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神様のサウナ ~神様修行がてらサウナ満喫生活始めました~  作者: イタズ


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ダイコク

今回は一部俯瞰目線で書いています。読みにくかったらごめんなさい。

モエラの大森林から北東に進んだ所に商業都市『ルイベント』があり、その人口数はおよそ四万人とされている。

距離としては大人の足で二日程度の距離だ。

北半球随一の商業国として栄華を極めていた。


この都市に訪れる者達は後を絶たず、その目的は多岐に渡る。

だがそのほとんどがその名の通り商業に関するものだ。

『ルイベント』では手に入らない物は無いと言われている程、物と活気に溢れている都市だ。

様々な人種が交流を図っており、人間、エルフ、ドワーフ、獣人等、人族が大半であった。


だがここには魔物の姿はない。

この国に関わらず、北半球では魔物は知性の低い種族であると忌み嫌われていたからだ。

魔物を魔獣と変わらないと軽視する者もいる。

討伐対象とすべきとの意見もあるぐらいだった。


魔物が跋扈するモエラの大森林に隣接しているのは『ルイベント』王国だ。

『ルイベント』王国では、魔物の取り扱いに関して意見が分かれている。

一定の知性があるのだから交流を図るべきだという意見と、魔獣と変わらない劣等種でありそんな者達とは距離を置くべきだという意見だ。

今の所意見は平行線を辿っている。

どちらかに偏ることはまずない。


『ルイベント』は王政を布いている国である。

要は国王が支配する国ということだ。

国王の『スターシップ』は秀逸と謳われる存在で、『ルイベント』は盤石な国家運営をおこなっていた。

それも百年近くに渡って。


王政の国にしては滅多にない出来事と言える。

王政は国王の人間性や手腕、能力に応じて大きく国が左右される。

有能な国王であれば安泰の時世を送れるが、そうでなければ・・・

従って『ルイベント』は異例の国だと伺い知ることができる。

それだけ歴代の国王は優秀であったのだろう。

もしくはそれを支える誰かがいたのかもしれない。


また『ルイベント』は永世中立国としても知られている国であった。

先の大戦でも『ルイベント』は中立を貫き通していた。

当時の国王は現国王の曾祖夫である。

現国王に並び英雄と謳われた逸材だ。

傾きかけた『ルイベント』国を一代にして復興させた轟然たる人物である。


だがその活躍の裏には実はある一人の神が存在していたことはあまり知られてはいない。

その神は表に出ることを嫌ったからだ。

それもその通りである、実は彼は商売の神であったのだ。

商売は出し引きが肝要である。

自ら表に出ればいいとは限らない。

彼はそれを熟知していた。

随分と頭のきれる神であった。


その神の名は『ダイコク』商売の神である。

『ダイコク』は元々貧民街に生まれた人間だ。

それ以外の出自はほとんど知られていない。

貧民であった彼はゴミ拾いから商売を始めた。

人間関係を構築し、コツコツと信頼を勝ち取り、商会を造り上げ、国全土に渡る影響力を手に入れ、財を築き上げた。

様々な逸話を持つ神様だ。


彼を慕う者達は多い。

今では『ルイベント』に現存する一柱である。

この国で商売を行う上では彼の存在は外せない。

というより、彼に認められない限り商売は行えないということだ。


『ルイベント』では『ダイコク』は絶大なる権力を持っていた。

それは国王『スターシップ』を凌ぐかもしれない程に。

『ルイベント』は王政の国であることに変わりは無いが、そう言った側面を持った国なのだった。

そして『ルイベント』では今、ある噂が囁かれている。


「モエラの大森林の様子がおかしい」


「モエラの大森林の魔物達に異変が起こっている」


「魔物の大侵攻があるかもしれない」


「スタンピートが起こるぞ!」

その噂は様々で、いろいろな憶測も飛び交っている。

今の『ルイベント』ではモエラの大森林の噂を耳にしない日は無い。

それ程にモエラの大森林は注目を浴びていた。

だがモエラの大森林に足を踏み込もうとする者は、今の所現れてはいない。

誰もが他人事と高を括っていた。


それにモエラの大森林は、素人が足を踏み入れてはいけない危険な森というのが定説だ。

