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15話【お前が俺と同じ時間を生きていたなら…】

お昼を過ぎた頃、アビスとルティー王子は王家の秘蔵図書館に足を運んでいました。その図書館は、重厚な扉と壮麗な内装で飾られ、知識と叡智が詰まった数々の書物が収められていました。

アビスは王子に心を込めて語りかけ、王家の秘蔵の図書館に入る機会を手に入れました。

「王子殿下、貴重なお時間を割いて頂き、ありがとうございます。こちらの図書館には、王家の歴史や叡智が封じ込められています。皇室のみが閲覧可能なこの貴重な書物に触れることが、王家の使命を理解する上で不可欠ですので。」

アビスが王子に図書館に来た理由を尋ねると、王子はふんっと鼻で笑いました。「そんなこと言うな!お前が本を読みたかっただけだろう!」と王子がアビスの目論見を見抜きました。


アビスは王子の見抜かれたことに驚きながらも、素直に笑みを浮かべました。彼は王子の聡明さと洞察力を認め、敬意を示しました。「さすがだね、王子。君は人の考えを見透かすのが得意だな。しかし、その通りだ。本を読みたかった。」

王子が、アビスに向かって優しく微笑みながら言いました。「ほらな、アビス。お前の話はいつも回りくどくて長いからな。だから特別に、父上に閲覧許可を取ってやったんだ。」

アビスは王子の言葉に感謝の意を込めた微笑みを返しました。王子の理解と協力に心から感謝しながら、彼は図書館の扉を開けた。


アビスは図書館の棚から一冊の本を手に取りました。その表紙には「密書」と書かれており、彼は興味深げにその本を開いて中身を読み始めました。その中には他国の内部事情や政治的な陰謀が詳細に記されており、アビスはその情報をじっくりと吟味していました。


ページをめくる音が唯一響く中、アビスの眼差しはますます深みを増し、彼は他国の事情や可能性を熟考していました。このままの状況に留まるのか、それとも新たな場所や可能性を求めて移住するのか、彼の内なる葛藤や決断が図書館の静寂に包まれた空間で繰り広げられていました。


王子はアビスの行動を見て、心の中で懸念が募りました。図書館での彼の行動や興味深そうな表情、密書を読む姿勢から、アビスが他国への亡命を考えているのではないかという疑念が芽生えました。王子はアビスの心情や意図を読み取ろうとしましたが、彼の内に秘められた思惑を見抜くことは容易ではありませんでした。


王子はアビスに向かって、心の中で渦巻く疑問を口にしました。「アビス、他国へ亡命しようとしているのか?」彼の声には、深い不安と不信が滲み出ています。


アビスは王子の勘の鋭さに驚きましたが、同時に彼の洞察力にも感心しました。微笑みながら、アビスは王子の質問に対して緩やかに頷きました。「やるじゃないか。半分正解だ。」彼の声には軽い皮肉と賞賛が混ざり合い、その表情は王子の勘の鋭さを称賛していました。


王子はアビスの答えに少し驚愕しました。彼の目には驚きと興味が交錯し、口元からは微かな驚嘆の表情が浮かびました。その後、王子はさらに興味津々な表情でアビスを見つめました。


アビスは本を読み進めながら、自分には愛してやまない人がおり、その人がこの国の政治に利用されつつあることを王子に告げました。彼はその人が今後ますます政治的な利用を受ける可能性が高いことを懸念し、どうにかしてその状況を回避したいと考えていることを打ち明けました。

王子はアビスの言葉の裏に隠された真実を見抜きました。彼はアビスが心配している愛する人がアメリアであることを理解しました。その事実に気づいた王子は、深い思索に耽りながらアビスの話を聞き続けました。

アビスは王子に対して、この国が安全であれば滞在する予定であることを告げました。彼の言葉に王子は喜びを隠せず、彼の滞在が国にとっても喜ばしいことであることを示す笑顔を見せました。


そして次にアビスは王子に、閲覧許可をとってくれたお礼として、最近滅んだケイロス帝国に関する本を手渡しました。その本には、かつて栄華を誇っていた帝国の歴史や内情が記されており、王子は興味津々の様子で本を受け取りました。


王子とアビスは、図書館を後にして王城内を歩き始めました。夕日が西の空に沈み、夕闇が広がり始める中、二人は王城の庭園をゆっくりと歩きながら、ディナーの時間に備えていました。


王子はアビスに、図書館で手に入れた情報についての疑問をぶつけました。彼は驚きと興味深さを隠せず、「まさかとは思うが、本当にケイロス帝王は不老不死なのか?」と尋ねました。

王子の問いに、アビスは微笑みながら答えました。「本当です。ケイロス帝王は不老不死の力を持っています。その力によって、彼は長い間統治を続けてきました。」彼の言葉に王子は驚きを隠せず、深く考え込んでしまいました。

王子の好奇心はまだ尽きず、彼はアビスに向かって驚くべき質問を投げかけました。

「アビス、もしかして…あなたがケイロス帝王なのですか?」

その言葉にアビスは一瞬驚きを隠せませんでした。王子の洞察力に感心しながらも、彼は穏やかな笑顔を浮かべて答えました。

「そうだね、君の勘が正しい。私こそがケイロス帝王だよ。」


アビスはなぜか、幼い11歳の王子に対しても真実を語りました。彼は王子の好奇心や洞察力を尊重し、また彼に信頼を置いているようでした。その理由は、王子が成熟した考えを持ち、情報を適切に処理できると信じていたからかもしれません。


「ケイロス帝国が滅びた本当の理由な何ですか?だって貴方は帝王なのでしょう?」

王子の問いに対して、アビスは深いため息をつきました。彼は王子の目を見つめながら、ケイロス帝国が滅んだ真実を語り始めました。


「ケイロス帝国が滅んだ理由は複雑だ。それは単なる戦争や陰謀だけではない。」彼の声は静かで穏やかでありながら、その言葉には深い悲しみが込められていました。


王子の瞳には、強い好奇心と不安が交錯していました。彼はアビスに対して、黄金の都と称されたケイロス帝国が一夜にして滅んでしまった理由について熱心に尋ねました。


「なぜ、あの美しい黄金の都が、一夜にして滅んでしまったのですか?」王子の声は静かで、しかし熱い疑問が込められていました。「帝国がどんなに強大であったとしても、どうしてその栄華が一瞬にして消え去ったのか。私には理解できません。帝王としてのあなたの立場から、その真相を教えてください。」


アビスは静かに微笑みながら、王子に対して敬語をやめるように丁寧にお願いしました。「王子殿下、人目があるため、敬語を止めていただけますか?もしよろしければ、アビスと呼んでください。」

彼の言葉には、穏やかながらも断固とした態度が感じられました。

王子はアビスの言葉に対して、謝罪するような様子で「あぁ、そうか。悪かった」と言いました。

アビスは王子に微笑みながら、丁寧に言いました。「話せば長くなるので、また明日話しましょう。」

その言葉に、王子は頷きました。


アビスは自分が王子にここまで話してしまったことに少し呆れたように笑いました。彼は自分がこういう友人を求めていたことを思い返し、心の中で満足げな感情が芽生えました。


機嫌よく部屋に戻ったアビスは、アメリアの姿が見当たらないことに気付きました。怒りに満ちた表情で壁を一撃し、部屋が微かに揺れました。彼の心は不安と焦りで満ち溢れ、憎しみを抱きながら「またか」と呟きました。その声には怒りと失望が籠っていました。


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