表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様のサウナ ~神様修行がてらサウナ満喫生活始めました~  作者: イタズ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/182

アテンド

ダイコクとライルは魔物同盟国へと歩を進めていた。

ノンが同行している所為か、魔獣が近寄ってくる気配は全く無かった。

安全な旅路である。

ノンはマイペースに鼻歌を歌っている。

アニメのテーマソングだ。


「それでおじさんは神様なの?」

ノンが遠慮も無く話し掛ける。


「せや、なんで分かんねん?」

ダイコクは見抜かれたことに驚くと共にその観察眼に感心した。


「なんとなくねー」


「そうかい・・・」

ダイコクは聖獣の勘だと考えていたが実際は違う。

ノンはこれまでに何人もの神を見てきた為、その雰囲気で掴めており。

自身でも神気を纏った経験があるので感じることが出来ていたのだ。


「それで、その魔物同盟国とやらは後どれぐらいかかるんや?」


「そうだねー、もうすぐだよー」

ダイコクとライルは魔物達の一団に囲まれて、落ち着かない時間を過ごした。

安全であることに変わりは無いのだが。

魔獣の襲撃があったとしても、ノンがあっさり狩ってしまうのは容易に想像できていた。


ライルは終始ノンに及び腰だ。

完全にビビッている。

ノンからは一定の距離を保っている。

そんなライルの様子をダイコクは冷えた目線で眺めていた。


歩を進めること数時間。

ダイコクは魔物同盟国に近づくにつれて神気が濃くなっていることに違和感を覚えていた。

それと同時に自身に集まってくる神気に充足感を得ていた。

ダイコクはこんなに濃い神気を感じたのは何年ぶりなんだと、物思いに耽っている。

心と身体が満たされていく。

随分と久しぶりに感じる充実感だった。

このままここにいたい、そう想ってしまうほど満ち足りていた。


いよいよ魔物同盟国の入口付近に差し掛かっていた。

ダイコクとライルはあり得ない光景を目にしていた。

その瞳が大きく見開かれている。


二人は遠目に見える町並みに思わず腰を抜かしそうになっていた。

彼らの知りえる魔物達が到底造れるような街並みではない。

建物然り、石畳然り、街が整備されており清潔感に満ち溢れていた。

ダイコクはもしかしたらルイベントよりも文化レベルが高いかもしれないと考えていたぐらいだ。


もう驚かないと心に誓っていたが、あっさりと裏切られてしまっていた。

(何と完成度の高い街や・・・)

ライルは周りをキョロキョロと眺めており、ちょっとしたお上りさんみたいになっている。


そんな二人に構わずにノンが、

「魔物同盟国にようこそ!」

元気に挨拶をしていた。


「「「「いらっしゃいませ!!!」」」」

連れ立っていた魔物達も続く。


「お、おお・・・」


「あ、ああ・・・」

二人は挙動不審に狼狽えていた。

そしてゴブオクンから前もって聞いていたのだろう。

魔物同盟国の首領陣が入口で二人を出迎えた。

入口の脇に様々な魔物達が控えている。


「「「「「いらっしゃいませ!!!魔物同盟国にようこそ!!!」」」」」

ダイコクとライルは熱烈な歓迎を受けることになっていた。

二人は空いた口が塞がらなかった。




俺は今日は特にこれといってやることがなかった為、物足りないと感じている施設の梃入れを行うことにした。

まだまだ詰めが甘い所が多い。


何といっても先ずはサウナだ、というか外気浴場だ。

これまでは適当に椅子を並べていただけだったが、ちゃんとした外気浴場にすることにした。


まずは屋根付きの櫓を組んでみた。

大きさとしては三十メートル×三十メートルのサイズだ。

そしてアラクネの糸を使ってインフィニティーチェアーを二十台造った。

試しに座ってみる。

これは何とも素晴らしいフィット感だ。

横になるだけで整ってしまいそうだ。

ああ、サウナ島に持ち込みたい・・・

この棲み分けはいつまで続けようか?


