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ラファエル・バーンズその4

『イヤーズ』は熱気に沸いていた。

大規模な工事が行われると人々が集まって来ていた。

上下水道の敷設工事の計画は着々と進んでいた。

連日ラファエルは王城で過ごしている。

この時既にラファエルはザックおじさんの所には住んではいなかった。

言葉巧みに説き伏せて王城の一角に居を構えていた。

連日豪華な暮らしを過ごしている。

特に食に拘りはないラファエルだが、アルコールは大好きである。

ワインを毎日浴びる様に飲んでいた。


ラファエルはザックおじさんにはこれまで世話になったと金貨千枚を置いていったのだが、数日後には返ってきてしまっていた。

頑固爺が、世話賃ぐらい受け取れよとラファエルは思っていたのだが、当のザックおじさんはそうとは考えていなかった。

手切れ金の様で受け取りたくはなかったのだ。


変わってしまったラファエルではあったが、ザックおじさんはラファエルを見捨てたりはしない。

彼は何処までもお人好しなのだ。

遠目からラファエルのこと見守っていたのだ。

時折王城にやってきてはラファエルを叱っていた。

ザックおじさんは王城では顔パスになっている。

好きな時に現れて好きな時に去っていく。

そしてその商人の手腕を買われて、今では王家のお抱え商人にもなっていた。


実はそれには裏があった。

そう仕向けたのはラファエルだったのだ。

金を受け取らない頑固爺にはこんな恩返ししか出来そうもないと、ラファエルなりの気遣いだったのだ。

薄々そうと気づいていたザックおじさんだったが、王家からの依頼とあっては断ることはできない。

受け入れざるを得なかった。

だが同時に誇らしくも感じていた。

彼の敬愛する王家のお抱え商人になることは彼の夢でもあったのだから。


上下水道工事はその設計段階だけに留まらず、ラファエルは積極的に現場にも足を運んだ。

一時金を得て富豪と成っているラファエルには常時護衛が付いている。

始めは護衛の必要性を感じなかったが、何度か怖い眼にあったラファエルはSランクのハンターを雇い、常に身の安全を確保していた。

護衛に守られるとその様はVIPの様であるとラファエルは鼻が高くなっていた。

こんな待遇も良いもんだと感じていた。


ラファエルは工事現場では大声を張り上げて作業員に指示を与えていた。

そんなことはこちらでやるからと、大工の棟梁達は嫌な顔をするのだがお構いなしだ。

人を信じることが出来ないラファエルとしては当然のことと考えている。

それにラファエルはこの世界の人々を見下していた。

田舎者と心の中では罵っているのだ。

俺が教えてやっているんだと上から目線は変わらない。


この工事現場には流石にザックおじさんは出入りできない。

何度か見学に来たことはあるのだが工事関係者ではないと帰されてしまっていた。

本当にザックおじさんは面倒見が良い。

頭が下がる想いである。


実は『イヤーズ』の上下水道にはちょっとした盲点があった。

それは浄化槽がないことである。

ラファエルには建設関係の知識は薄い。

上下水道の構造その物は理解しているのだが浄化槽の存在を忘れていた。

浄化槽の存在を知ってはいたのだが彼は失念していたのだ。


其処をリカバリーする案をラファエルは思い付く。

それは蛇口に浄化魔法を付与した魔石を埋め込むというものであった。

そこでラファエルは魔石を搔き集めることにした。

ここでも更に儲けを得ようと企んだのだった。

失念していただけなのだが、これを都合よく儲けに繋がったと自分を褒めていたぐらいだ。

その欲深さは健在だった。


だがその企みはザックおじさんによって阻止されてしまう。

ラファエルが魔石を搔き集めているという情報を早々に察知し、これは王家のお抱え商人としては見過ごせないと彼のネットワークを駆使して、先んじて魔石を王家に購入させたのだった。


