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神様のサウナ ~神様修行がてらサウナ満喫生活始めました~  作者: イタズ


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サウナ検定

五郎さんに叱られたとは言っても俺の本質を変えられる訳は無く、この世界の問題よりもサウナ愛が溢れ出てしまうことは変えようがない。

そこで俺は前々から考えていたプロジェクトに遂に動き出すことにしたのである。

それは・・・『サウナ検定』である!

ここは背景にドドン!!!が欲しい所だ。

ここは目立させて欲しい。

いや、大いに目出させてくれ!


サウナビレッジが繁盛し温泉街『ゴロウ』の移動式サウナが受け入れられた今、俺がやらなければいけないことはこれ以外には考えられなかった。

今一度この世界にサウナとは何ぞや?と、問う必要がある。

そこで『サウナ検定』である。


内容は簡単だ。

使用上のマナーを中心とした問題を出題する。

そして皆がどれぐらい理解しているのかを把握する。

ここはすまないが上から目線とさせて貰う。

何といってもサウナ歴四十年以上の俺からの挑戦状だ!

手は一切抜かない。

異世界の上級サウナー達よ、掛かってきなさい!

サウナの神と謳われる俺からの試練である!

挑戦者望む!

フフフ・・・




サウナ島に激震が走った!

前々から噂はあった。

島野さんが遂に動き出すのではないかと・・・

島野さんはこの世界にサウナを持ち込んだ第一人者であり立役者だ。

あの人のサウナ愛は本物だ。

誰が何と言ってもそれは間違いない。

そして俺は知っている、あの人のサウナに対するマナーの徹底さは・・・時に苛烈になってしまう。


ああ、すまない。俺はマークだ。

お久しぶりです。

まあ聞いて欲しい。


サウナビレッジがオープンしてからかれこれ三ヶ月近くが経った。

今は慣れたこともあってか落ち着いたものだ。

とはいっても相変わらず予約は四ヶ月先まで一杯だ。

決して暇な訳ではないから勘違いしないで欲しい。

サウナビレッジは大繁盛している。


そもそも人材を多く揃えたから、仕事に慣れてしまえば上手くシフトが周ることは想定済みだ。

実際に俺もだいぶ時間に余裕が出来たよ。

でもここまでの三ヶ月間は何かと大変だった。

特に大変だったのは甘辛論争だった。

なんであんなことになったんだか・・・

恐らく震源地はメルルだろう。

あいつはハンター時代からそうだ。

とことん攻撃的になる時がある。

何があいつをそうさせるのか?

そもそもあいつは回復役だろう?

どうかしてるよ。


甘辛論争の所為で、注文が辛み一辺倒になった時には流石に俺も焦ったよ。

可哀そうにマットも項垂れていたよ。

連日連日辛い物ばかり作らされて・・・

見てられなかったな。


でも今では自然と落ち着いて、お客も好きな物を注文する様になった。

それでも辛い物が好まれるのは、スーパー銭湯との棲み分けの結果だからしょうがないのだが。

俺は台湾ラーメンが好きだ。

あの台湾ミンチの深みを感じる辛さが癖になる。

俺も当然予約しないと食べることは出来ない。

要らない情報だったかな?

でも分かってくれるだろ?

あれは本気で旨い!

最高だ!


そして遂には温泉街『ゴロウ』にまでサウナが設置されることになった。

それも移動式って・・・島野さんの頭の中はどうなってるんだ?

どうしたらそんな発想になるんだ?

俺には到底分からない、俺もサウナは好きだし上級サウナーであるとの自負もあるが。

でもあんなサウナを思いつくなんて、島野さんはどうかしてるよ。

でも大したもので、これが温泉街『ゴロウ』で大いに流行ってるというからには、あの人の発想は間違い無かったということなんだろう。

訳が分からねえな。


そして遂にだ、島野さんが動きだした。

俺は驚愕したよ。

『サウナ検定』だ。

俺はこの時が来て欲しくはなかった。

何でかって?

分かってくれよ。


この世界の中では俺は初期からサウナを嗜んで来たんだぞ。

その俺が検定に落ちる訳にはいかないだろう?

それにサウナビレッジの支配人なんだぞ?

もう今はプレッシャーと戦う毎日だよ。

サウナは楽しむものなんじゃなかったのか?

そうだよな?

なのに何で・・・

そうだよな・・・勝手に俺が自分でプレッシャーに感じているだけなんだよな・・・分かってるよ・・・立場に拘るなっていうんだろ?・・・でも俺にだってプライドがあるんだ・・・分かってくれるかい?