そうこうしていると昼飯の時間になっていた。

作業に没頭すると時間の経過が早い。

分かって貰えるかな?


俺は定食屋に向かった。

今日の定食は焼きサバ定食だ。

今では漁船は三艘あり、追い込み漁なども行っている。

時々マグロも捕れることもある。

今ではツナマヨ丼の提供もされているぐらいだ。

魔物達はツナマヨが大好物だ。

特にマヨネーズが大好きみたいだ。


今朝の漁でサバが多く捕れた様だ。

昼飯を食べていると魔物達が近寄ってくる。

『知識の時間』の開始だ。


「島野様、教えて欲しいのですがいいでしょうか?」

一人のリザードマンが話し掛けてきた。


「いいぞ、どうした?」


「実は最近ビリヤードに嵌っているのですが、何か必勝法などはありませんでしょうか?」

リザードマンからの質問だ。


「必勝法か・・・そうだな、敢えて言うと狙った球を落とすことだけを考えているうちは素人だな」


「と言いますと?」

おっ!グイグイくるな。


「白球が狙いの球を落とすことだけじゃなくて、その後に何処に位置すれば次に狙う球を狙いやすくなるのか、そこを考えながらプレイしてみるということさ」


「なるほど・・・先を見越してということですね・・・」

リザードマンは頷いている。


「そうだ、どれだけ先を見越してプレイすることが出来るのか?これが必勝法だな」


「参考になります、ありがとうございます」

リザードマンは満足そうだ。


すると何やら騒がしくなってきた。

どうしたんだ?

ゴブオクンが突然駆けこんできた。


「島野様ー!大変だべー!」

大騒ぎだ。


ゴブオクンは俺の前にやってくると、

「島野様、遂に来ただべ!」

と叫んでいる。

ていうか、煩いなあ!


「落ち着けゴブオクン、何が来たんだ?」


「遂にお客様が来ただべよ!」

おおっ!

遂に第一お客様発見か!


「そうかよかったな、まずは俺じゃなくプルゴブ達首領陣に伝えに行けよな。そういう手筈じゃなかったか?」


「あっ!そうだったべ。じゃあ行くだべ!」

ゴブオクンは騒がしく立ち去っていった。

やれやれだ。

それにしても・・・どんな客が来たのかな?

ちょっと楽しみだな。

魔物同盟国を快く感じてくれるのなら嬉しいな。

さてさて、どうなることやら。

これは見ものだな・・・


お客の対応は既に魔物全員と話は重ねている。

シュミレーションはばっちりだ。

俺は高みの見物とさせていただこう。

後はソバル達に任せておけばいいだろう。


俺は娯楽場の拡幅でも行っておこう。

娯楽場に向かう事にした。

さて今日はどんな娯楽を造ろうかな?

ボードゲームなんてどうだろうか?・・・




儂は遂にこの時が来たのかと興奮を抑えることが出来なかった。

まだまだ発展途上中の魔物同盟国だが、儂らにとっては誇るべき国じゃ。

儂としてはもう国としての基礎は出来上がっていると考えておる。


始めは散々じゃったな。

島野様に出会い、儂は眼を醒ますことが出来た。

もうあのお方には足を向けて寝らねんのう。

島野様御一行には本当にお世話になっておる。

ここで島野様に恩返しがしたい。


格好の出番となったのう。

種族、上位種、そんなことはどうでもよいことじゃ。

儂が、否、儂らが求めるのは共存共栄を果たすこと。

島野様の教えに従い儂らは発展を遂げてきた。

この教えは尊い。

決して背くことは許されないし儂も許さない。


そして遂に始めてのお客様を迎えることになった。

魔物同盟国会議にて何度も議論を重ねた事項じゃ。

どうやっておもてなしをし、どうやって迎え入れるのか?


今後の魔物同盟国の目指す処は、魔物同盟国が他の国から認められる国になることじゃ。

自画自賛では意味が無い。

自他共に認められてこその国造りじゃ。

ここまでの道のりは決して楽ではなかったが、皆と協力して造り上げてきたのじゃ。


決して失敗は出来ない。

兄弟達も同様に考えておることじゃろう。

否、そう力を籠めることでも無かろう・・・

島野様曰く、いつも通りが一番いいということじゃった。

急いてはならん・・・

楽に行こう・・・


あれは・・・ノン様と・・・まさかダイコク様か?