ラファエルは気に入らない。

自分の思い通りに成らなかったと。

そしてこの先ザックおじさんの事を取り合わなくなってしまった。

彼にとっての最後の良心を遂に彼は自らの手で手放してしまったのだった。

その自尊心と傲慢な考えによって。


ザックおじさんはとても悲しんでいた。

こうなるのでは?と予想はしていた。

ザックおじさんはラファエルの異常に高い自尊心と金銭欲を知っていたからだ。

だがお抱え商人の立場にある者としてはどうしても見過ごせなかった。

そのお抱え商人の地位も元を辿ればラファエルが用意したものなのだ。

ラファエルにしてみれば自らの首を自分で締めたということになる。


それと気づいた時にはもうザックおじさんには声を掛けられる段階には無かった。

タイミングを逸していたのだ。

それはそうだろう、自分から突き放しておいて自分から擦り寄る訳にはいかない。

彼の自尊心がそれを許さなかったからだ。

ザックおじさんとしてみれば、ラファエルから歩みよってくれるのならとは思ってはいたのだが、それは叶うことはなかった。

残念ながら彼の一縷の望みは成就しなかった。


そしてザックおじさんはお抱え商人の地位を返上することにした。

その商人としての能力の高さは王家の中でも信頼されており、辞めるなとバハムート国王自ら声を掛けられた時には、ザックおじさんは胸が張り裂けんかの如く感動した。

しかし彼の決心は堅かった。

お礼と感謝の意を述べて王城を去ることにしたのだ。

このことをラファエルには伝えないで欲しいと言い残して。

もう自分に出来ることは無くなったと・・・その時間もあまり無いと・・・


彼は自分のお店に戻り細々と暮らすことにした。

でもザックおじさんはいい夢を見せて貰ったとラファエルには感謝していた。

人生の最後に大きな仕事をさせて貰ったと満足だったのである。

そして上下水道工事が完成しようかという頃。


ザックおじさんは息を引き取ったのである。

享年五十八歳、この世界の人間の寿命としては少し早いお別れである。

彼は実にあっさりと病気によりこの世界から旅立ってしまったのだった。

病気であることは周りの者には一切悟らせなかった。

その死に顔は笑顔であったと、彼の最後に立ち会った者は後に語っている。




ラファエルはそうとは知らず迫りくる工期に追われていた。

完成は間近であり問題なくその完成を迎える準備は出来ていた。

街の中心に完成間もない噴水がある。

工事の完了はこの噴水に水が通った時となる。

その際には盛大な式典と祭りが行われる予定である。

各家庭への上下水道工事はその先に随時行われることになるが、ここからはラファエルは王家に任せるつもりであった。


ラファエルは工事を完成させ、式典や祭りに現れるであろうザックおじさんに声を掛けるつもりでいた。

ここで仲治りしようと考えていたのだ。

そして式典が始まった。

国王や大臣達が参列し盛大に式典は催された。

ラファエルも功労者として紹介され自慢げにしている。

万来の拍手に心を踊らせていた。


周りを見渡すラファエルだがその眼にザックおじさんが映ることは無かった。

式典が終わり既に祭りが始まっていた。

ラファエルはにこやかにしているが内心では焦れていた。


(ザックおじさん、どこにいるんだよ!早く来いよ!俺の記念すべき日なんだぞ!)

既にザックおじさんは息を引き取ってから数日が経っているのだが、ラファエルはその事を知らない。

いい加減抑えきれなくなったラファエルは護衛を引き連れてザックおじさんのお店に向かうことにした。

その手にはワインボトルが握られていた。

今日はザックおじさんと酔いつぶれるまで飲む気でいたのだ。


ラファエルは夢想する。

きっと上下水道工事が完成したことを喜んでくれるだろう。

魔石の件に関しては・・・すまなかったと謝ろう。

ザックおじさんならきっと許してくれるはずだ。

にしてもなんだよ!こんな記念すべき日に何やってんだよ。

そしてザックおじさんの店の前に馬車が到着した。




様子が変であることにラファエルは直ぐに気づいた。

入口の扉は堅く締められいつも開かれている二階の窓も締まっている。

扉に手を掛けるが鍵が掛けられており開けることが出来ない。

裏口に周り裏口の扉を開けようとするがここも締まっていた。

どうしようかとラファエルは隣に住むメリダ婆さんの家に駆けこんだ。

ドンドンドン!!


