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神様のサウナ ~神様修行がてらサウナ満喫生活始めました~  作者: イタズ


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魔物同盟国会議

遂に100万文字達成です。

長々とお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。

自分でもよくもここまでつらつらと話しを書いてこれたものだと感心しております。

でも大事なのはちゃんと話を完結させることだと理解しております。

ズルズルと話を引き延ばすつもりはありませんが、書きたいことがまだまだある為。

もう少し?お付き合いくださいますと幸いです。

今後ともよろしくお願い致します。

これからについて魔物同盟で会議が行われることになった。

議題は多岐に渡る。

魔物同盟の今後を左右する重要な会議だ。

議長はソバルが務めることになった。


これは俺が指名した。

だが議長とは言っても、決して魔物同盟の代表では無い。

あくまで話し合いのファシリテーターでしかない。

四人が五分の関係であることに変わりは無いのだ。

これは話し合いが円滑に上手くいく為の処置でしかない。


俺はアドバイザーとして同席している。

俺は席を外して後で報告のみ聞こうと思っていたのだが、プルゴブとソバルからどうしても同席して欲しいとお願いされてしまったのだ。

初めてのことで不安があるのかもしれない。

でも俺は極力口は挟まないつもりだ。

たぶん・・・

ソバルが仕切り出す。


「兄弟達、議題は多岐に渡る。長丁場になるかもしれないが今後の魔物同盟の行く末に関わる会議じゃ。気を引き締めて話し合おうぞ」


「分かっておる」

プルゴブが答える。

オクボスとコルボスも頷いていた。

全員真剣な表情を浮かべている。


「まず我らは何処で居住を構えるか、からじゃな」


「それは考えがある、いいかな兄弟?」

プルゴブが先導する。


「プルゴブの兄弟、話してくれ」


「いいか兄弟達、まずこのゴブリンの村は島野様の指導の下、文明が発展し出している。それは今後も然りだ」

三人が頷く。


「そこでこれを参考に各集落の中心に国を築くのはどうだろうか?」


「なるほど」


「中心という事は中間地点ということだな?」


「そうだ、今の各自の集落は場合によっては取り潰しても良いのかもしれん。新たに造るのがいいと思う。既に建設や農業、狩りや衣服の製作に関しての知識は島野様や聖獣様から教わっておる。もはや衣食住に困ることは無いのじゃ。これらの技術を兄弟達の配下に伝えていけば、時間は掛かるかもしれないが、国として認められる程の街が出来ると思うのだが、ソバルの兄弟はどう思う?」