はあ・・・


そもそも勘違いしたサウナビレッジの常連客が、

「俺は上級サウナーだ!」

何て宣い出すからこんなことになるんだ。


それも一人や二人じゃない、それなりの数の奴らが言い出したから質が悪い。

これは良くないと思っていたが案の定だ。

いつもは温厚で飄々としている島野さんだが、ことサウナに関しては人が変わってしまう。

遂に我こそは上級サウナーだと、名乗りを上げる不届き者を征伐するとその鉄槌が下されることになったんだ。

島野さんの上級サウナー狩りだよ!


遂にこの時が訪れてしまった。

俺は巻き込まれただけなんだけどな・・・そりゃあ心の中では俺も上級サウナーだと思っていたさ。

でも間違っても口には出さなかった。

そんなこと・・・島野さんに聞かれたら・・・言える訳がないだろう!

ちくしょう、これからランドとロンメルとサウナの勉強会だ。

試験勉強なんて始めてするよ。

はあ・・・

どうしたもんか・・・

胃が痛くなってきた・・・

うう・・・




最近は俺を訪れる人達の質が変わりつつある。

商人から常連のお客にだ・・・

理由は簡単だ。

サウナ検定の内容を知りたいと、連日遠慮の無い顔見知りの常連が何を勘違いしたのか、事務所にまでやってくるようになった。


俺はゴンに言って当然の如く追い返すことにした。

何をそんなにまでやっきになっているのか?

まあそれだけ興味があると前向きに受け止めているが、正直煩わしい。

我こそが上級サウナーだ!と宣言したからには、堂々と検定を受けろということだ。

いちいち探りに来るんじゃないよ、全く。

小賢しいんだよ!


まあサウナ検定とは言っても、そう大逸れた物ではない。

俺の意図としては、これを気にサウナのマナーの更なる向上を図るのが一番の目的で、何も本気で上級サウナーを名乗るなとは思ってはいない。

そもそも好きに自分のことは名乗ってくれればいい。

別に咎めるつもりは全くない。


後は副産物的に、この世界の識字率がこれを気に少しでも上がったら嬉しいというのもある。

現に一部の常連客が、メッサーラの学校に通い出したという噂まである。

真意は定かではないが・・・


サウナ検定の内容は実に簡単だ。

筆記問題を十問解いてもらうだけだ。

その一問を十点として、計百点満点の問題を解いてもらう。

制限時間は三十分。


その内八十点以上取れた者をサウナ一級、六十点以上取れた者をサウナ二級とする。

そんな簡単なテストでしかない。

それを受けたい者は受けてくれというだけのことで、この一級二級というのも、俺が勝手に言っているだけで、資格でもなければ免許でも無い。

正直ただのお遊びだ。


それをどう勘違いしたのか、特に旧メンバー達は戦々恐々としているようだ。

挙動の可笑しいあいつらを見ているのが面白いから、俺は放置しているのだけどね。

趣味が悪いって?

これぐらいいいじゃないか?

決していびっている訳じゃないからね。

フフフ・・・


因みに出題問題を並べてみるとこんな感じとなる。


・サウナ前には全身を洗った方が良いか否か、またその理由は?

・サウナ前には体を拭いて水気を取った方が良いか否か、またその理由は?

・水風呂に入る前には掛け水、又は掛け湯を行った方が良いか否か、またその理由は?

・サウナは粘れるだけ粘った方が良いか否か、またその理由は?

・サウナ後に取る水分で最も適した飲み物を二つあげなさい。

・サウナ室内では大声を出しても良いか否か、またその理由は?

・サウナに入室する際には、入る側優先であるか否か、またその理由は?

・サウナ室は上段の方が温度が高く、下段が温度は低いか否かまたその理由は?

・サウナは島野守が考案したものであるか否か

・あなたにとってサウナとは?