粗々しくノックするラファエル。

「はいはい、なんだいこんな夜更けに」

家の中から声がした。

ゆっくりと扉が空けられる。


「ラファエル!」

メリダ婆さんがラファエルを見て眼を見開いた。


「メリダ婆さん!ザックおじさんは何処にいるんだ?」

ラファエルは必死に尋ねる。

その心には嫌な予感が去来していたからだ。


「何処に居るって・・・あんた・・・遅すぎるんだよ!!この馬鹿者が!!今頃何だってんだい?ザックは死んじまったよ!!この親不幸者が!!」

メリダ婆さんは眼に涙を浮かべてラファエルを怒鳴りつけた。

ラファエルは何が起こっているのか分からなかった。


(はあ?メリダ婆さんは何を言っているんだ?遂に呆けやがったか?ザックおじさんが死んだって?あり得ない・・・そんなことは・・・認めないぞ・・・)


「嘘だろ?・・・」

こういうのが精一杯だった。


「嘘でこんな事が言えるかい?あんた今頃何しに来たんだい!遅いんだよ!!」

メリダ婆さんの必死さにこれが現実であることをラファエルは悟った。


「嘘だ、嘘だ・・・あり得ない。そんな・・・」


「この馬鹿が!!大馬鹿が!!」

メリダ婆さんはラファエルの胸を叩いていた。

それを護衛達が止めに入る。

ラファエルは何も考えられなかった。

手にしたワインボトルは音を立てて地面に落下した。

バリン!!という乾いた音が寂しく響き渡る。

ラファエルは膝から崩れ落ちていた。


こうなってやっとラファエルはザックおじさんの存在の大きさに気づいた。

ぽっかりと胸に大きな穴が空いたことにラファエルは激しく動揺した。

ラファエルは周りの事を憚ることなく涙を流した。

それはもはや慟哭に近いものだった。

何も考えずただただ泣いた。

ここからのことはもうラファエルの記憶にはない。




ラファエルは気が付くと自分の寝室のベットに寝転がっていた。

何で此処にと考えを巡らせる。

そして思い出していた。


(そうか・・・ザックおじさんは死んだんだったな・・・でもどうして・・・)

まだ受け止めきれないラファエルだった。


(そんな気配は無かったはずだ・・・)

