休みの終わり
◇◇◇
警官から逃げて特攻支部までタクシーを飛ばした。
ナイトメアの壊滅から5年の月日が経った。
BAKUの入団者も年々増え、特攻支部も新しく生まれ変わる予定だ。
「あれ香織?今日休みじゃなかったっけ」
大陽を連れて幹部室に入ると風真がいた。
七尾風真、現在22歳。
5年前から背も伸び、あどけなさが消えて立派な成人男性になった。
「風真、大陽の相手お願い」
「え⁉︎ちょっ、」
風真の戸惑う声が聞こえたが、大陽を置いて部屋を出る。
休みなのに支部に来た目的は幹部室じゃない。
自動ドアを通ると一瞬静かになり視線が私に集まる。
「香織、ここー」
電子画面に囲まれた席からヒラヒラと振られた手が見えた。
「さっきのどういうこと?」
「そのまんまの意味」
手が見えた席へ向かいながら会話を続けた。
橘百合
特攻部の誇る敏腕ナビゲーター
タクシーの中から暴走した山口にあった痣の写真を百合に送り、その返信を見て急遽支部に来た。
「調べてみたらヒットした」
多面のパソコン画面の中の1つに裏サイトが映し出される。
「裏サイトで売買されてる意識睡眠剤、通称“SS”。身体のどこかに痣が出来るのが特徴らしい」
別の画面には私が見たものと同じ痣の写真がたくさん出ている。
「意識睡眠剤を内服して意識がなくなり、空っぽの状態の身体を魘魔が乗っ取った...?」
「可能性はあるね。香織が来るまでに1人足がついた」
「ゔっ...」
2人で画面を睨みながら話し込んでいると突然、頭に激痛が走った。
「お前が全然休まないから大陽と外出させたんだが、なんで来てんだ?あぁ?」
後頭部が締められていく。
声からその人物は既に判明している。
「痛い!痛いです叶人さん⁉︎」
「痛くしてんだから当たり前だろ?」
如月叶人、25歳
第一師団の師団長
「ごめんなさい!もう帰ります!」
帰ると宣言した途端、後頭部から痛みが消えた。
禿げるかと思った...
女にも容赦ない...さすが“鬼の如月”と呼ばれているだけある。
百合も助けてくれないし。
これ以上ここにいると何をされるか分からないので、大陽を連れて特攻支部を後にした。
ファミレスに寄って、大陽を家まで送り届けると私の休日は終わりを告げた。