とこんな感じである。

少々厭らしい問題や身内びいきを疑う問題もあるが、大目に見てやって欲しい。

特に最後の問題に関しては俺の趣味でしかない。

勿論どんな回答であっても十点をつけるつもりだ。

その人にとってのサウナなんてその人の自由でしかない。

好きに回答してくれればいい。


俺は皆がサウナをどう思っているのか?に興味があるだけでしかない。

ただふざけたことを書かれたら問答無用で切り捨てるけどね。

まあ、お遊びである。

好きに回答して欲しい。

どんな回答があるのか楽しみだ。

フフフ・・・




そしてサウナ検定の日時が公表された。

サウナ島は異様な空気に包まれていた。

入島受付とスーパー銭湯、サウナビレッジの受付に大体的に張り紙が掲示された。

その掲示内容はこれだ。


『挑戦者求む!サウナ検定を開始する!』


加えて来週の月曜の午前十時からと午後八時から、スーパー銭湯の大食堂にてサウナ検定を行うという旨も発表された。

参加費は一人銀貨三十枚。

検定内容は全問題筆記試験の全十問、制限時間は三十分と公表されたのはこれだけである。

受付はサウナビレッジの受付にて行われ、最終受付は土曜日の午後八時までとする。


この告知にサウナ島は揺れていた。

特に従業員からの動揺が激しい。

それもその筈で、実にこの識字率の低いこの世界で、サウナ検定を受けるのはサウナ島に住む者が大半と考えられた。

まさかのオチとなりそうだ・・・

そうあっては欲しくないのだが。




だが実際に受付を行ってみるとそうでもなかった。

実に四百名近い者達が申し込みを行ったのである。

旧メンバー達とサウナビレッジの従業員には強制的に参加する様に伝えてある。

それはそうだろう、こいつらが受けないのは考えられない。

そして神様ズからの参加者はなんとカインさんのみだった。


五郎さんは、

「儂は止めとく、柄じゃねえ」

と言っていた。


ランドールさんはどうするか真剣に悩んでいたが、メッサーラの二校目の完成がまじかとなっている為、時間が取れるか分からないので、止めておくと残念そうにしていた。

彼には是非参加して欲しかったのだがこればかりはしょうがない。

もし次回があったら参加して欲しい。

まあ予定はないのだが・・・


外の神様ズも、

「儂は興味無いのう」


「俺はそういうのはいらねえ」


「私は上級とか拘らないし」


「ムフ!」


「塩サウナ検定なら考えるけど・・・」

こんな感じだった。




遂にサウナ検定が開始された。

大食堂には緊張感が漂っていた。

押し黙る者達、貧乏ゆすりを繰り返し睨まれている者。

複式呼吸を行ってる旧メンバー達。


不正は許さないとスタッフが見回りを行っている。

この時ばかりは、関係無いお客さんも息を飲んでスーパー銭湯を利用していた。

なんだかすんません。

空気を読んでくれてありがとう。

ていうかごめんなさい。


遂に開始時間を迎えた。

「サウナ検定開始!」


裏返された用紙を捲って真剣に向き合う受験者達。

異様な空気感が漂っていた。

俺はその光景を後ろから腕を組んで眺めていた。


俯瞰で見ていた。

いったいこいつらは何をやっているんだ?と吹き出しそうになってしまったが。

でもここは笑ってはいけない。

真剣に挑んでいる者達がいる手前、俺もふざける訳にはいかない。

にしても俺もよくもこんな事を考えついたものだ。

我ながら笑える。


サウナ検定って・・・日本でも聞いたことがないぞ。

カリカリと問題用紙に記入する音が木霊している。

緊張の時間が過ぎて行った。

そして三十分が経過した。

検定終了の時間である。


「終了です!記入するのを止めてください!」

アナウンスが入る。


「なお、夜の受験者に問題内容を漏らすことは控えてください。契約魔法までは行いませんが、後日その事実が判明したら失格となります」

脅しまでかけていた。

いちいちそんなことを調査する訳がないのに・・・

でもこれぐらいで丁度いいだろう。

緊張感は崩したくはない。


そして夜の部も無事にサウナ検定は終了したのだった。

結果は三日後に事務所まで受け取りに来るようにと、最終のアナウンスが行われた。

検定を終え緊張感が解れてきているのが分かる。

いつのも大食堂が帰ってきた。

お客様には大変ご迷惑をお掛けしました。

本当に申し訳ありませんでした。

またのご来店をお待ち申し上げております!




俺は今、四百人近くの回答を行っている。

はっきり言って無茶苦茶楽しい!

そして面白い!

俺は全ての回答に真摯に向き合い、そして間違いには模範解答を添えている。

間違いをここで正し、今後のサウナマナーの向上に努めて頂きたい。

実感したのは皆が皆サウナを好きなんだなということ。

俺は嬉しくて溜らなかった。


正直言って遊び気分のおふざけで行ったサウナ検定だが、こうしてみるとやってよかったと思える。

回答をすることにとても遣り甲斐を感じる。

俺は終日回答に没頭することになっていた。

楽しいと時間が過ぎるのが早いよね。

理解が得られたら幸いです!