何ということじゃ!

これはありがたい!

あの方ならば儂らの国を認めてくれるのは間違い無かろうて!

儂は好感触を得ることを確信してしまった。

全力でお迎えさせていただこう。


「「「「「いらっしゃいませ!!!魔物同盟国にようこそ!!!」」」」」

あれ?

ダイコク様は何でそんなに驚いておるんじゃ?

魔物の皆でお辞儀をして迎え入れた。

そうか、儂らが知力を得てこのようなもてなしをしておることに驚いておるのじゃな。

先ずは落ち着いて貰おうか。


儂はダイコク様の前に出た。

相変わらずそのデカい耳朶は健在じゃな。


「ダイコク様、ご無沙汰しております」

儂は頭を下げた。

ダイコク様は不思議がってこちらを見ていた。


「ご無沙汰やと?・・・お前もしかして・・・ソバルかいな?」


「へい!ソバルにてございます!」

儂は膝をついた。

名づけ親に対して当然の行為じゃ。

兄弟達も同様に跪こうとする者がいたが儂は止めた。

ダイコク様に跪くのは儂のみじゃ。

お前達にその必要はない。

ダイコク様に加護を頂いた訳ではないからのう。


「ソバル、自分随分と変わったやないか、ほんとにソバルかいな?」


「へい!ソバルにてございます!」


「ほんまか?・・・ソバル聞きたい事が山程あるで・・・」

儂がソバルであると分かったからか、ダイコク様は少し安心した表情をしておった。


「へい!そうかと存じます。先ずは儂らの国を案内させて貰えませんでしょうか?道すがら魔物同盟国の首領陣をご紹介させて頂きます。その後儂らを導いてくれた島野様をご紹介させて頂きます」


