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武装国家ドミニオン

武装国家ドミニオンはルイベントから東に陸路で十日程の所に位置する、山を切り崩して造られた国だった。

街を囲む様に高い堀が囲っており、簡単に侵入は許さないとその景観が雄弁に語っていた。

武装国家とはその名の通りで強力な国軍を有しており、優秀な兵士が多く存在しているとダイコクさんが以前語っていた。

ルイベントとは国交は開けているが、心を許せる程の間柄では無く。

一歩間違えるとその関係は大きく揺らぐ可能性があるということだった。

ただルイベントは永世中立国を謳っていることから、関係が悪化したからといってその矛先をドミニオンに向けることはない。


ただしルイベントも自衛の手段が無いわけでは無く。

攻め入られれば自衛できるだけの準備はある。

ルイベントも自衛出来るだけの軍隊を有しているという事だ。

その軍隊のナンバーツーがあのライルだから大丈夫なのか?と疑ってしまうのだが、ライルもそれなりに強者だということらしいから困ったものだ。

あいつの小物感は半端なかったからね。

魔物達と比べてはいけないと思う俺だった。


そしてそこで効力が発揮されるのがシマーノとの同盟関係だ。

両国間で結ばれた条文の中には、

『双方において、他国からの軍事侵攻があった際には、協力してそれに当たる事にする』

という一文がある。

これは即ちルイベントがドミニオンからの軍事的侵攻を受けた際には、シマーノはその防衛の協力をしなければならないという事を意味している。

それは逆も然りで、もしシマーノがどこかの国から軍事的侵攻を受けた際にはルイベントもその防衛に協力しなければならない。


だが、これは実はあり得ないことだった。

というものシマーノが隣接する国はルイベントしかなく、数少ない可能性としては海路を使った軍事行動であり、海路でないとシマーノに軍事侵攻が出来ない位置にシマーノが存在しているからだ。