考えても答えは出そうも無かった。


ラファエルはバハムート国王と謁見することにした。

直ぐに王の間に通される。

玉座に座りバハムート国王はにこやかにラファエルを迎えた。


「ラファエルよ、この度は大儀であったな」

労いの言葉が掛けられる。


「ああ、ありがとう。それはいいとしてだ、聞きたいことがある」

ラファエルの表情は真剣そのものだ。


「聞きたい事とな?それは何であるのか?」


「ザックおじさんの事だ」

バハムート国王は表情を硬くした。

それを見てラファエルは何か知っているなと見当をつける。


「ザックの何を知りたいというのか?」


「ザックおじさんは死んだぞ・・・」

バハムート国王は天を仰ぎ見た。


「何と・・・そうであったか・・・」


「何か知っているな?」

バハムート国王は困った表情を浮かべている。


「・・・答えに困る・・・だがザックが死んだのは知らんかった、許せラファエルよ・・・」


「そうか・・・それで・・・何を知っているんだ?」

バハムート国王は下向き加減で話し出す。


「本人には口止めされておったのだ、ラファエルよ許しておくれ。ザックはな、お抱え商人の座を辞したのだよ」

ラファエルは動揺する。


「そうなのか・・・」


「そうである・・・その理由は語ってはくれなんだが・・・そういうことであったか・・・悲しことである・・・優秀な者を失ってしまったな。この国の多大な損失であるぞ」


「そう言ってくれるか・・・ありがとよ、バハムート国王・・・今頃ザックおじさんも天上で喜んでいるさ」

二人で沈痛な想いを受け止めていた。


「・・・」

ラファエルは意を決して言葉を紡ぐ、


「少し考えてみたいことがある・・・時間を貰いたいがいいか?」


「好きになさると良い。ラファエルよ、そう落ち込むでないぞ」

バハムート国王の優しさが痛いラファエルだった。


「ああ、悪いな・・・」

ラファエルは王の間を立ち去っていった。

その背には何かしらの決意を漂わせていた。




ラファエルは逃げなかった。

本当は行きたくはなかったのだが此処は行かなければならないと、もう一度ザックおじさんのお店に向かった。

ザックおじさんのお店は昨日見た儘の、人の営みを感じさせない虚無なものだった。

それに寂しさを感じてまた涙を流しそうになるが、それをラファエルはぐっと堪えた。

再びメリダ婆さんの家の扉を叩く。

ドンドン!!


「はいはい!」

元気な声が返ってくる。

扉が開かれた。


「ラファエル、お前・・・」


「メリダ婆さん・・・昨日はすまなかった」

ラファエルは素直に謝った。


「・・・そうかい・・・それで?」


「聞かせてくれないか・・・ザックおじさんの事を・・・」


「・・・入りな」

メリダ婆さんはラファエルとその護衛達を家の中に招き入れた。


「何か飲むかい?」


「ああ、なんでもいい」


「そうかい適当に座っとくれよ」

メリダ婆さんは顎で椅子を示した。


「すまないがお前達は外してくれるか?」

ラファエルは護衛達に指示する。


「しかし・・・」

護衛長の男性が戸惑いながらも職務を遂行しようとする。


「こんな婆さんに何ができるってんだ?いいだろ?」


「畏まりました」

護衛達は家を出ていき家の周りを警護することにした。


「なんだいラファエル、今じゃあお偉いさんかい?」


「けっ!そんなんじゃねえよ」


「ザックがお前さんを連れてきた時にはどうなるものかと肝を冷やしたよ、全く。今では遠い過去の出来事さね」


「だな・・・」

二人は眼を合わすことなく会話をしていた。


「ザックはねえ、連れ合いも無く、子も無く、あんないい奴がどうしてと思ったものさ。巡り合わせって奴なのかねえ?でもねえ、あいつにとってはあんたは息子みたいなもんだったのさ。分かるかい?」

泣きそうになる自分をグッと押し殺すラファエル。


「・・・」

ラファエルは机の一点を見つめて話を聞いていた。

そうでもしないと涙を抑えきれなかったからだ。


「いつだかさ、ザックは言ってたよ、俺にも息子と思える奴が出来たってね。世話の掛かる奴だが、あいつは凄い奴なんだ。飛んでもない才能を持っているってさ、おらの商人の眼は間違い無いって。そりゃあ嬉しそうに語っていたさ」

メリダ婆さんは背を向けて語っている。


「そうか・・・ありがたいことだな」

敢えて他人事の様にラファエルは振舞っている。


「ほんとだよ・・・いきなり訳も分からずこの世界に来ちまったあんたが忍びなかったのかねえ?ザックらしいことだよ。何処までお人好しなんだか・・・」

メリダ婆さんが紅茶を入れてテーブルに置いた。

そしてラファエルの正面に腰かける。


「で・・・何を聞きたいんだい?」

ラファエルは歯を食いしばった。


「・・・最後に立ち会ったんだろ?」


「ああ、そうさね」


「聞かせてくれないか?ザックおじさんの最後を」

ラファエルの眼を見てメリダ婆さんは心を決めたみたいだ。


「分かったよ・・・ザックはさ・・・最後まであんたの事を気にかけていたよ・・・死ぬ直前までさ・・・ラファエルは元気なのか?上下水道工事は終わったのか?ラファエルは我儘を言って誰かを困らせて無いかってさ・・・あいつには悪い事をした・・・お抱え商人としてはそうするしか無かったってさ・・・あいつとまたワインが飲みたいよ・・・あいつとバカ騒ぎがしたいってさ」


