院長室
会議から2日が過ぎ、蘭と一緒に化野病院の院長室を訪れた。
「父さん、連絡した件について聞きに来ました」
「伊波くんの件だったね。彼は鷹野病院で医師をしているよ」
五十嵐先生は伊波と学会や会食で何度か会ったことがあるらしい。
「変な噂とか聞いたことないの?」
「特段ないな。ただ、歳の割には達観している印象だね」
百合の資料では20代後半との記載があった。
達観しているか...
「ありがとう、この資料はもらっていきます。じゃあ、私は先に行ってるわね」
蘭は資料を持って院長室を出た。
気を利かせてくれたのだろう。
「結ちゃんは元気かい?」
「はい、元気にやってます」
結は私の双子の妹。
5年前まで化野病院に入院していたが、今はBAKUに入隊し救護班で頑張っている。
「それはよかった。さて相談事を聞こうか」
結のことも尋ねてくれる五十嵐先生。
現名家の当主の中で最も接しやすい人である。
「先生。仮にですが、契約している魘魔の力が強くなることはありますか?」
「ほう...あまり聞いたことがないな。可能性としてはかなり低いと思うよ」
やはり脳のスペシャリストでも聞いたことがないか...
「そうですよね...」
「何かあったのかね?」
「隊員の強化のヒントになるかと思いまして...お忙しいのにありがとうございました」
何か聞かれる前にお礼を言ってから院長室を出た。
我ながら苦し紛れの言い訳だった。
きっと嘘だと言うこともバレているだろう。
病院を出て我らが師匠の元へ向かった。




