第72話「転移魔方陣」
「やったぜ!」「やったわね!」
イエーイ!と2人でハイタッチしている。初見の地竜をほぼ2人で倒し切った。
「やったな!2人ともたった1日で物凄い成長できたと思うぞ。地竜だって2人で倒せたし」
「「いやいや」」
「ラクスいなかったら回復されてまた1からだったでしょ」
「そうだぜ、あの尻尾は厄介だったからな。」
地竜が地面に消えていく。チャリンチャリン♪ポンッポンッ!ボフッボボフッ!
「$金だ$」
「ラクスってそんな金に執着あったっけ?」
「何を言う。先立つものがないと困ることが多いだろう」
「そうよ!お金は大事よ!」
一目散に金めがけて走っていく。
「ひゃっほぅ!金貨5枚ゲットぉ!500万!……お!これはなんだ?」
マジックバックに入れていく。マジックバックに入れるとアイテム名が分かる。詳細は分からないが、名前からでも想像はできるから、ありがたい機能だ。
「……竜の牙ゲットー!こっちは?……地竜の革と爪!それからそれから?……ん?【中・38】階層の根源(10)?なんじゃこりゃ?分からん。で、最後に……おぉ!地竜の鎧!!!」
「地竜の鎧って凄いわね!防御力高そう!誰か使う人いる!?」
シーーン
「誰も使わんのかい!!!」
思わずラクスが突っ込む。
「戦士とか、使うならその辺よね?カリスは武闘家?だし、私は魔法使いだし、ラクスとリリーは変態魔法使いだし」
「変態ってなんじゃい!」
「お兄ちゃん、変態ってなに?」
「ドナー変な言葉を使うんじゃない。子どもの教育に悪いだろう」
「ねーねー、お兄ちゃん、変態ってなに?」
「ほら、気にし出したじゃないか。どうしてくれるんだ」
「リリーちゃん、変態ってのは間違えたわ。ラクスとリリーはものすんごい魔法使いって言いたかったの」
「ドナーさん、変態ってなに?」
「リリーちゃん、今は知らなくていいのよ。ほほほほほ……」
「ねぇお兄ちゃーんってば!」
「素晴らしいってことだよ」
適当にあしらったが、何か違うようなと首をかしげるリリーだった。
「その【中・38】階層の根源ってなんだ?(10)ってのは10階層のってことだよな?」
「あぁ、たぶんそうだと思う。【中・38】てのが全く意味が分からんが……ただこれが出るってことはこの階層のどこかに階段の他に………お!あの先じゃないか?」
ラクスが指をさすと、階段の先に奥へ行く道があり、その先が怪しく光っている。
「お?やっぱり魔方陣があるぞ。転移か?これは…どうするか………………うん、やっぱり俺が1人で試すのが正解だな」
「は?何言ってんだ?何が起こるか分からんだろう?危険だ。やめたほうがいい」
「そうよ、危ないわ。転移魔方陣だったとしてどこへ行くかも分からないのよ?」
「2人が言う通り危険かもしれない。だけどそもそも、これは迷宮の調査だ。分からないことを調査しなきゃ意味がない。この中で一番対応力があるのは誰だ?」
「ラクスでしょうね」
「ラクスだ」
「……」
リリーは何も言えない。難しい話しで何を言っているのか良く分からなかった。
「もし転移の魔方陣で、俺が今から1時間以内に帰らない場合は迷宮を脱出しろ。3人なら1階層まで何も問題ない」
ラクスが魔方陣の中へ歩いていく。ボウッと魔方陣が光り出す。
『【中・38】階層の根源、10階層を確認』
「え?喋ったぞ?」
「ん?何も聞こえないわ」
「どうした?大丈夫か、ラクス?」
どうやら魔方陣の外には声が聞こえないらしい。俺の頭に響いてくる声とは全然違うので、これは魔方陣内にのみ聞こえる声のようだ。
『転移先を選んでください』
ブワッ!目の前に世界地図のような模様が映し出される。これは全ての大陸の迷宮の位置だろうか。【中・38】というのは、中央大陸の38番目の迷宮ということみたいだ。この場所は【中・38】(10)と書いてある。
