第1話 神様の頼み事
私は日本の何の変哲も無い、川の上流付近……つまり岩や石が無造作に転がり、足場の悪い場所で足を滑らせて転倒した。
それが私の最期だった。
なんとも呆気ない。あれだけ永く続くように感じていた人生が、取るに足らない理由で簡単に終わってしまった。
もちろん咄嗟に受け身を取ろうとはした。しかし、私は両手に握られた物を手放すのに、一瞬だけ躊躇ってしまった。その一瞬が命取りだった。
頭を強く打ち付ける衝撃。世界が揺れて、全て真っ白に塗りつぶされるような感覚だった。
それはもう見事なまでのクリティカルヒットで、ゲーム序盤に出てくる雑魚が如く、私は一撃で沈められた。
後悔といえば散々迷惑をかけた親や、最終回を見届ける事ができなかった漫画やアニメくらいなものだ。
もはや死ぬ直前に両手で抱えていた、一瞬でも命より優先した大量の釣りの成果はクソどうでもいい。私を死へと至らしめたことに恐怖すら覚える。
しかし、だからといって魚を末代まで呪う悪霊に成り下がるのも御免なので、私は潔く神聖な霊魂として天国へと旅立った。
魚に気を取られた自分の思考は罵倒しても、決して魚は恨んでいませんとも。ええ。
私は今まで生きてきた人生を魚のために捨てたのか。なんて馬鹿な……いや、ユニークな人生の閉幕だろうか。両親に顔向けできない。
山登りや沢登り、ロッククライミングを平然とやってのける自分が、まさかこんな陳腐な理由で一撃死するとは思わなかったんです。
葬式には常時土下座で参加して、たとえ聞こえていなくとも平謝りをした。生前は色々と迷惑をかけて振り回してしまったし、死別する哀しみよりも申し訳なさが勝った。
両親にはどうか幸せになってもらいたい。
現在の私はお空へ旅立ち、のんびりスローライフを送っている。する事と言えば転生待ちしかないなので、今の私は怠惰な暇人だ。
今日も今日とて頬杖をついて寝転がりながら、下界の様子をテレビ鑑賞でもするように眺める。
私も下界に降臨して○子さんみたいな、知る人ぞ知るスーパースターでも目指そうかな。
人間を片っ端から恐怖のどん底に陥れ、荒んだ霊魂を大量生産し、神様でさえも悩ませる超問題児……それが幽霊界のカリスマ、○子さんだ。
そんな○子さんだが、暇を持て余し暇に暇をし暇が暇で暇暇している私達霊魂にとって、○子さんは輝いていた。既に死んでいるというのに、とても生き生きとしている。
神様に浄化されそうになりながらもただ一直線に、神様を敵に回してまで奮闘する○子さんを、みんな陰ながら応援していた。最早、アイドルである。
私も生前はあんな風に足搔いて、自称冒険家として駆けずり回っていた。両親には正気に戻れと言われるし、周囲の人には馬鹿にされる事しかなかったけれど。
結局、運命の人になど巡り会えない人生だった。
ツチノコにも、小さいおじさんにも、ネッシーにも、UFOにも、未確認生物UMAにも遭遇しない平凡な人生だった。
悪魔や精霊、狼男も吸血鬼も発見出来ず終いの人生だった。
更に言えば、フェニックスやユニコーン、そしてドラゴン、ポ○モンやドラ○もん、ナメッ○星人にも、平面や作り物でしか対面できないクソ食らえな人生だった。
これを未練に下界へ返り咲こうかしら。
そう真剣に思案していると、伝令役の見目麗しい天使さんが、ぼんやり下界を眺めていた私の前に現れた。
私は跳ねるように立ち上がり、天使さんに向き直る。そして『これは遂に転生の時が!?』と胸を躍らせる。
ところが、早々に期待は裏切られた。
「転生とは別件で神様がお呼びです」
「か、かみさま……?」
天使さんに間抜けな返事をしてしまった。それでも天使さんは人形のように表情を変えなかったのだが。
多忙な神様が私に何の用だ? 私、怠ける事しかしてませんよ?