「先ずはその島野とやらに会わせてはくれんのか?」

当然そうくるわな、じゃがここは譲れん、例えダイコク様であったとしても。


「そうしたい処ですが、先ずは街を見て貰う様に島野様から仰せつかっておりますので、ご承知おきくださいますと幸いでございます」


「・・・そうかいな」

ダイコク様は承知してくれたみたいだ。

理解の早い方で助かる。

儂はダイコク様をアテンドすることにした。

魔物同盟国を大いに楽しんで頂きたい。

ダイコク様であれば儂らの事を受け入れてくれることじゃろう。

幸先は良好のようじゃ。




ダイコクとライルは魔物同盟国を視察することになった。

農場を見て周り牧場を見て周った。

このことだけで魔物同盟国の飽食ぶりが伺い知れており、眼を見張るものがあった。

最早モエラの大森林の恵など陳腐に感じてしまうぐらいだった。


見たことの無い野菜や果物もあり、中にはこれは何になるのか?という植物まであった。

既にダイコクの理解を超えていた。

ダイコクは農業や畜産業に疎い訳ではない。

商売の神として当然精通している。

それほどまでに魔物同盟国の農業と畜産業は充実していた。

ルイベントよりも明らかに野菜の質が高い。


だが同時に、これで今年の不作を賄えるのではないかとの期待もあった。

収穫量がどれぐらいかは分からないが、大いに期待できるぐらいの広大な畑だった。

それにこれまで見たことも無い田んぼという物もあった。


更にはハウス栽培という物まであった。

プルゴブというゴブリンの首領が自慢げに説明してくれた。

ルイベントの為に野菜などを買い付けることが適正と思われた。

事は上手く運ぶとは限らないが。

そうすることで今年の不作をカバーできるとダイコクは考えていた。


その後様々な施設を見学することになった。

どの施設も充実した物であり、ルイベントの文化を凌駕していると感じる施設も多々あった。

特に図書館は素晴らしいと感じているようだ。


「あの漫画という物は時間がある時にじっくりと読んでみたいものやな」

ダイコクはぼやいていた。


魔物同盟国の建造物は木製が多い。

モエラの大森林には樹がふんだんに生えているからだろう。

それに対してルイベントでは石造りが主流となっている。


ダイコクが驚愕していたのは上下水道だった。

ルイベントでは未だ上下水道は王城等の極一部の施設でしか使われていない。

清潔感に溢れ、清涼感すら漂うトイレには眼を見張るものがあった。

あのライルですらこの価値を理解していた。


「ダイコク様・・・この街の清潔感って・・・ルイベントよりも上じゃないっすか?」

声を漏らしていた。


「ほんまやな・・・考えられへんで・・・」

決してルイベントは汚い国ではないが、街中にはどうしてもゴミや小汚い物が散見されてしまっている。

魔物同盟国では街の至るところにゴミ箱が設置させており、回収作業も行われていた。

まるでそれが当然であるかのように。


清潔であることが徹底されている。

ポイ捨てを行う魔物など一人もいなかった。

全員が当たり前の様に街を綺麗に保つ行動をとっていた。


二人はこの国で過ごしたいとの感情を覚えていた。

特にダイコクはひと際だ。

この街の神気の充足感のなんとやら。

ここ百年以上得たことが無い満足感に心を奪われていた。

神にとってはそれほどまでに神気は重要なファクターである。

これがないと自身の権能を発揮することが出来ないのだから。

それだけでも心奪われる出来事であった。


そして同時に感じるのはこの街の充実感だった。

ありとあらゆるところで見かける娯楽の多さ。

そのほどんどがダイコクの知らない娯楽であった。


極め突きは温泉とサウナであった。

ここまでの娯楽はルイベントではあり得ない。

そもそもルイベントでは風呂を所有している者は少ない。

風呂を持っているのは王族や貴族、そして大成した商人ぐらいだ。


利用者の顔を見る限り相当の満足感であると伺い知ることができる。

利用している魔物達が充実した笑顔をしていたのだ。

そして聞く限り全ての魔物が毎日使用しているということだった。

最早ダイコクにはこの街を、否、このコミュニティーを国として受け入れる他無かった。

それほどまでに魅力に溢れた国造りが完成していた。

完全にダイコクの知るモエラの大森林は存在していなかった。


ダイコクに言わせると、

(此処は経済大国になりうる場所やんか、どないしよ?)