北半球の軍事勢力に関しては俺は全く知らないのだが、どう考えても海路を使った軍事行動を行える国があるとは思えなかった。

もしそんな国があるのなら、南半球に軍事行動はしないまでも、船を向かわせることぐらい出来るということだからだ。

だが現実としてはそんなことは一切確認されていない。

百年以上前にはそんなこともあったということだったが、その数は数える程しかないとも聞いている。

その為シマーノが軍事侵攻を受けることはあり得ないということだ。


この条文の意味するところはルイベントが軍事侵攻を受けた際にはシマーノは協力してくださいね、という一方的なものなのだ。

この条文に関しては、俺は実はプルゴブからこっそりと相談を受けていた。

余りに一方的なもので平等性が無く、これは条文から外した方がよいのではないか?とプルゴブは考えていたのだ。


そんなプルゴブに俺は、

「お前達は進化して強くなった、どうだ?人族に後れを取るなんてことがあると思うか?」

俺は現実の力関係を暗に伝えたのだった。


その意味を察したプルゴブは、

「この北半球において、我等魔物達は過剰戦力になっております。我等に歯向かう者などおりませんでしょう」


「そうだな、だからお前達はその力をどう使うのかよく考えなければいけない」


「左様ですな」


「力ある者は弱者を保護しなければならないと俺は考えるのだが、お前はどうなんだ?どう考える?」

昔のソバルだったらこの意味を受け止められなかっただろうな。


「儂らは虐げられてきました。弱者の気持ちは痛い程に理解できます。強者となった今、弱者を守るのは当然かと」


「なら答えは出ているんじゃないか?」


「仰る通りでございます、お導きくださりありがとうございます」

こんなやり取りがあったのだ。


そんなことからルイベントの急事にはシマーノの魔物達は駆けつけなければならないことになっている。

クモマルからは今はルイベントとドミニオンとの関係は悪化することは無さそうである、と報告は受けている。

急な方向転換が起きないことを祈るばかりだ。

ルイベントとドミニオンとの距離感は一定の距離を保っている状態だった。

外にも報告は多数あった。

ドミニオンの経済や政治に及ぶまで、アラクネ達から毎日報告は上げられてきている。

今やドミニオンに行かずとも、その動向は追う事が出来ていた。

ただ俺はその空気感を自分自身で感じたいと考えた為、俺達はドミニオンに向かっているのだった。

やっぱり実際に見て見ないと判断は下せない。




島野一家はこれまで通り瞬間移動を繰り返して、ものの半日でルイベントからドミニオンに到着した。

もはや手慣れた移動手段だ。

ノンに至ってはそのほとんどを寝ていたぐらいだ。

後半はゴンに叱られて起きてはいたのだが・・・

ギルとエルがまたかと項垂れていた。

仲良くしてくれよないい加減。

なんでこいつらは犬猿の仲なんだ?

まあいいか。


旅の間の肩書をどうしようかと悩んだが、ここはハンターでいこうということになった。

商人でもいいのだが、何も販売をしないことを怪しまれることもどうかということになったからだ。

ダイコクさんの話では北半球にもハンターはおり、ハンター協会もあるということだった。

ならばそれでいいだろうと。

ただ南半球のハンター協会の会員証は使えないだろうということだったので、ハンター協会で会員登録は必要ということになる。

少々面倒臭いがこればかりはどうしようも無い。


俺達は城門の入口で立ち入り許可を求めて長蛇の列に並んでいる。

それにしても、ものすごい人数が並んでいる。

人族が大半で中にはわずかに獣人も見かけるが、ちょっと様子が変だ。

否、明らかに様子がおかしい。

獣人には首に見たことも無い首輪が嵌められており、人族に傅く様にしているが伺える。


獣人を従える人族は豪華な衣装を身に纏っていた。

高貴な存在であることが分かる。

おそらく貴族では無かろうか?

細い眼の神経質そうな顔をした背の低いおじさんだった。

クモマルからはドミニオンは貴族社会であると報告は受けている。

獣人に対して侮蔑とも取れる態度で接しており、今も獣人を足蹴にしていた。

その口元には下卑た笑顔が張り付いている。


はあ、これはあれだな、奴隷だな。

俺は一気に暗い気分になった。

見たく無かったな・・・

タイロンの奴隷とは雰囲気が違う。


今ではタイロンは奴隷制度は無くなっている。

ただオズが改心するまではあった制度で、今でもその名残はある。

その名残を払拭しようとオズとガードナーは日々奮闘している。

特にオズは躍起になっており、ステータスを治すだけでは無く就職先まで斡旋しているのだった。

実はサウナ島でも数名元奴隷を引き取っている。

彼らは今では改心し活き活きと働いていた。

逆に待遇が良すぎると、周りから羨ましく思われている節すらあるということだった。

俺は元奴隷がちゃんと社会復帰が出来ていると喜ばしく感じていた。

その一端を担っていると誇らしくも感じていたのだ。


俺がやったことはマークに丸投げしただけだ。

マークはまたですか?と肩眉を上げただけだった。

それでも未だ南半球でも奴隷がいるのだが、その数はほぼ一桁に近いとガードナーが以前話していた。

そんな過去を持つタイロンでの奴隷よりも、余りに扱いが酷いと感じてしまう。

間違っても首輪なんて嵌めていなかったぞ。


ふつふつと俺は怒りが沸き立ってくるのを感じていた。

どうしてもこればかりは許せない。

気を抜くと表情に出そうだ。

どうして人の下に人を置こうとするのか?

隷属して人を従えることは、間違っても人を従えていることにはならない。

こんなことで優越感を感じていることに忌避感すら感じている俺だった。

これはいけない、もはや聖人なんだからこんなことで顔に出る様になってはいけない。

いや、聖人だからこそこの様な扱いが許せないのか?