実際、魔獣の肥やしとなってしまった者達も後を絶たない。

皆が皆、誰かがどうにかするだろうと、自分事とは考えていなかった。

その甘い認識が、この先訪れる好機を逃すことになるとは誰も知る由もなかった。




王城の一室。

この部屋は厳重な警備が敷かれており、極一部の人間しか立ち入ることが許されていない。

その扉が不意に開かれた。


「よー、ぼん!入るでー」

遠慮も無く一人の男が厳重な警備を素通りして部屋に立ち入ってきた。

黒いローブを纏い杖を突いている。

杖を突いてはいるが背は曲がっておらず、背筋はピンと伸びている。

眼にはひょうきんさが漂っていた。

誰からも好かれる、そんな印象を持つ顔立ちをしている。


「いい加減そのぼんっての止めて貰えませんかね?これでも一国の王ですよ」

ため息をついてそう言い放ったのは『ルイベント』国の現国王『スターシップ』その人である。


「せやった、せやった、しかしな、こんな小さい頃から自分を知っとんねん。なかなか治らんわ」

男は床に向かって手をやった。

小さな子供の頃からということだろう。


「それでダイコク様、どうされましたか?」

ダイコクと呼ばれた男が当たり前の様にソファーに腰かける。

遠慮は無い関係のようだ。

ごく自然とやり取りが行われている。


「そう急くなや、急いては事を何とやらやで、スターシップ」


「はいはい、分かりましたよ」

スターシップもソファーに腰かける。

ダイコクは空間に手を挙げると、まるでそこに別空間があるかの如く手を突っ込んでワインボトルとワイングラスを二つ取り出した。


「飲むやろ?」


「ええ、勿論頂きますよ」

ダイコクはワイングラスに並々とワインを注ぎ、スターシップに手渡す。


「先ずは乾杯やな」


「「乾杯!」」

二人はグラスを重ねた。

軽快な音が響き渡る。

二人は一度ワインの匂いを嗅いでからワインに口をつけた。


「ふうー、渋みがあって、それでいて奥に甘みを感じる。今年は当たり年ですね」

スターシップは饒舌だ。

ワインが口に合ったようだ。

表情が綻んでいる。


「せや、先ずはぼんに飲ませなあかんと思ってな」

再びぼんと呼ばれたことが気に入らなかったみたいだ。

スターシップは肩眉を上げている。

それを敢えて無視してダイコクは続ける。


「城でこのワインどれだけいるんや?今年は豊作とはいかんかった。例年よりも今年のワインは高いで」

スターシップは顎に手をやり考え込んでいる。


「そうですか・・・でも例年通りの量を頂きますよ。臣下達の志気は下げたくありませんので」

自信に満ちた表情でスターシップは答えた。


「ほぉ、分かっとるやないか。ちびったこと言ったらど突いたろうかと思っとったんやがな。いらん心配やったな」

ダイコクはにやけている。


「ダイコク様に鍛えられましたからね」

スターシップも負けてはいない。


「そうか」

一つ咳をしてスターシップが場を改める。


「う!うん!それで、本命は何ですか?わざわざワインの為にいらっしゃった訳ではないでしょ?」

当然の様に問いかけていた。


「分かるんか?」

意外だなと言わんばかりの表情を浮かべるダイコク。


「どれだけの付き合いだと思ってるんですか?流石に分かりますよ」


「そうか?噂は聞いとるんやろ?」

ダイコクは少し斜に構えた。


「噂ですか?」


「せや、モエラの大森林や」


「ああ、あれですか。どうにも眉唾な噂ばかりですね」

怪訝な顔のスターシップ。


「せやからわいが調査に行ってみようと思ってな」

事も投げにあっさりとダイコクは言った。


「モエラの大森林に行くんですか?大丈夫なんですか?」

ダイコクは神だ、だから死ぬことはまずない。

だからといって安易に行かせて良い物かとスターシップは考えているみたいだ。


「あそこには儂が加護を与えたオーガの首領がおるから大丈夫や、心配せんでええ」


「そうですか・・・でもお付きの者は連れていくのでしょ?」


「いや、そのつもりはないな」


「ですが・・・」

スターシップは心配な表情を浮かべている。


「ぼん、わてなら大丈夫や、それにそろそろモエラの大森林の恵の季節や、山菜やキノコを大量に仕入れてこなならん、今年は野菜は何処も不作や、食料飢饉まではならんが食料の高騰は避けたい。国民が困るのはあかんやろ?ちゃうか?」