「そうか・・・ありがとう・・・」


「でもさ・・・いい死に顔をしていたよ。人生の最後にラファエルにはお抱え商人の地位を貰えたって、恩返し以上の恩を返して貰えたって嬉しそうにしていたさ・・・」

ラファエルは必死で涙を堪えていた。

今にも崩れそうな自分を何とか奮い立たせていた。

ここで自分の見失う訳にはいかないと自制心を働かせていた。


「いい人生だったと思うよ私にはさ、ザックはあまりにお人好しだった。その所為で苦労したこともあったのさ。でもね、あんたが現れてからは本当に楽しそうにしていたねえ。分かるかい?ラファエル?」


「みたいだな・・・」


「あんたも思う処があるだろうが、ザックのことを想ってくれるならこの先の人生を見つめ直したらどうだい?あたいにはよく分からんけどさ・・・そうだ!あんたに渡す物があるんだった。受け取ってくれるかい?」


「ん?それはいったい?・・・」


「ちょっと待っておくれ」

そう言うとメリダ婆さんは部屋を出て行った。

数分後メリダ婆さんが壺と便箋らしき物を携えて現れた。


「これがザックさ・・・こんなんになっちまってさ・・・これはあんたが引き取っておくれ」

メリダ婆さんは壺を突き出してきた。

ラファエルは大事そうにその壺を受け取った。


(ちっ!こんなんになっちまって・・・)

ラファエルは壺を愛おしそうに撫でていた。


「ラファエル、これはあんた当ての手紙さ。受け取りな」

無造作に便箋が手渡された。

ラファエルは受け取るとマジックバックにそれを捩じり込んだ。


「メリダ婆さん、すまなかったな・・・助かるよ・・・」


「なんだいラファエル、しみじみしているんじゃないよ全く!らしくないねえ!」


「ケッ!煩せえんだよ婆あ!」

ラファエルは去勢を張るしか無かった。

これがメリダ婆さんなりの優しさであると分かっているからだ。

ラファエルはメリダ婆さんの家を出ることにした。


「じゃあな婆さん、死ぬんじゃねえぞ!」


「よく言うよ!お前さんが引き取ってくれるのかい?」


「ふざけるな!ごめんだよ!」


「はいはい、とっとと出て行きな!」

馬車を走らせてラファエルは王城の部屋に帰っていくのだった。

その背には拭い様の無い寂しさを背負いながら。




ラファエルよ、元気にしているか?

おらは幸せ者だでよ。

お前えに会えたからな。

お前えはおらにとっては息子と変わらねえ、お前えにとってはいい迷惑かもしれねえだか?

そんな寂しい事は言うでねえだ。

おらの息子ということにしといてくれだで。

お前えと過ごした日々はおらにとっては宝物だでよ。

本当にありがとうな。

なあ、覚えてるか?

始めて会ったあの街角を。

お前えにとっては何がなんだか分かって無かったかもしれねえだが、おらにとってはそうではないだ。

お前えを始めて見た時におらはピンときただで。

飛んでもねえ奴が現れたと。

おらの人生が変わっちまうだと。

お前えはほんとに凄げえ奴だな。

能力もさることながら、その発想はおらには全く真似できねえだで。

お前えは天才だで。

でもなラファエル、そこに溺れるでねえだよ。

自分は凄いと己惚れるでねえだ。

それがお前えの良くない処だでよ。

ああ、ラファエル、お前えと一緒に飲むワインはとても美味しかっただで。

おらはお前えの話を聞く事が本当に楽しかっただで。

奇想天外な事を当たり前の様に話すお前えがおらは誇らしかっただよ。

いいかラファエル。

頭を垂れよ!

人を見下すでねえだ!

そしてお前えは神様に成れる!

おらは信じてるだ。

お前えは夜な夜なおらに語っただで、俺は神に成るだと。

神様に成って人々を救ってくれ。

その類稀なる才能でお前えは人々から崇められる存在になるんだろうな。

ラファエル、またお前えに会いただよ。

お前えとワインが飲みたいだよ、たくさん話がしてえだよ。

ラファエル愛してるだ。


ザックおじさん


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