諦めた顔で下を向く獣人の青年に駆け寄って、今すぐにでも解放してやりたい。

でもここでは目立つ行動は控えなければならない。


そんな俺の思考を無視してゴンとギルが色めき立っている。

あっ!駄目だ。

これ本気のやつだ。

今にも飛び掛からんという程に貴族らしき男性を睨みつけていた。

その視線を感じたのか貴族であろう人族が横目でこちらを見ていた。

傲岸不遜な態度でこちらに近寄ってくる。

なんで近寄ってくるんだよ。

お前お終わるぞ!

それは死へのデスロードだぞ。


「おい!そこの子供と女!吾輩に何か用か?」

人族の男性はゴンとギルを見下すように話し掛けていた。

ああ、やっちまった。

鼻の下に生えているちょび髭が小物感を助長している。

お付きの者達も数名同伴していた。

姿恰好から護衛であることが窺い知れる。

あ、こいつ死ぬかも。


ギルに至っては口に笑みを含んでどうしてやろうかと思案しているのが分かる。

ゴンは正義感が先に立っているのだろう我慢がならないと青筋を立てていた。

こうなっては俺も止めることは出来ない。

このおっさんはギルとゴンにとっては歯牙にもかけない相手だろう。

それを分かっていない人族の男性が更にいらない言葉を重ねる。


「何だお前達は?吾輩を誰と心得る。吾輩はハセ伯爵なのだぞ!」

その言葉を無視してギルとゴンはいきなり獣化した。

一同に驚きが響き渡る。


「ドラゴンがなんで?」


「なんと!九尾の聖獣?」


「神獣様だ!」

その様に完全に腰の引けたハセは言葉を失っていた。

空いた口が塞がっていなかった。

尻もちを着いてワナワナと震えている。

順番待ちをしていた者達は我先にと距離を取っている。

そりゃあ巻き込まれたくはないよね。


「僕に何か用?」


「私に何か?喰いちぎりますよ」

二人は哀れな者を見るかの様にハセを見下していた。

お付きの者達が一拍遅れて二人とハセの間に立った。

だがそのお付きの護衛達も完全に腰が引けている。

一度は尻もちを着いたハセだが、護衛に守られたことで落ち着きを取り戻したのか、徐々に強気になっていく。


「なんだお前達は?・・・ドラゴンと・・・お前は何だか分からんが、それがどうしたというのだ!ドラゴンなんぞ、先の大戦で駆逐された存在だろうが!」

その発言にギルがいきり立つ。


「何だって?喧嘩売ってるのかな?いくらでも買ってあげるよ」

と言うや否やギルは上空にブレスを放った。

上空に火柱が立ち昇っている。

余りの出来事に距離を取っている観衆達はこの場から逃げ惑い、一目散に城内に押し寄せていた。

ギルのブレスに完全に腰が引けたハセは先ほどの勢いは何だったのか?というほどにたじろぎ、下半身を塗らしていた。

それを目聡くノンが気づく。


「おじさん、おしっこ漏らしているよ。ハハハ!!オモロ!!」

一瞬何を言われているのか分からなかったハセだが、それに気づいて顔を真っ赤に染めていた。


「ほんと、恥ずかしいこと。見てらんないわね!」

ゴンが見下して言い放つ。


「あらま、少々臭いですの」

エルが止めを刺した。

この様子を冷めた目で眺めていた奴隷の獣人がここで初めてくすっと笑った。

これを見逃さないギルがゴンに尋ねる。


「ゴン姉、あの首輪って外せると思う?」


「楽勝ね、契約魔法で縛っているだけよ。上書きは簡単ね」


「じゃあ外してあげようよ」


「そうね」

おいおい、いいのか?

まぁいいのか。

どうにでもなれだ。

ゴンは奴隷の獣人に近づくと勝手に首輪を外してしまった。

奴隷の獣人はキョトンとしている。

お付きの者達が騒ぎ出す。


「おい!何を勝手にやっているのだ!」


「ふざけるな!ハセ様の所有物だぞ!」


「いくらしたと思っているのだ!」

やれやれだ。

そろそろ俺の出番かな?