ということだった。


その考えは決して間違ってはいない。

魔物の国と蔑んでいては馬鹿をみる。

ルイベント王国にしてみれば、魔物同盟国は強力な隣人となりえる存在になっていたからだ。

それほどまでに魔物同盟国の価値は高い。


もし魔物同盟国がルイベントに攻め入ったとしても、ルイベントでは敵わない可能性が高かった。

それほどまでに知力を得た魔物達は進化していた。

恐ろしいほどの力を有しており、又、魔法を使っている魔物も見かけた。

到底捨て置くことができる存在ではない。

それほどの脅威を滲ませていた。


途方に暮れるダイコクとライルにソバルが話し掛ける、

「ダイコク様、食事に致しましょうか?」


「そ、そうやな・・・」


「この国には様々な屋台や定食屋があります。刺激的な食事に溢れておりますぞ」


「そうみたいやな。ソバル、お勧めはあるんか?」

ソバルは首を傾げて考えている。


「先ずはたこ焼きなんてどうでしょうか?表面がパリパリで中はジュワーとして美味しいですぞ」


「たこ焼き?聞いたことあらへんな、でも面白い響きの食事やな」


「ではこちらに着いて来てください」

ソバルはたこ焼きの屋台にダイコクを誘導した。

頭に鉢巻を撒き、エプロンを着たオークがたこ焼きをクルクルと回している。


「なんや旨そうな匂いやな」


「二人前貰えるか?」


「へい!お待ち!」

店主のオークがリザードマンの鱗から造られた器にたこ焼きを盛っていく、表面に醤油を塗り鰹節を振り掛ける。

そして最後にマヨネーズを波状に掛けてゆく。


「お熱いので気をつけてくださいね」

二人にたこ焼きと爪楊枝が手渡された。


「ほう、これは旨そうやないかい」


「そうっすね」

側に置いてあるベンチに二人は腰かけた。


「「いただきます!」」

二人は一気に頬張った。


「「熱っち!」」


「だから熱いって言ったでしょ?」

たこ焼き屋台の主人のオークが呆れた顔をしていた。


「ソバル!火傷するやないかい!」


「ハハハ!ダイコク様、これがたこ焼きの良さですよ。冷ましながら食べるんです」


「ほんまかいな?」

今度は忠告に従い、息を吹きかけながら食べていた。


「はふ、はふ・・・旨いがな!何やこれ?」


「はふ、はふ。旨いっすね。フワトロっす」

その後も二人はたこ焼きを堪能した。

その間にたこ焼きだけでは物足りないだろうと、ソバルは焼きそばの屋台から焼きそばを持ってきていた。


「ダイコク様、こちらもどうぞ。焼きそばです」


「焼きそば・・・これも知らん食事やな」

ダイコクとライルは焼きそばを受け取ると匂いを嗅いでいた。


「こちらも旨そうやないかい、ほな遠慮なく頂くで」


「いただくっす!」


「どうぞ、どうぞ」

二人は一心不乱に焼きそばを搔き込んだ。


「これも旨いがな!」


「ほんとっすね!」


「なあソバル・・・さっきのたこ焼きもそうやったが、これはもしかして海産物かいな?蛸といいこの烏賊といい、そうやろ?」


「はい、その通りでございます。魔物同盟国では海産物が豊富に捕れております。蛸や烏賊だけではございません。貝や海藻、たまにマグロも捕れる時がありますし、魚などはほぼ毎日捕れております」


「マジかいな・・・」

ダイコクは上空を見上げていた。


「嘘でしょ?」

ライルまで驚いていた。


「いいえ、本当です。現に今日の定食屋の昼飯は焼きサバ定食でした」


「・・・」


「これも全て島野様のお陰です、コボルト達が漁師としてその腕を振るっております。漁船も三艘ございます」


「何?船を持っとるんかいな?」


「はい、自慢の漁船でございます」

ダイコクとライルは驚愕していた。

ルイベントも海に面しており漁も盛んに行われている。

しかしその漁獲量は年々下火になっている。

これまで特に規制をせずに漁獲を続けてきた弊害が起きているのだろう。

今ではサバを見かけることは滅多にない。

魚もその生息域を変えているのかもしれない。


それに海藻とは聞き捨てならない。

ルイベントでは海藻を食べる習慣はないのだ。

海のゴミと忌み嫌ってきた存在である。

それを食するということは考えてもみなかったことだ。


ダイコクは頭を抱えてしまった。

(あかん・・・どうやらわても固定概念に支配されてもうてたんやな。海藻が食べれるんかいな。どんな調理法やねん。旨いんかいな?)


「ダイコク様・・・どうかなさいましたか?」


「ソバル、自分さっき海藻って言うたよな。食べれるんかいな?」


「ええ勿論です。味噌汁の具としては最高ですよ。乾燥したワカメをしゃぶるのが好きな者も多いですよ。ノン様曰く味噌汁の具にワカメは鉄板らしいです」


「ノンの奴が言いそうな言葉やな、鉄板て・・・まあ意味は分かるで」

ダイコクは頷いている。


「他にも酢の物にしても美味しいですし、雌株もネバネバして美味しくてご飯のお供に最高ですよ」


「雌株・・・」


「はい、そうです。これも全て島野様の知恵でございます」


「さようかいな・・・敵わんな・・・」


「儂らも最初は驚きました、まさか海藻が食べられるなん思いもしませんでした。ですが今では欠かせない食材です」


「そうみたいなや」

ダイコクは大きな可能性を感じていた。

(その島野とやらの知恵を持ち込めば、ルイベントももっと発展するかもしれんやないか。これは面白くなってきたで!)

一人興奮するダイコクであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