序章
季節感を演出できた事に俺はいささかの満足感を得ていた。
お客さんはイベント気分を楽しんでくれたのだろう。
客入りを見る限りそれは正解であると解釈している。
日本人にとって正月はどうしても特別感がある。
テレビも特番一色になるし、街の人通りも日常とは違うからね。
神社に人が集まって初日の出を見に行く。
餅を食べて昼間から酒を飲む。
晩御飯もちょっと豪勢になる。
サウナ島もそうなっていた。
でもこれで良いと思う。
日本の文化ではあるがこの島には似合っている。
そしてブラッシュアップはまだまだ出来るのでは?
と考えてしまう。
ここで立ち止まる訳にはいかない。
更なる進化を求める気持ちは強い。
嬉しくも時季外れの桜が咲いた。
さっそく花見を行うことにした。
キャンプ場の利用客に許可を貰い、キャンプ場の脇に咲いている桜の木を中心に御座を敷く。
利用客には今回は半額にさせて貰うことを伝えた所、
喜ばれてしまった。
身内だけで花見を行うことにした。
あまり大っぴらにするのは気が引ける。
まだ三ヶ日が空けて間もないからだ。
それにキャンプ場の利用客にも申し訳ない。
初期メンバーのみが集まって、バーベキューコンロを持ち込んで肉を焼いていく。
最近の肉は『熟成』を使って熟成肉となっている。
これにより肉が各段に旨くなったと評判は高い。
勿論キャンプ場の利用客にもお裾分けを渡す。
桜を見ながら食事を楽しみ昼からお酒を飲む。
まだ正月気分は抜けていないみたいだな。
そしてどこから聞きつけたのか、神様ズが花見に交じってきた。
この人達は遠慮が無い。
まぁこうなるだろうとは思っていたけどね。
にしてもちょっとは遠慮してくれよな。
やれやれである。