「プルゴブの兄弟が言う通りじゃろう、儂らには島野様一行という力強い後援者がおる。学びの場を提供してくれておるのだ。目一杯学ばせて頂こうぞ!」

おいおい、俺達頼みでは駄目だぞ。

だがせっかくだ。

少し口を挟ませて貰おう。

やっぱりこうなったか・・・


「お前達、ちょっといいか?」


「何でございましょうか?」


「先ず川は何処にある?それと海岸はあるか?」


「川は俺達の村の側にあります」

オクボスが答える。


「その川には魚は生息しているか?」


「はい、ですが上手く魚を取るすべがございません」


「そこは俺達が教える」


「有りがたき幸せ!」

オクボスが頭を下げる。


「海岸はコボルトの村から離れたところにございます」

今度はコルボスだ。


「分かった、となると海産業もいけるな」


「海産業でございますか?」

コルボスが期待に満ちた表情をしていた。


「ああ、こちらもちゃんと教えてやるから安心しろ、因みにコボルト達は泳げるのか?」


「泳ぎですか?試したこともございません」


「一度トライしてみるか?」

全員に泳ぎも教えないといけないな。


「これで新たにまた盤石な食の基盤が出来上がりますな」

ソバルは嬉しそうだ。


「海産業とは魚ですか?」

プルゴブからの質問だ。


「魚だけじゃないぞ、貝や海藻、蟹や海老等もあるぞ。海や川は食の宝庫だぞ。それに海藻から海苔も造れる」


「おお!宝庫でございますか?」


「そうだ、漁のやり方を教えてやるし、船の作り方も教えてやる。海苔の作り方もな」


「なんと・・・そこまで」


「それはありがたい」


「更に文明が上がりますな!」


「泳ぎをまずは覚えませんと」

全員やる気になっている。

良い傾向だ。


「話を戻そうか」

全員が頷く。


「はい!」


「お願いします!」


「どうぞ」


「助かります」

全員が活き活きとした表情をしている。

次に移ろうか。


「まず新しく造る街だが、川から水を引き込んで上下水道を完備させる」


「上下水道でございますか?」


「ああ、そうだ」

俺は上下水道について解説した。

全員が真剣に話を聞いている。

時々質問を交えながらの話となった。

特にオクボスが上下水道に強い興味があるみたいで、際立って質問を行っていた。

建設に関してはこいつに任せた方が良いのかもしれないな。


「造るのは難しいようですが、完成したらこんな便利な物はなさそうですね」


「全くだ、是非とも完備させたい」


「これぞまさに文明ですな!」


「井戸を掘れただけでも充分だと考えておりました・・・お恥ずかしい」

各自思う処があるみたいだ。


「実はな、この上下水道を造る一番の理由は健康被害に直結するからなんだ」

全員が不思議そうな表情をしている。


「なんですと?」


「健康に?」


「なぜ?」


「本当でございますか?」

俺は話を受けて解説を始める。


「ああ、まず健康被害になる一番の原因は清潔感にある。だから俺は一番初めにゴブリン達に村の掃除をさせたんだ」


「そうでしたな」

プルゴブが頷く。


「でもそれだけでは不十分なんだ。一定の清潔感は得られたが、やはり排泄物等は今より清潔に取り扱う必要がある。今のゴブリンの村のトイレは半水洗式だ、これを機に完全水洗式にするほうがより清潔だ。清潔イコール健康ということなんだ。病気の原因のほとんどが不衛生から発生するものだ。それに飲み水は綺麗である必要がある。目には見えないが小さな微生物などが潜んでいる可能性がある、そんな水を摂取すると腹を壊したり、病気になる可能性があるからな」

全員が眼を見開いている。


「そんなことが・・・」


「なんと・・・」


「目に見えない生物・・・」

知らない知識に驚愕しているみたいだ。


「今ではゴンが浄化魔法を教えているから、オークやコボルトもゴンから教えを乞うがいい」


「「はっ!!」」

そしてここからが大事な所だ。


「そして俺は全員に名づけを行うつもりだ」

全員が驚愕していた。


「なんと!」


「島野様!」


「よろしいので?」


「嘘でしょ?」

どうやら考えられない事態のようだ。


「島野様のお身体に障るのでは?」


「身体に障る?」

俺は全然大丈夫だと思うのだか?