「おい!ハセとやら。奴隷を何処で調達したのか教えてくれるかな?」


「何だお前は?お前達は何なんだ!」

ハセは恥ずかしさが突き抜けたのか逆ギレしだした。


「吾輩を辱めやがって、許さんぞ!」

はあ?駄目だこりゃ。

俺は『念動』を使ってハセを三メートルほど空中に浮かせた。

ハセはギャーギャー騒ぎながら上空でバタバタしている。

お付きの者達もついでに浮かせておいた。

何かされたら鬱陶しいからね。

巻き込まれたお付きの者達はワナワナと震えていた。

自分達は関係無いと言いたげな顔をしている。


「おっさん!いいから答えろ。奴隷を何処で調達したんだ?」


「言うもんか!ここから降ろせ!ズルいぞ!」

何がズルいんだ?

よく分からん。

更に二メールほど浮かせてやった。

ハセのズボンのシミが大きくなる。

ポタポタと雫が滴っている。


「やめろ!やめてくれ!」


「おっさん!いいからとっとと答えろ!それに汚い!」

このままストンと落としてやろうかな?

地面に着く直前で止めるとか面白そうだな。


「頼む、お願いだ!止めてくれ!」

俺は無言で更にゆっくりと上空に『念動』でハセ一同を上げていく。


「ああ、なんで?止めて・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい!」


「おじさん、いいから早く答えてよ」

ギルは上空に羽ばたくとハセの隣に並んだ。


「ごめん!悪かった。お願いだ。降ろしてくれ!」


「おじさん馬鹿なの?早くパパの質問に答えなよ。じゃないとどうなっても知らないよ?パパが本気で怒ったら、この世界が滅んじゃうんだよ」

おい!ギルなんてことを言うんだ!

あ!この目は本気でそう思っているな・・・

俺ってそんな存在じゃないんだけどな・・・

そうか、ゼノンに命じれると思っているのか・・・

しませんがなそんなこと。


「分かった!答える!答えるから降ろしてくれ!!」

簡単に降ろす訳ないだろ、まったく。

俺は『浮遊』でハセの眼の前に浮かんだ。

ハセが目玉をひん剥いて俺を見ていた。


「おお、神だ!」


「なんということだ・・・」


「そんな・・・」

お付きの者達は完全に心が折れたみたいだ。

数名は空中で俺を拝んでいた。

なんでそうなるかな?


「いい加減早く話せ、此処から落とされたいのか?」


「ははっ!答えさせて頂きます!」

ハセは急に態度を改めた。

あれま、従順になったことだ。

これならば始めに飛んで見せればよかったのか?

飛べることが神の証明になるのか?

