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⑸『悪という概念について』
⑸『悪という概念について』
㈠
悪という概念について、述べてきているが、どうも、はっきりと、鮮明に分かった様で、分からない感じである。もう少し言えば、悪とは、見るものではなく、在るものである、という感覚だろうか。悪に染まる時、悪を行う時、その人物に、悪が在るのである。
㈡
悪の華や、悪人正機を、敷衍すれば、自ずと形而上で判別できるこの悪を、果たして形而下まで持ち込むべきだろうか、と困惑する訳である。通常、我々は、悪を認識しているし、そこに悪の在ることを知っているが、咄嗟の判断で、行った行為が、悪であったとしたら、我々は、どう立ち回るべきだろうか、ということだ。
㈢
車と車が、ぶつかりそうになって、左にハンドルを切った時、其処の歩道を歩いていた人を、結果的に傷付けてしまう場合、確かに、スピードを出し過ぎていた車は、悪になるが、普段と同じスピードだったら、あられもない結末である。ともかく、述べてきたように、悪に染まること、それは、概念上の問題なんだろうということに、終着した。