序章
俺達は空を飛んでいる。
無人島から東の方面に向かって。
風は微風、時折塩の香りを強く感じる。
水面がキラキラと輝いていた。
なんだか気分が良い。
「エル、大丈夫か?」
俺は声を掛けた。
もうかれこれ一時間以上飛び続けているのだ。
「ええ、大丈夫ですの」
「パパ、もっとスピード出せるよ!」
ギルが嬉し気に話かけてきた。
「そうか、無理はするなよ」
「ギル、無理しなくていいんだよ」
ノンが優しく声をかけている。
「へん!楽勝だよ!」
そう言うとギルは一気にスピードを上げた。
あらまあ、若いね〜。
「ギル、あなたどこに向かっているか分かってるの?」
ギルの背中をゴンが叩いている。
「あっ!そっか」
スピードを下げ後ろの俺達を待とうとする。
しかしギルが振り返ったがそこには俺とエルはいない。
「えっ!いない!嘘?パパは?エル姉ちゃんは?」
パニクッているギル。
するとギルの真下からエルが猛スピードで現れた。
「うわっ!」
驚くギル。
体勢を崩してゴンとノンがギルから落ちそうになっていた。
「危ない、ちょっと!ギル何してるのよ!!!」
ゴンが騒いでいる。
「ハハハ!大丈夫かー!」
俺とエルはその様を見て爆笑した。
「もー、パパ!」
ギルが拗ねている。
皆で顔を見合わせて笑った。
「ワッハッハッハー!」
「面白い!」
「ギャッハッハー!」
我ら仲良し島野一家です。
俺は進行方向を指さして言った。
「皆!見えてきたぞ、コロンの街だ!」
コロンの街が見えてきた。
さぁ旅の始まりだ。
いったいどんな人に出会いどんな出来事が起こるのだろうか?
年甲斐も無くワクワクしている俺がいた。