***
生前で言うところの大統領に、身一つで対談しに行くような気分だった。
いや、確実に存在している同じ人間とはワケが違う。それ以上だ。死んでるのに死にそう。
私は特に神様を信仰している訳では無いのだが、とにかく神様という存在そのものに恐れおののいていた。何せ、世界の創造主と呼ばれる想像もつかないような存在だ。
未だに実在するのかも疑わしく、転生する時でさえ会えるのか分からなかった神様が、私個人に用とはこれいかに。
ガチガチに緊張した私を天使さんが連行し、連れられた場所は全貌もわからないくらいに大きな、未だかつて見たことも無い純白の城。真っ白なのに汚れ一つ見当たらないその城は、自然と神々しさを感じる。
これほどまでに完成された崇高な代物を前にして、『さすが神様の住む家』としか言葉が出てこない、語彙力の失われた自分がもどかしい。
警備の天使さんが、惚けた私と伝令役の天使さんを門に通す。
私の場違い感が半端ない。周囲は何もかもが白くて『神聖』を絵に描いたような場所だった。
本当に私、何もしてないよね? それとも私の生前に今さら何か問題が?
無い物を探すように、自分を様々な方面から疑ってかかる。そして、地獄にでも送られるのではないかと考えた辺りで、伝令役の天使さんが「こちらです」と足を止めて私に声かけた。
そこは他の部屋と比べても両開きの扉、という所くらいしか違いの無い、多くある部屋の普通の一室のようだった。
もっと仰々しい場所を想像していた私にとっては、肩透かしを食った気分だ。
しかし、それでも以前として緊張は削がれない。神様と会うことに変わりは無いのだから。
伝令役の天使さんがノックをすると「入れ」とたった一言。しかし威厳が滲み出るような、中性的で不思議な声だった。
ノックをした天使さんは、その手で両開きの扉を中央からゆっくりと開いた。そして現れたのは大きな木のデスクと、そこに積み重ねられた重厚感のある本の山。
神様の姿など、どこにも無かった。
これはどういう事?
私が戸惑っていると「よければそこに座ってくれ」と神様だと思われる声に促される。
私はデスクの前にある、背の低い机を挟んで対に置かれた、ソファの片方に座った。座り心地を気にしている余裕は無いけれど、良いものであることはわかる。
気づくと伝令役の天使さんはいなくなっていて、私は神様と二人きりにさせられていた。
神様がいるであろう方向に目を向ける。積み重ねられた本はひとつひとつ立派な装丁がされていて、壁のようにそびえ立つ。声がしなければそこに誰かいるのかすらわからない。
神様は仙人みたいな容姿なのか、はたまた美少女か美少年なのか。声は男か女かどっちつかずだ。そもそも神様に性別は存在するのか、人間の姿をしているのかもわからない。
そこのところを知りたかった身としては残念だった。
取り敢えず、お爺ちゃんやお婆ちゃんのように、しわがれた声ではないから仙人ではないのか。いや、わからない。なんせ相手は神様だ。
全てが謎で、不思議だ。
神様の姿形は勿論の事、神様はどういう存在なのか、どういう価値観を持つのか、どう過ごしているのか、どういう行動をするのか、全てが神秘的だった。
そんな未知との遭遇に、私は見る物全てを新鮮に感じる子供のような高揚感を覚える。
懐かしい。生前、ずっと追い求めていた感情。この為に私は生きていたのだ。
いつの間にか緊張はどこへやら。全ては探究心にすり替わっていた。
「話をさせてもらってもいいかな?」
ぼんやりとしていた私を、神様の声が現実に引き戻す。
夢から覚めたような気分だ。ずっと、ずっと、眠っていたかのような、夢だったかのような。
霊魂としてここにいる事で、私は『私』を忘れかけていた事に気付く。そんな気は無くても、永い時間を経て今まで忘れていた。
思い出はあってもどこか他人事だった『私』が戻ってきた。
「あ、大丈夫です。すみません……」