いよいよ結果が伝えられる時がきた。

事務所の前では既に長蛇の列が並んでいる。

皆な緊張の趣きである。

最前列にはマークとランドとロンメルがいた。


「お前ら何やってんだ?」

旧メンバーが一番乗りってどうなの?


「いや・・・気になって・・・」


「そうですよ、気になりますよ・・・」


「旦那・・・早く結果を教えてくれよ」

全員小さくなっていた。

こいつらは・・・結構小市民だな。

こいつらなりにプレッシャーがあったのだろう。

ちょっと笑える。


「そうか・・・俺としては・・・何とも言えんな・・・」

敢えてどうとも取れる発言をしてみた。


「ええ!」


「そんな・・・」


「マジか・・・」

不安を助長させてみた。

当然結果を知る俺としては焦らしているだけなのだが・・・

オモロ!

もっと焦らしてやろうか?

流石にこれ以上は酷か・・・


「まあ、後十五分待て。お前達・・・」

俺は平然と事務所の中に入っていった。


事務所の中ではゴンを始め、スタッフ達が慌ただしく作業を行っていた。

回答の結果を伝えるのは俺の仕事だが、スタッフ達は備品の準備に奔走している。

今回の結果に応じて、俺は一級合格者には俺のお手製のサウナハットを渡すことになっている。

そのサウナハットには〇島標に加え『FIRST』と書かれている。

そして二級合格者には〇島標に加え『SECOND』と書かれている。

そしてそれ以外の者には〇島標のみのサウナハットが贈呈されることになっている。

その選別にスタッフ達は朝から忙しくしていた。


そして何気にゴンが一級合格者のサウナハットを被っていた。

どうやら一級に合格したことをアピールしたいらしい・・・

俺は生温かくゴンを眺めていた。

まあ気持ちは分からなくはないが露骨すぎないか?

そんなに誇らしいのだろうか?

よく分からん。

まあ外っておこう。


因みに模範解答と解説は以下の通りとなっている、是非ご自身のサウナ満喫生活の参考にして貰えると嬉しく思う。


・サウナ前には全身を洗った良いか否か、またその理由は?

良い、当たり前の常識と言えるだろう。それを行っていない方は、まずはサウナへの敬意を持つべきだろう。

サウナ然り、スーパー銭湯然り、自分一人で使っている訳ではないことをまずは理解して欲しい。

誰もが気持ちよく使う為には、自分の汚れを利用前に綺麗にすることは当たり前の常識と考えて欲しい。

誰もが汚れの詰まったサウナや、お風呂なんかには入りたくはない。

自分が上級者との自覚があるのなら、行っていて当然の行為とも言える。

サウナマットを汗以外で濡らすことを恥と感じて欲しい。


・サウナ前には体を拭いて水気を取った方が良いか否か、またその理由は?

良い、これも先ほどの問題に通じるものがあるが、それ以前に、身体に水分が付いていない方がサウナのパフォーマンスが良いと考えられる。

それに何度も言うが、サウナマットを汗以外の水分で濡らさないで欲しいと思う。

少しでも綺麗に保ちたいとの思いがあって当たり前だろう。

もう一度言うが、自分一人で利用している訳ではない。

外の利用者に気を配るのは当たり前のことだと思う。


・水風呂に入る前には掛け水、又は掛け湯を行った方が良いか否か、またその理由は?

良いに決まっている。

してない者を見かけたらガードナーに付きだした方がいい。

そしてオズに裁かれて欲しい。

皆で使う水風呂だ、少しでも汚さないのが常識的なマナーだ。

これ以外何があるというのか?

汗を流した綺麗な体で水風呂に浸かる、これ常識です!


・サウナは粘れるだけ粘った方が良いか否か、またその理由は?

否、絶対にこうは考えて欲しくない。

無理は禁物である、ひと昔前にはそう考える人もいたようだが決してそんなことは無いので止めて欲しい。

体調に合わせて無理の無い範疇でサウナを楽しんで欲しい。

無理をしても整いは深くはならないよ。

程よく楽しんでください。

指先や足先がピリピリしだしたら危険なサインだ、今直ぐサウナ室から出て欲しい。


・サウナ後に取る水分で最も適した飲み物を二つあげなさい。

サ水と麦茶である。

ただしこれは異世界での話である。

日本ではオロポであったり、リラクゼーションドリンクなどがあるので、自分の好みで選んで欲しい。

重要なのは塩分とミネラルの補給ということだ。

汗をかくという事はその分の補給が必要ということに他ならない。

間違っても痩せる為と水分を控えるのは止めて欲しい。

それはただの脱水症状に繋がるだけでしかない。

減量中のボクサーの様な行為は控えて欲しい。


・サウナでは大声を出しても良いか否か、またその理由は?