よく分からん。


「この奴隷は宗教国家『イヤーズ』で購入しました。金貨二十枚でした。裏町の奴隷商人に勧められたのです。熱心な売り込みに断ることができず・・・」

何が熱心な売り込みだよ、言い訳は要らないっての。

どうせ邪まな考えがあったに決まっている。

この後に及んで・・・こいつは駄目だな。

腐っている。

ここまでくると嫌悪感が半端ない。


「分かった。もういい、この奴隷は譲って貰う、いいな?」

俺は問答無用で裁きを行った。


「はは!勿論でございます」

ハセは空中で土下座をしていた。

器用なものだ。

ゴンとギルは奴隷の獣人を介抱していた。


「後教えてくれ。北半球では獣人は蔑まれているのか?率直に答えろ」


「ははっ!申し上げます。獣人は北半球ではその数が少なく、又、迫害を受けている種族であります」


「そうか、なんで迫害を受けているんだ?俺にはその理由が分からない」


「そうでありますね・・・吾輩は存じあげません・・・」

だよな、理由なんてないんだ。

ある筈もない。

結局差別なんてそんなものなのだ。

差別する理由なんて突き詰めればあるものではない。

偏見と侮蔑から差別は始まりそれが意味も無く派生する。

容姿の違いや能力の差が妬みを生み、それがいつしか拒絶になり、気が付くとそれは差別に繋がるのだ。

最終的には数の論理で少ない方が差別される。

なんともつまらない。

紐解けばこんなものなのだ。

構図はハッキリしている。

多数が少数を迫害する。

つまらない。

あまりにつまらない。

そして争いが生れ、いつしかそれが当たり前の事と受け止められる。

世知辛い世の中だ。




ハセ一同を地面に降ろすと歓声が沸き起こった。

避難していたかに見えたが、興味を覚えた者達が事の顛末を眺めていたのだった。


「やったー!」


「凄い!」


「神が降臨されたぞ!」

俺達は観衆に囲まれてしまった。

おいおい、勘弁してくれよ。

ハセは相当評判が悪かったのだろう、ハセに対して唾を吐き掛ける者までいた。

警護の者達も既にハセを見限っているようで、その行為を咎めたりしていないどころか、助長させる様にハセに罵声を浴びせていた。

あれまあ、なんだかね。

悲しい奴だな。


ハセは神に見放された者と雑な扱いを受けていた。

俺はハセの事は放置することにした。

だって無関係だからね。

悪い事をしたという気分にはなれない。

貴族だろうが知ったことじゃない。

文句があるなら国王でも何でも連れてこればいい。

いっその事そうしてくれると助かる。

話しが早くていい。


俺達は大観衆に迎えられており、何時もの如く調子に乗ったノンが観衆を煽ってふざけている。

ノンは一体何がしたいのだろう?

ただ単に騒ぎたいだけなんだろうけど・・・

そもそもノンはこんな性格だったか?

そうなんだろうね・・・多分・・・

やれやれだ。




そして王城からの使者が出迎える為に俺達を待っていた。

屈強な兵士に守られる様に、凛とした態度の老齢の男性が俺達を迎え入れたのだった。


「この度は我が国の貴族が無礼を働いたようで申し訳御座いません」

深々と頭を下げられた。

ほんとに迷惑でした。


「今回は許すが次は無いぞ!」

俺は敢えて偉そうに対応した。

それには理由があった。

クモマル達から上げられてくる報告によって、この国の状況を理解した上での判断だった。

この国は貴族社会であり、貴族の腐敗は進んでおり、それは王でも取り締まれないぐらいの惨状になっているとのことだったからだ。

その状況を察した上で敢えて強者の風格を見せつけることにしたのだ。

貴族を黙らせる方法はいくつもあるが、力でねじ伏せた方が話は早いと思ったからだ。

正直言って柄ではない。

だが情報を早く得たい今の状況に置いて、時間の無駄は悪手であると考えたのだ。


報告を纏めると国王のベルメルト・ダイガストン・ドミニオンは優秀な国王であるとの噂だったが、それはスターシップには及ばない。

貴族に対して遠慮とも取れる対応に留めていたからだ。

その所為でハセの様な無能で横柄な貴族でも排除されていないのだ。

他にも裏でこそこそと暗躍する貴族もおり、腐敗は進んでいるということだった。

その上でのこの対応である。

貴族の様な肩書を追い風に、肩で風を切る様な輩には、先ずはこちらの力量を示すのが簡単なのである。

それにこのハセについては予め報告は受けていた。

無能で下種な貴族であると。

腐敗した貴族の一人であるとの報告だった、ただ奴隷を購入しているとの報告は無かったのがハセにとっては不幸中の幸いである。

それは今この場で反省するべき場を得たのだから。

暗に追い詰められるよりは増しであろう。

現にアラクネ達は腐敗した貴族たちの悪行を暴こうと証拠固めに動いているのだ。


「寛大なご処置痛み入ります。では王城にお越しくださいませんでしょか?」


「そうか、分かった」

俺達島野一家は王城に迎え入れられることになったのだった。




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