第16話「名言」
村長宅から帰ってきて、母さんにいろいろ説明する父さんはしばらくしどろもどろだった。母さんの圧が強すぎて「いや…その…」ばっかりだったが、意を決したように
「子どもたちのためなんだ!そして村のためでもある!……」
そこからは父さんのターンだった。ずっと父さんのターン。父さんの考えで母さんを諭していく。そんな母さんは父さんをポーッとした顔で見つめていた。その夜二人は結ばれていた。母さんはきっと強い父さんでいる時が好きなんだなぁ。弟か妹ができるかもしれない。早く寝よう。
それから5日が経過した日。
村長からの呼びかけで以前僕が魔法を使った大きな木のある前に村の子どもたちが集まった。1/3ほどえぐれていたはずの木は、なぜかほぼ元通りである。
(え?なにこれ怖い。木も魔物とかないよね……木の回復力凄すぎ)
パッと見、5歳くらいから18歳くらいまでの子どもたちが30人くらいいる。小さな子たちには親も一緒についてきていた。
事前に村長には「魔法授業のカリキュラムマネジメントは僕の考えた通りに行います」と伝えており、
「カリキュ…マネジン…?なんじゃそりゃ、魔法のことはお主に全部任せるわい」と一任された。
「皆、親から聞いておるじゃろうが、今日から毎日魔法の練習をしてもらう。師は知っておろうがラクスじゃ」
小さい子どもたちは「おぉ~」と期待の声が上がる。大きい子どもたちの一部からは「なんでこんなガキに」と蔑むような目線が向けられた。
僕は笑顔で木に向かって軽く空気砲を打つ。
ドゴン!!!
「ヒィィイイ」と大きな子どもたちから奇声があがった。
「うわぁ!!!」と小さな子供たちから歓声があがった。
「さて皆さんに魔法を教えていきますが、このように攻撃魔法は人に向けると非常に危険です。
ですのでまず皆さんには生活魔法の応用から始めていきたいと思います。」
先ほどまでキラキラしていた小さな子は更にキラキラと。大きな子は「こいつはヤバイが凄い力だ」と少しキラキラし始めた。
「まずは魔力総量が増えないことには話になりません。皆、生活魔法は使えますか?」
と聞くと、
「なめんなよ、一通りできるぜ」
と大きい子が出てきた。サムという名前の15歳の子だ。
サムは呪文を唱えると、全属性の生活魔法をだした。
「素晴らしい、ありがとうございます。ではこの属性の中で苦手…疲れるのはありますか?」
「ん~?土かな?」
「分かりました、ではその苦手な魔法を中心に毎日寝ながら放出し続けてください。ベッドの横に容器を置いて」
「え?それだけ?」
「そうです。寝ながらなら魔力枯渇を起こして気絶しても問題なし!
ただし、火の魔法はダメです。火事になっちゃいますからね。火が苦手なら、2番目に苦手な魔法を使ってください」
周りから「魔力枯渇…?気絶って大丈夫かよ…」という声も漏れてくる。
「大丈夫です。魔力枯渇からの魔力回復で総量が増えると私自身で人体実験済みです」
「なんで苦手な魔法を出すの?得意な方が長く生活魔法出せるよ?」
17歳のかわいいお姉さんラミアさんからの質問だ。
「良い質問ですね!苦手な方が早く魔力枯渇を起こすので効率が良いのです。慣れてきたら最後に得意な生活魔法で気絶ギリギリまで振り絞ってください。」
大きな子達は「とにかくやってみるか」と言った感じで、やる気になってくれたようだ。
(やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ。人材育成の名言だな。)
その日は小さな子たち一人一人の適性と、寝る前のルーティンについて詳しく伝え、小さな子の親には
気絶するかもしれないが寝ているのと一緒だから大丈夫ですと説明した。
村長からある程度内容を聞かされていた親たちは、大丈夫なのかと心配しつつも村のため、子供のためと家路につくのであった。