ダイコクは同意を求めた。


「ですが・・・噂の中には気になる物もありますので、せめてライルを連れていってください」

ダイコクは苦い顔をしている。


「ライルか・・・まあええやろ」

スターシップはほっとした表情をしていた。


「モエラの大森林に何が起こっとるかは確かめんとあかん。だがわてには間違っても魔物達が侵攻してくることは考えられん。ソバルがそれを許すとは思えんのや」


「例のオーガの首領ですね」

スターシップがソバルを知っているのはこのやり取りで伺うことができる。


「せや、わてが唯一加護を与えた魔物や。ソバルは賢いしわてに従順や、わてに弓を引くことはあり得んのや」

ダイコクは確信していた。


「そうですか、それでいつ向かうのですか?」


「せやな、明日にでも行くつもりや」


「明日ですか?」

スターシップは驚いている。


「早いに越したことはないやろ?ちゃうか?」


「分かりました・・・ライルには私から伝えておきます」

スターシップはいやはやという感じだ。


「さようか、ほなわては帰るで」


「もう行くのですか?」


「せや、準備せなあかんからな」


「そうですか・・・また起こしください」

スターシップは歯切れが悪い。


「ほなまたな」

せっかちなダイコクは席を立ち王城を後にした。

それを茫然と見守るスターシップであった。




翌日。

不意にドアがノックされる。

ドンドンドン!!!

荒々しい音が響き渡った。

ダイコクは思っていた。

(きおったか、ライルらしいノック音やな、ちっとは情緒を学ばんかい!)


