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第53話「フランクド王」

(ラミアーナっていったい誰だよ!?)


ラクスはプンスカ怒っていた。いつの間にか国王と会うことになっており、いつの間にか婚約させられている。


(前世では考えられない、逃げてやろうか……いや……あぁどうせ逃げられない……)



「ラクス、娘のラミアーナだ」

「え?」(来てんのかい!!!)


「は、はじめ…まして……わたくしラミアーナ・フォン・バルクロイドともうし…ます。あ、あの……ラクス様でしたら、ラミアと呼んでいただいて結構です……」


「…………」

(なんてこった……超絶かわいい……これが俺の嫁?あ、いや。婚約者?すぐに結婚しよう、そうしよう)



「あ……ふぁ、はじめまして、ラクスと申します。もうすぐ11歳です」

「うふふ……わたくしが1つ上ですわね」(●´ω`●)


ズドーン!!!!と雷に打たれたような衝撃を受けた。前世では女っ気が全くなく死亡した。絶世の美女がこちらを向いて微笑んでいる。クリストフの娘とは思えないほどだ。クリストフの顔と見比べる。



(いや、パーツはどことなく似てるか、クリストフ様もイケメンだったわ、そう言えば)





「大変だったんだよ。君があまりにも優秀過ぎるから、軍の報告を改竄できなくてね。1人で500の魔物を倒した。調書からその中の一体はAランク指定の危険種のオーガ。空を飛べる唯一無二の人間。」



(オーガ?村で倒せなかったやつ?確かに鬼風ではあったけど……オーガはリリーが……)

と言おうと思ったところで口を噤んだ。

(リリーの才能までひけらかしてしまうと、この人たちが何をするか分からない。こういうのは俺一人で十分だ)



「改竄できないのがどう大変なんですか?」

「どうって、軍部情報は全て国王様の耳に入るよね?そんな優秀な、いや超天才児をバルクロイドは隠していたのかっていう話しさ。そんな天才は王都にいるべきじゃないかって」

「え?私は王都行きなんですか?嫌です」

「だから大変だって話しなんだよ。君の考えは十分に尊重したいし、領として君を手放すわけにはいかない。いろんな策を練ってみたが、貴族と婚約してしまえば問題解決という結論になった」



「それでつまり?」

「ん。この国の貴族はね、男女関係なく、婚約後結婚すると爵位序列の高い方の領地へ嫁ぐことになるんだ。爵位が同じなら話し合いで。つまり君の場合はラミアーナに嫁ぐことになるってことだよ」

「お婿さんなのか………ラクス・フォン・バルクロイドになっちゃうのか」

「そうだね。結婚したらそうなるね。婚約ってのは結婚がほぼ確定的なことなんだ。だいたい10歳前後で決まる。婚約ってのは君を王都に取られない策ってことさ。国王様でもこの決まりは破れない」




「あーなるほど。でもそれでこんな可愛い女の子に……っ」

(しまった、普通に可愛いとか言ってしまった)


「!!!ラクス様ったらぁ、可愛いだなんてぇ」バシバシ!

「あたたた」(何か既視感だ。母さんの反応に似ている気がする)




「うんうん、ラクスもラミアもお互い気に入ってくれたようで良かった。まぁラミアは君が来てからずっと思い続けていたようで、別の婚約の話しもあったけどラクスじゃないと嫌だって聞かなくて……」

「お父様!!それを言ったら………」

チラッとラクスを見て顔が真っ赤になるラミアだった。侍女を連れ、「キャーッ」と言いながらピューっと逃げて行った。



「なんてメンコイ子だぁ……」

「めんこ……い?なんの言葉だい?」

「いえ、こちらの話です」



「それでね、これからいろいろ準備があるからついてきて」

「はぁ……はい」




それから礼服なるものを着せられ、髪をセットされ、いい匂いを降り注がれ、謁見する際の礼儀を徹底的に仕込まれた。

(この前学校の服の採寸だと言っていたのはこれのためだったのか!?……おのれ、辺境伯様め)



王の前に行くときはクリストフ様の後に続けば良いとのことで、ラミアもラクスの手に引かれていくとのこと。手を繋がないといけない。



練習でちょんと手があたると、小さな声で「キャッ」と言うのでラミアを見ると、また顔を真っ赤にして恥じらいを見せる。

(なんだよ、こっちが恥ずかしくなるじゃないか。もう俺の嫁なんだから……今夜どうデスカ?)

グイグイ引っ張ると、「ィヤァ……ラクス様……カッコいい……」とか聞こえる。王様の前では同じようにならないでほしい。





あっと言う間に時間が過ぎていき、国王様と謁見する時間となった。

「国王様は……何というか、その、ちょっと変わってるからね。普通の王様ではない。気楽にするといいよ」

クリストフ様が言う意味が分からなかったが、ラクスが考えているイメージ全く違うと言いたいのだろう。王様と言えば髭を生やしたおじいさんで、王冠をかぶり、赤いふわふわのマントを着ているイメージだ。指には宝石がある。




「それではこちらからお入りください」

立派な鎧を着た王都兵の方から案内され、クリストフ様・ラクス・ラミアは玉座の間へ入っていく。立派な椅子が奥にある。ここに王様がくるのかと考えていると、クリストフ様が止まり片膝を付け頭を下げる。

(おっとっと、俺もしなきゃ)

ラクスも続けて同じ姿勢へ。ラミアは手を握りつつ、片足を下げ、反対の足の膝を折り、腰を低くして頭を下げた。キャーと言わなくて良かった。



誰かが入ってきた。

(うお!魔力強い!)

「アレクサンドル・フォン・フランクド国王である」

「面を上げよ」



「王よ、またこうして言葉を交わせるとは、嬉しい限りです」

「うむ。クリス、元気そうだな。マルクも……どうせあいつはいつも元気か。相変わらず頭堅いか?」

「は。いえ、相変わらずな部分もございますが、最近は少し変化も感じでおります」



「普通に話せよ、クリス。かたっ苦しくてしょうがないわ」


「……はは、アレク王も相変わらずですね」

「なんじゃい、アレク王って気持ち悪い」

「いや、王だから仕方ないじゃないですか」

「ま、そうだったわ。で?そっちの子どもがラクスと言うのか?」



「ラクス、話して良いよ」

「は、はい。陛下の御前に立つ栄誉、身に余る光栄にございます」

「どこで覚えたんだ、そんな言葉は。意味の分からん言葉は無用だ。おいラクス、お前ちょっとワシと一戦交えんか?」


「は……え?」



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