否、に決まっている。一人で利用している訳では無い事を理解して欲しい。

大声を出す事は、他のお客様の迷惑になる行為になりかねない。

それに会話を聞かれることに抵抗はないのだろうか?

サウナ室にいる全員が、あなた達の会話に耳を傾けているのだよ?

どうしても話したい時には小声でね。


・サウナに入室する際には、入る側優先であるか否か、またその理由は?

否である。実はこれを理解している方が日本でも少ないのが現実である。

それにこれは諸先輩方に特にこの傾向がある。

恐らく電車やエレベーターの利用をあまりしてこなかったからなのかもしれない。

だが普通に考えれば分かることで、出る人が居なければ入ることができない。

従って出る側優先に決まっている。

これはあらゆる施設やお店でも同様のことである。

それにサウナに関しては自分のタイミングで出たいと思う為、入口を入る人で塞がれると正直イラっとするものである。

最低限のマナーであって欲しいとここは切に願う。


・サウナ室は上段の方が温度が高く、下段が温度は低いか否かまたその理由は?

上段の方が温度が高い。

熱や蒸気は上の方に溜まり易い為である。

これは経験則として、サウナによく入っている者なら分かって当然と言える。

下手な解説は要らないだろう。


・サウナは島野守が考案したものであるか否か

否である、な訳がない。

俺はただの愛好家でしかない。

だがそう思っている者が多いと俺はこのサウナ検定で知った。

サウナは誉れ高きフィンランドの誰かが始めた、健康法の一つであるとの一説が有名だが、いろいろ調べた所、詳細は定かではない。

一つ言えるのは、フィンランドの偉人様・・・ありがとう!

貴方のお陰でこれまで何人の悩める者達が整うことが出来たのか・・・

きっとドMさんなんでしょうが恩にきます。

ということだ。


・あなたにとってサウナとは?

これは自由に書いてくれといった所だ。

あなにとってはどうだろうか?

是非じっくりと聞かせて欲しい所だ。

時間はどれだけでも作ろう。

俺にとってはどうかって?

さて何日貰おうかな?

フフフ・・・




事務所の扉を開けた。

検定を受けた者達が中に入って来る。

受付ではマーク達が不安な顔をしてこちらを見ていた。


俺はマークの側に近寄り、

「マーク、ランド、そしてロンメル・・・お前達!一級合格だ!おめでとう!」


回答とサウナハットを渡していく。


「やった!」


「よっしゃ!」


「よかったー!」


マーク達は歓喜の表情を浮かべていた。

その後も回答とサウナハットを受験者に渡していった。

その結果に歓喜する者、残念だと下を向く者と反応は様々だった。


一級になった者は百十二人だった。

二級になった者は二百十一人。

その他の者は八十九人だった。

因みに旧メンバーは全員一級に合格した。

レケはギリギリの点数だったのだが・・・

あいつはよりによって、サウナ後に取る水分で最も適した飲み物を二つあげなさい。

の問題に、

「キンキンに冷えたビールとワイン」

と書いていた。


話にならん。

これはもはや病気だな。

お薬を処方してもらってください。

そしてカインさんは残念ながら二級となっていた。

彼はかなり落ち込んでいた。

立ち直るには数日は掛かりそうだった。

サウナ島歴が短い彼には少々難しかったようだ。

これを気にサウナのマナーを学んで欲しい。

こうしてサウナ検定は終わりを迎えたのだった。




その後サウナ島では、サウナに入っていない時でもサウナハットを被るのがトレンドとなっていた。

既にファッションの一つとして受け入れられている。


そしてその後、

「俺は上級ハンターだ!」

と宣う者達は現れなくなっていた。


それはそれで少し寂しい気がするが・・・

一級に合格した者達は、無言でサウナハットで上級者であるとアピールしていた。

更にサウナマナーを積極的に広めようと、サウナマナーを分かっていない者達に指導する姿が目に付いた。

これはこれで良かったと思う。

こうしてサウナマナーを広めていって欲しい。

どうやらFIRSTのサウナハットを被っている者は一目置かれる存在となっているようで、マークに至っては。


「サウナハットが手放せない」

笑顔で言っていた。


外にもこれは手放せないという者達が後を絶たなかった。

まあ好きにしてくれればいいさ。

サウナ検定は成功したということでいいよね?

多分・・・あまり自信が無いのだが・・・

まあお遊びということで・・・

勘弁してください。



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