「チワーッス!ダイコク様、ライルっす!入るっすよ!」

大声が響き渡った。

これだけでこのライルが遠慮の無い者であることが分かる。


「ライル、静かにせんかい!近所迷惑を考えんか!」


「ダイコク様も大声を出さないでくださいっすよ!」


「喧しい!」

朝から大声を張り上げる二人であった。


「ライル・・・自分は遠慮という言葉を知らんのかいな?」


「はて?俺は遠慮がちな性格だと思いますが?」

この返答だけでもこのライルという者のガサツさが伺える。


「あほか自分・・・まあええ。行けるんかいな?」


「モエラの大森林の調査と、森の恵の集荷ですよね?楽勝っすよ!」


「ライル・・・舐めて掛かると痛い目みるで」

ダイコクは呆れている。


「なんの、モエラの大森林でしたら何度も狩りで訪れております、大丈夫っす。ナハハハ!」

怪訝な表情でダイコクはライルを眺めていた。

だがその眼差しの中には一定の信頼が混じっている。

このライルという男、実は国王親衛隊の副隊長であり、その剣技に関しては『ルイベント』国内において右に出る者はいないと謳われている凄腕剣士だった。

それを知っているダイコクは一定の信頼を置いていということだ。

性格はともかくとして・・・


今回は調査目的の為、防具は手軽な物になっている。

腰には剣を携え、皮の胸当てと鉄製の籠手、麻のズボンの中には膝当てが隠されている。

本来の彼ならば鉄製の鎧を纏っているところだ。

今回の目的を分かっての装備だった。


「まあええわ、ほな行こか?ライル」


「了解っす!」

ダイコクも似たような服装をしていた。

違いは剣が短剣であること。

そしてダイコクのトレードマークとも言える丸形の頭巾を被っている事だ。

それにダイコクは特徴的な顔をしていた。

耳朶がデカかった・・・とても。

肩に付こうかという程にデカかった。

ダイコクは旅の準備もそこそこに、ライルをお供にモエラの大森林へと歩を進めたのだった。




ダイコクとライルはモエラの大森林の中に足を踏み入れていた。

目的地まではまだまだ遠い。

ダイコクにとってもライルにとっても、モエラの大森林は何度も訪れた通い慣れた場所であった。


だが今回は何かが違った。

それをダイコクはひしひしと感じていた。

モエラの大森林は深い場所を覗いては、低ランクの魔獣が跋扈している森だ。

大森林に足を踏み入れたら最後、魔獣との遭遇は必至だ。

モエラの大森林に足を踏み入れてから約一時間、まったく魔獣と遭遇しなかったのだ。

これまでにはない出来事だった。


ダイコクは本来単独でこのモエラの大森林に入る際には、魔獣避けの鈴を必ず帯同している。

この魔獣避けの鈴の音色には、一定の魔獣を寄せ付けない効果がある。

でも今回はライルが同行している為、魔獣避けの鈴は持参していない。


その理由は魔獣をライルに狩らせて、魔獣の肉や魔石を持ち帰るという意図があり、ライルを働かせるには打ってつけだからだ。

ライルの腕ならば単独でもBランク相当の魔獣なら狩ることができる。

よほどの事が無い限り危険な状況になることは考えられない。

調査を兼ねての、一石二鳥を考えての行動だった。


だが現状はどうだ?

魔獣の気配すら感じない。

どうなっているのか判断に迷うダイコクだった。


「ライル・・・いつものモエラの大森林ではないで」

ダイコクは警戒している。


「その様っすね、ここまで魔獣に遭遇しないなんて・・・ちょっと考えられないっすよ」

能天気なライルも違和感を感じていた。

二人の警戒レベルが一段階上がった。


「これは・・・魔獣の生息域に変化があったちゅうことやな」

ダイコクは同意を求めた。


「そうっすか?」

こいつそんなことも分からんのか?という表情をダイコクはしている。


「自分・・・まあええわ。警戒しろや」


「はい!」


「声がデカいねん!」


「ダイコク様こそ!」

調子が狂わされていらいらしているダイコクであった。

前にも似たようなやり取りをしたよな・・・と思っているダイコクだった。


「それにしても・・・どうなっとんのや?さっぱり分からんで」


「と、いいますと?」


「だから・・・魔獣の生息域が変わるほどの何かがあったちゅうことや、でもそれがよく分からん・・・魔獣の生息域が変わるっちゅうことは大変なことやで、生態系に変化が訪れる程の何かがあったちゅうことや、これは一筋縄ではいかんのかもしれん・・・」


「そうっすね・・・」

こいつ絶対わかっとらんなという視線をダイコクはライルに向けていた。

実際ライルは何も分かってはいない。

事の重大さに気づかずに空返事をしているだけだった。

その後もモエラの大森林の中へと二人は歩を進めた。

ダイコクはこれまでにない、落ち着かない胸の騒めきを隠せなかった。

この違和感が間違いであることを祈りながら。




リザードマンとジャイアントキラービーが魔物同盟国に合流を果たしてから、早くも三ヶ月が経っていた。

今では各自が自分の役割を理解し共存共栄が成り立っていた。

衣食住に恵まれ魔物達には笑顔が絶えない。

そして更に国を発展させようと魔物達は更なる高みを目指していた。


島野一家の役割も依然として変わらない。

特に忙しくしているのはゴンだ。

魔物達は魔法を習得したがった。

生活魔法を中心として自然操作系魔法等も覚えたいと要望は絶えず、ゴンはてんやわんやだ。


ゴンは俺に救援を求めたが俺には魔法の事は分からない為、外を当たってくれと断っておいた。

その為、エルやギルまで魔法教室を手伝っている始末だ。

というのも、建設系や料理に関してはそのほとんどを魔物達は既に技術を習得出来ていたからだ。

知力を得た魔物達は優秀だ。

その為二人は手が離れたということ。


俺は相変わらず質問のある魔物達に囲まれることが多い。

一日の時間のほとんどを『知識の時間』に費やしている状況だ。

そして魔物達は読み書き計算をほとんど習得していた。

知力を得た魔物達は覚えが早い。

まさにスポンジに水だ。

魔物同盟国は日に日に発展していった。


今の唯一の問題点は牛乳だった。

やはりジャイアントブルからは牛乳は採れなかったのだ。

そろそろ諦める頃かもしれない。

ジャイアントブルはジャージー牛とは違うということみたいだ。

牛をサウナ島から持ち込むべきか悩ましいところだ。

でも今は南半球の手を借りるべきではないだろう。

何とも悩ましい・・・




突然の話で恐縮だが今の魔物同盟国で流行っているのは蕎麦だ。

蕎麦に何をトッピングするかで意見が分かれている。

個人的にはアカモクから作ったネバネバ蕎麦がお気に入りだが、こればかりは個人の意見が分かれるところだ。

アラクネ達はまさかのハチミツ入り蕎麦を好んで食べていた。

俺には・・・無理だな。

蕎麦に甘みって・・・なんだろうね?