ソバルが立ち上がる。


「へい、儂に名を授けて頂いた神様は、儂に名を与えるのが精一杯と仰っておりました」


「そうなのか?」


「ええ・・・」


「大丈夫だろう、俺はゴブリン全員に名付けたけど何ともなかったぞ」

未だ神力は計測不可だしね。


「確かに・・・」

ソバルは何とも言えない顔をしていた。


「俺のことはいいとして、そうする必要があるだろ?」


「必要でございますか?」


「ああ、これからお前達は建設を中心とした多くの作業や知識を得ないといけない。知力を得ない訳にはいかないだろう?」

会話も儘ならないでは支障があるからね。


「ですが・・・」

心配してくれるのはありがたいことだが、そんなことには構っていられないだろう。


「これは決定事項だ、俺はお前達全員に加護を与える!」


「「「「はっ!!!」」」」

四人が席を立ち跪いて頭を垂れた。

どうせ俺の神力量は計測不能から変わらないだろう。

最悪の場合『黄金の整い』をしに日本に帰ってもいい。

俺は全員を着席させた。

そして話を先に進める様に促した。


「後は役割を決めてみてはどうだ?兄弟達よ」

ソバルが先導する。


「そうだな、儂もそう考えておった」


「役割となると何があるのだ?」


「兄弟、それはまずは建設、農業、先ほど島野様が仰った海産業、服飾に関する物になるのではないか?」


「そうじゃな、外にはあるか?」

俺は口を挟むのを止めた。


「後は料理と備品の作製じゃな」


「なるほど、そうなると一人一つという訳にはいかんな」


「出来れば俺は建設を受け持ちたい、先ほど島野様から教わった上下水道に興味がある。是非任せて欲しい!」

オクボスが胸を張って言う。


「儂は構わんぞ」


「俺もだ」


「任せよう」

建設に関してはオクボスが受け持つことになった。

積極的でいいじゃないか。


「俺は海産業が気になるな、泳げるかは分からんが、俺に任せてはくれないだろうか?兄弟達よ」

コルボスは海産業が気になるみたいだ。


「俺はいいと思うぞ」


「儂も賛成じゃ」


「いいだろう」

こちらも賛同を得られたみたいだ。

順調、順調。


「こうなると儂は農業だな、此処は魔物同盟の基幹部門だ、任せてはくれないか?」

プルゴブなら問題ないだろう。

というよりこいつ意外は考えられないな。


「プルゴブの兄弟が適任だろう」


「そうじゃな」


「兄弟に任せよう」

後はソバルだな。


「残りは料理と服飾と備品作製の製造関係じゃな、儂に出来るかは分からんが任せて貰おうか」


「だな」


「そうだな」


「任せよう」

これで役割が決まったみたいだ。

まだまだ決めることは沢山あるが、そろそろ腹が減ってきたな。


「よし、一先ず飯にしようか」


「「はっ!!!」」


「待っておりましたぞ」


「今日の昼飯は何じゃろな?」

全員眼を輝かせていた。

せっかくだ、沢山食べてくれ。




俺達は連れ立って食堂に向かった。

既に食事が開始されていた。

弁当の者達以外のゴブリン達が集まっていた。

そうだ!あれがあったな。

せっかくだから出してやろう。

少しは参考になるだろう。


「コルボス、海産業で取れる物を出してやろう」


「本当でございますか?」

コルボスの眼にやる気が灯った。


「ああ、期待してくれ」


「はい!期待しております!」

俺は調理場に向かった。

コルボスも見たいということだったので見学を許可した。

カジキマグロを見たコルボスは腰を抜かしそうになっていた。


エルに了承を得てカジキマグロを解体していく。

もはや手慣れた作業だ。

能力を駆使して解体を行う。

そしてカジキマグロの刺身が出来上がった。


「コルボス、食べて見ろ。この醤油と山葵をつけて食べると格別だぞ。山葵は付け過ぎないようにな」

匂いを嗅いだコルボスはにやけていた。

今にも涎を垂らしそうだ。


「では、島野様、頂きます!」

唾を飲み込んだコルボスは、マグロの刺身に醤油と山葵を付けて口に入れた。

眼が見開かれる。


「う、旨い!なんだこの油の乗りは?最高だ!口のなかで解けるぞ!」

好評のようだ。


「せっかくだ、皆に振舞ってやろう。プルゴブ!皆を集めてくれ!」


「は、!」


「兄弟、儂も手伝おう!」


「俺も手伝うぞ!」

プルゴブ達はゴブリン達を呼びに行った。

俺は刺身を配ることをエル達に任せて、カマから出汁を摂り汁物を作ることにした。


寸胴鍋に骨、カマ、尻尾を砕いてぶち込み、グツグツと煮込んでいく。

灰汁を取り除いて一度味見をする。

よし!良い出汁がでている。

そこに人参、大根、玉葱を入れて軽く煮込む。

刺身をそのままぶち込んで味噌を混ぜていく。

どうだろうか?

