その頃 *他者視点
ランちゃんに追い出された後、わたしと先輩はトイレの前で座っていた。
『ランちゃん、大丈夫かな...』
『お前は心配性だな。大丈夫さ、あいつなら』
そう言いながら、先輩は窓の外の、漆黒の景色を眺める。
『...なあ、あいつが初めてノベ研に来たときののこと、覚えているか』
『はい。最初は随分と無口な子がきたな〜って思いました』
『ああ、それでも日が経つにつれ口数も増えていった。成長しようとしていたのかもな。あいつは』
『はい、きっとそうです』
『にしても俺たち、今滅茶苦茶変なことに巻き込まれてるよな!』
『なんでちょっと嬉しそうなんですか...』
『だって、こんな体験滅多にできないぞ!』
『私はしたくなかったです...。だってこうゆう時って大抵ホラー展開じゃないですか!現に死体だってありましたし』
『そういえば、ランが白い女性を見たとか言ってたな。あの死体の幽霊だったりして』
『......』
しばらく沈黙が続いた。
『あーそういえばランのやつ、どうしてここが"学校"だって分かったんだ?俺はあの場所を"教室"だとは思わなかったな。特にあの緑色の板、あれはなんだ?』
『確かに!私もそれは気になりました。何に使うんでしょうかあれ』
『もしかしたら———
言いかけて、突然視界が暗くなった。