8 アペロールのギルドで
この話を、読んでくださる皆様に、お礼と感謝を!
本当に、ありがとうございます。
今日は、ウールスとフルアは街のギルドに行く日だ。
フルアは、寝込んでいる時に、用意して貰っていた服を着た。薄い黄色のチュニックに、濃いグリーンのスパッツ。靴は、茶色の皮のショートブーツだ。この上に、茶色のフード付きのマントを着たら、いつでも出発出来る。
ギルドに卸す薬草や魔石は、昨日のうちに準備は終わっている。
朝食を食べて、すぐに出掛けるはずだったのに、まだ出かける様子はない。
ーーーーなぜなら
ノアの森近くにある家は、ウールスの足で1時間足らずほどかかる。
フルアなら、2時間は掛かるだろうか。いや、途中で休憩をする事を考えると3時間だろうか…いや、いっその事事、途中で抱っこしとくか……いや、そんな事は、フルアが嫌がるか…
ウールスは、休憩する時に飲む水や、体力を回復させる為の甘い樹液と花の蜜を練り固めた物などを、鞄に放り込みながら、まだ足りない物があるか、うんうん唸りながら、部屋をうろうろしていたので、出る時間がすっかり遅くなってしまった。
フルアは、自分の体が小さくて、ウールスに心配させてるのが、申し訳なく思い「師匠、大丈夫です。もうすっかり元気だから、沢山歩けます」
そう言ってみたが、ウールスはまだ心配の様だ。
その時、ルーンが部屋に入ってきた。
「今日は、ギルドに行くんじゃないの〜〜?」
「そうなんだけど、何か持って行った方が良いものがある気がして…」
そう言いながら、まだ出かける様子の無いウールスを見て、ルーンは肩をすくめた。
「ウールス〜〜、フルアとの初めてのお出掛けだからって、今日を完璧にする必要なんてないんだよ。今日行って、足りないものが有るなら、次回用意したら良いんだよ。ウールスが、心配しすぎると、フルアが気を使うよ。今日のウールスに足りないものは、『なる様になる』っていう気構えだよね」
そう言って、ルーンは笑った。
ウールスは、ハッとなり「本当にそうだね。ありがとう、じいちゃん。行ってくるよ」
ルーンの言葉で肩の力が抜けたようだ。
2人は手を繋ぎ、街のギルドに向かった。
その姿を見たルーンは、「ウールス…なんだか、仕事の師匠というより、心配性のお母さんみたいだよ…どこに向かってるの?ウールス…」
そう呟いたが、緊張しているフルアと、あれこれ心配しているウールスには、聞こえてはいなかった。
ウールスは、歩きながらギルドの説明をした。
「ギルドは、2つある。冒険者ギルドと生産ギルドだ。冒険者ギルドは、その名の通り冒険者が登録をするな。頼みたい事がある人は、冒険者ギルドに依頼を出し、それを受けた者は、依頼を達成させて、料金を貰う。頼む方は、登録をしなくても大丈夫だが、ある程度は、審査される。依頼を受ける方は、必ず登録が必要だ。もう一つは、生産ギルドだ。ギルドに登録をする事で、安定した値段で、商品を買い取って貰える。高くは無いが、安くも無い。自分の身元保証のかわりにもなるし、買取保証があるから、安心だが、誰も欲しがらないものを持って行っても、買い叩かれたり、ひどい時には、買ってもらえない時もあるから、何を出すかは、考える必要はあるな。まぁ、分からない事が出てきたら、その都度説明するから、なんでも聞いてくれよ。」
「師匠は、どちらのギルドに登録してるんですか?」
「俺は、どちらにも登録してる。いつもは、ノアの森で採った薬草や魔石を卸してるから、生産ギルドに行くことが多いが、たまにノアの森に入りたい奴の護衛を頼まれることがあるからな。その時は、冒険者ギルドを通して依頼してもらう事にしてるから。それに、貴重な薬草を冒険者ギルドを通して、依頼される時もあるな」
「フルアの登録は、生産ギルドでしようと思っていたが…どちらとも登録しとくのが、良いかもな。ノアの森付近でも、薬草が採れるし、それの依頼が有ったら、そっちの方が買取値段が良い」
「どっちに卸しても、良いんですか?」
「そうだ。冒険者ギルドで買い取って貰える者は、依頼があるものだけだ。生産ギルドは、皆が欲しがる物や、貴重な物は高いが、そうで無い物はそこそこの値段になるが、割とどんな物でも、買い取って貰えるな」
「では、毎回先に、冒険者ギルドの依頼を見てから、生産ギルドに卸す方が、高く買って貰えるという事ですか?」
「フルアは、賢いな。だが、俺は毎回生産ギルドに出している。それは、定期的に出す事で、信用されて、より高く買って貰えるんだ。勿論、それには品物の、品質の安定、というのも必要だがな」
休憩を挟みながら、話を聞いてるうちに、とうとうアペロールの街に到着した。
街は、活気に溢れて、賑やかだ。
そして、髪の毛が黒や錆色など濃い色の人が多い事にも気が付いた。
師匠達の言う事を、信じてない訳では無かったが、実際にこの目で見ると、衝撃だった。
「本当に、ここでは、私の髪の毛の色は目立たないですね。嬉しいです。」
フルアは、ウールスを見上げてニッコリと笑った。
「だろう。もう、髪の毛の色なんて、気にしなくても大丈夫だ。さあ、ギルドに行こう」
2人は、足取りも軽く、ギルドに向かった。
フルアは、初めての街で、気持ちが高揚していた。
誰も自分を、ジロジロ見る人がいない事にも、喜びを隠せなかった。
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
本当に、嬉しいです。
感謝しかありません。