トッピングは無限大だ。

揚げ物が人気だが貝や魚の切り身を乗せる者達も多い。

ちょとビックリしたのは、アワビを当たり前の様にトッピングしていたことだ。

鮑はバターで炒めるべきだろう・・・

だが牛乳が無い・・・

無念だ。


大多数は普通に天ぷら蕎麦を好んでいた。

やはりかき揚げに限る。

個人的には海老天も好きだが・・・

それに好まれたのはザル蕎麦だ。

蕎麦つゆはカツオと昆布の出汁に醤油と酒を混ぜた物だ。

結局は上手けりゃ何でもいいでしょ?

そうに決まっている。




俺は魔物同盟国が一定の発展をしたと判断した。

そこで娯楽を取り入れることにした。

俺が真っ先に取り入れた娯楽は勿論サウナだ。

それ以外何があるというのだろうか?

ここでは拘りよりも利便性を優先した。


なんと言っても、魔物同盟国の住民は今では三千名を超える集団となっていたからだ。

安定の生活を得た魔物達の繁殖力を舐めてはいけない。

あっと言う間に妊娠する者達が増えた。

そしてその出産までの日数も早い。

勿論種族間での違いはあるのだが、人間の様に十月十日とお腹の中で長々と育てる訳ではないのだ。

ゴブリンに関してはものの三ヶ月で臨月を迎えてしまうのだった。

それも一気に五体ほど生んでしまう。


その為、魔物同盟国の人口数は鰻登りにその数を増やしていた。

そしてその度に行われる名づけの儀式に俺も忙しくしていた。

これは加護の問題では無く、魔物達はとにかく俺に名を授けて貰いたがった。

加護に関しては何故だか俺の加護を受けた魔物達から生まれた子供であれば、自動的に加護を授かっていた。

仕組みはよく分からない。

加護が遺伝するとは正直考えてもみなかった。

加護が先なのか知力が先なのかという、鶏か卵が先か現象なのかもしれないと俺は思っている。


そして俺が造ったサウナは何と百名収納可能な大サウナだった。

サウナストーブは十台完備している。

常時扉が開け閉めされる為、奥の上段は大人気だ。

まぁそうなるよね。


オートロウリュウ機能も付いている。

そしてノン師匠の元、ゴブオクンが熱波師の修業を積んでいる。

良い熱波を期待したい。

このサウナ導入に魔物同盟国は揺れた。

最高の娯楽であると老若男女楽しんでいる。


更に俺は『同調』で地面に同調し水脈を探った。

実は前に井戸を掘り当てた時に温泉があるのではないかと思われたからだ。

その為、地面と同調して水脈だけでは無く温泉があるかを探ってみた。

案の定その勘は当たっており、泉源を探し出していた。

結果、街の北部に温泉が出来上がった。


泉質の状態は分からないが、触ってみた感触としては肌に纏わりつく感触と確かな硬水の感触があった。

これはいい温泉だろう。

一度五郎さんに見て欲しいぐらいだ。

サウナ島の温泉とは違った良さを感じる。


温泉も大規模な物を造った。

百人が入れるサイズだ。

正に大温泉場だ。

魔物達は温泉が大好きのようで毎日楽しんでいた。


そして水風呂は泳げる水風呂だ。

ノンにプールと言われたあの水風呂だ。

こうでもしないとキャパが釣り合わない。


外気浴場は人数が多すぎる為、ちょっと雑な造りになってしまった。

適当に椅子を沢山置いておいた。

拘りは後日改めよう。

それで今は勘弁して欲しい。

魔物達は大いに整っていた。

良いじゃないか。

好きに整ってくれ。

俺も整わせてもらうさ。


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