味見をしてみる。

良いな、ここに今後はワカメが加わるだろう。

更に上手くなるのは間違いない。


「コルボス、飲んでみるか?」


「宜しいので?」

今さら恐縮されてもねえ。


「ああ、海産業の可能性を大いに感じてくれ」


「はっ!」

コルボスは大事そうに味噌汁の入った器を受け取っていた。


「い、頂きます!」

コルボスはゆっくりと味わっていた。

表情がどんどん緩んでいく。


「ああ~、染みわたる~、こんな美味しい汁物は始めて食べる。何とも味わい深い、絶妙だ~」

幸せが表情に浮かんでいた。

今にも昇天しそうだ。

こいつも犬飯派なんだろうか?

そんな気がする。

是非犬飯はノンに教わってくれ。


「皆、味噌汁も出来たぞ。さあ並べ!」


俺が宣言すると、

「やった!」


「味噌汁だ!」


「味噌汁上手いよね~」

との声が挙がる。

どうやら前回のシーサーペントの味噌汁が好評だったみたいだ。

やっぱりこいつらは塩分が足りてないのかな?

ゴブリン達は弁当に加えてカジキマグロをペロッと一匹平らげていた。

なんという食欲だろうか。

いよいよギルも大食いチャンピオンを脅かされるのか?

流石にそれはないか。

ギルの大食いは未だ成長中だしね。

朝から米を丼五杯は食べるからね、力士かっての。

でも太らないんだよな。

羨ましいことです。




昼食を終えて会議を再開した。

全員が幸せを噛みしめた表情をしている。


「この美味を今後も享受できるのか・・・」


「感謝以外何もないな・・・」


「儂らは恵まれておる」


「兄弟・・・これが文明だ・・・」

各々が感動していた。

文明化を噛みしめている。

早く会議を始めろ。

余韻に浸って無いでいいからさ。


「兄弟達、余韻に浸るのは今度にしよう、儂らにはまだまだ決めねばならぬ事が山ほどあるのじゃ」


「おお、そうだった」

ソバルが仕切り出す。


「次に先ずこの会議だが、儂は毎週行う必要があると思うのだがどうだろうか?」


「そうだな」


「それぐらいが丁度いいだろう」


「だな」

合意が得られたようだ。


「そして合意についてだが、今後議題に対して賛同が得られるのはどれだけにしていこうか?」


「それは議題に対してどれだけの賛同を得られたら合意と見做すということか?」


「ああ、そうだ」


「それは全員一致しかないだろう?兄弟よ」

当たり前の様にオクボスが言う。


「そうだ、一人でも認めなければそれは我らの合意とは言えまい」


「だな」


「では、議題に対して全員一致をもって合意とするでいいのじゃな?」


「ああ」


「そうしてくれ」


「そうだな」

ソバルが急に緊張しだした。


「次に・・・これは島野様への質問になりますが・・・いつまで我々の元にいて頂けるるのでしょうか?島野様は儂に流浪の神と仰った。こんなことを聞いても良いのか迷いましたが、儂らにとっては重要な事なのです。申し訳ございませんが・・・」

この発言にコルボスとオクボスがあり得ないぐらい悲しい顔をしていた。

プルゴブは下を向いている。

三人とも人生が終わったというぐらいの表情をしていた。

すまんなお前ら。

俺にはやることがあるんだよ。


「それは・・・俺がもうこの街を離れてもいいと感じたらだ。俺は流浪の神だ、詳しくは言えないが俺はこの世界の行く末を握る謎を追っている。だからお前達が造る街に居続ける訳にはいかないんだ。悪いな・・・」

全員が下を向いていた。

プルゴブは静かに泣いていた。


「神の所業・・・我らには理解など及びませぬ・・・とてもお停めすることなど叶いませぬ。ですが・・・」


「しかし・・・」

気持ちはありがたいが。

ここはハッキリと言わなければならない。


「大丈夫だ、お前達が誇れる街を造るまで俺達は協力しよう。もう俺達が居なくともお前達の国が他国に認められるぐらいまで発展するまで、俺達はちゃんと付き合ってやる。安心しろ!」


「「「「島野様!!!」」」」

四人は号泣し出した。

おいおい大丈夫か?

やれやれだな。


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