考えています」


「なんだと?」


ラクスの話しにヘラクレスの禁書の内容を照らし合わせつつ、マルクウェルは急速に思考を回転させていく。

1話の文字数が長すぎるので、2000字~2500字程度にします。


仕事が忙しすぎてしばらく更新できませんm(__)m

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