(これは……すごいな。世界各地に瞬間移動できるのかもしれない。お!ここの場所だけ【中・38】(1)も選択できる。【北・1】(2)って2階層ってこと!?浅くない?他は大体20階層とか30階層だな……。お!バルクロイド領は北が(50)結構深いな。これってもしかして、同じレベルくらいの階層ってことじゃ……。北はみんな浅い。修羅の大陸だ。中央大陸の西南地域だけは迷宮がないのか?あの辺りはどこも行けないみたいだ)
ラクスが空中をまじまじと見ながら、キョロキョロしたり、ボーっとしているようにしか見えない3人は「大丈夫か」と心配していた。
(ちょっとバルクロイドの北に行ってみるか。もし帰れなくても飛んで帰れるし)
「【中・35】(50)へ!」
『転移先を確認。転移します』
ラクスはニコニコしながら3人へバイバイをする。瞬間ラクスが消えた。
「あ!お兄ちゃん!?どこ行ったの!?」
「あーリリーちゃん、ラクスは転移したんだ。別の場所に」
「別の場所ってどこ?」
「うーんとね、ちょっとそれが分からないんだ。でもニコニコしながら手を振ってたから、大丈夫じゃないかな?」
「1時間で帰らない時は先に迷宮を脱出してって言ってたから、とにかく今は待ちましょう」
「……うん」
「大丈夫よ、リリーちゃん。お兄ちゃんは変態的に強いから」
「素晴らしく強いってこと?」
「……そう…だよ」
ーーーみつけたーーー
ラクスが転移した先は、南の迷宮の転移元と同じような場所だった。
(あー似たような場所だ。一回出てもう一回入ったら戻れるのかな?)
魔方陣を出て再度入ってみる。何も反応が無い。
「マジか……やっぱり飛んで帰るしかない……」
トボトボと歩いていると、目の前に炎を纏った竜がいた。目が合う。竜は驚いたような表情を見せ立ち上がった。
『まさか転移して来たのか?』
「うわっ!魔物が喋った!!!」
『なんだ、喋る魔物が珍しいか?』
「あなたは火竜なんですか?」
『フッ、まぁそうだな。お前は人間か?と聞いているようなものじゃが……』
「私はラクスと言います。あなたの名前は何ですか?」
『何だ?ワシと喋りにきたのか?お前の目的はワシの根源じゃろう?』
「根源?あぁ、転移するための?いえ、帰ろうと思えば飛んで帰るので絶対必要ではありません」
『変な人間だな。ラクスと言ったか。ワシは火竜ドレイク。この場所を守っている』
「そうですか、話せてとても楽しかったです。仲間が待ってますので帰ろうと思いますが、ここ50階層ですよね?ちょっと長いなぁ……」
『ワシを倒せば良かろう?』
「うーん、私は会話が成立する者とはあまり戦いたくありません。弱い物いじめも嫌いですし」
『……そうか、ワシよりお前の方が強いと言いたいのじゃな……そうか!面白いぞ!人間のラクス!!!』
火竜ドレイクが前足でいきなり攻撃してきた。何すんだという感じで、ラクスが瞬時に火竜の後方へ移動する。ドレイクは目で追いついて行けない。だが魔力を感知したようで、回避先のラクスを発見する。
『どうやら嘘ではなさそうじゃ』
(喋り方からして随分老齢の火竜みたいだな。竜って戦いが好きなのかな?かなり好戦的だし……まぁ失礼の無いようちょっと本気出すか)
「魔王拳!」
『むっ!?ぐっ……な、なんじゃ!?魔力が……』
ラクスが真正面から恐ろしい速さで突っ込んでくる。それを見た火竜はブレスを吐いた。ラクスが横っ飛びし、がら空きの顔をぶん殴る。
ドガッ!
『ぐあっ!!』
「あっつー!!!」
体を覆う炎で殴ったラクスもダメージを食らった。
「あっつー!火傷した。ふーっ!ふーっ!」
火竜はまた信じられないという顔をしている。
『いったー……ワシを殴るなんて何考えてとるんじゃ。と言うかその魔力の嵐……お前はまさか……あー……えー……なんじゃったかの……何とかって奴じゃないか!?』
「何とかって何だよ」
『あのー……ヘル、ヘラる、ヘークラス、ラクレス……ヘラクレス!!!』
「なんでその名前を!?」