「構わないよ。思い出したのだろう?」
「そうかもしれません」
神様は全て解っているようだった。
もしかして、私は『私』を思い出してはいけなかったのではないかと思い至る。きっと、忘れる事が転生に近づき、新しく生まれ変わる事だったのだ。本能的にそう感じた。
それでも嫌な気がしないのは、何かを得たような気になっているからだろうか。
「唐突で申し訳ないのだが、君に頼みたい事があるんだ。勿論、拒否権はあるので安心してくれ」
「神様が一介の霊魂に頼みたい事……ですか?」
私は『私』でなかった頃よりも、冷静に神様と向き合っていた。
何を頼みたいのかは知らないが、いかにも違和感漂う内容である。神様はとにかく万能で、何でもできて、何でも知っていそうな、勝手なイメージを持っている私にとっては首を傾げる話だ。
というかその頼る相手が霊魂? 天使さんじゃなくて? 私にしたって他の霊魂の人と比べても、突出した事など無いただの暇人だった。
疑問符を浮かべる私にフォローを入れたのは、予想していたと言わんばかりの神様である。
「混乱するだろうから、君を選んだ理由は後にして先に本題を言わせてもらおう」
「はい、何でしょう?」
「私には息子がいるんだ」
「む、息子……さん、ですか?」
想像すらできなかったその言葉に、私は素っ頓狂な声で聞き返した。
それと頼みたい事がどう関わるんだ? 神様の息子だから、息子も神様で、というか神様は母親? それとも父親? そもそも神様はどうやって産まれるの?
さすがに神様に向かって、感じた疑問を矢継ぎ早に聞くような不躾な事はできない。
それでも神様は分かるのだろう。更に疑問を持った私を気遣ってか、神様は一呼吸入れて再び話し始める。
「その息子は幾らか前に私の手を離れて、新しい世界……宇宙と言った方が分かりやすいか。それを創ったんだ」
「……」
人間の私に言われても、壮大過ぎて理解できる筈もなかった。これはファンタジーとして受け入れるしかない。とんでもないファンタジーだ。
完全に飲み込んではいないが、それでは話が進まないので、あたかも理解したように頷いて話の続きを促した。
「世界は物理法則から、自然法則、存在する物質、とにかく多くの事柄を事細かに創り上げていく。それは息子にはまだ早いと思い、この私の世界を参考に創らせたのだが……」
語尾を濁らせる神様に、私は何か不穏なものを感じ取る。きっと息子が何かをやらかしたのだ。
未知の『神様』という存在でも、そういうところが分かってしまうのは、神様が人間に合わせているからか、神様に合わせて創られたのが人間だからか。
なんとなく頼まれる事への不安に苛まれながら、拒否権はあると自分を諌めて次の言葉に身構える。
「参考にしたのが私の世界ではなく……いや、私の世界ではあるのだが、人間の創り出した創作物だったと最近知ったのだ」
「……え、それはまさか漫画とか、アニメとか、そういうファンタジーな世界ですか?」
「そうだな……確かにベースにこの世界そのものを使ってはいるのだが、魔法が存在していたり、ドラゴンや獣人、悪魔、妖怪……果ては過ぎた筈の江戸時代やら平安時代やら、中世ヨーロッパなど、様々な世界観の星がそこかしこに存在している」
私は愕然とした。色々と混ぜ込んでおかしな事になっているのは兎も角、人類のロマンを実現している神様がいる事に。
ふざけているのかと叱咤するべきか、よくやったと手放しで喜ぶべきか、なんとも言えない。
取り敢えずダメ息子について話すような神様の前で、息子を褒める事ができないのは分かる。
しかし、神様の頼み事が見えて来ない。
それを何とかしろ、とはさすがに言いませんよね? そんなの神様の貴方にしかできませんよ。
説明がただの愚痴になっている事に気づいた神様が、恥ずかしそうに「すまない」と私に謝る。なので私は「大変ですね」と、当たり障り無い返事をする。
「それで、何が頼み事なんですか?」
そして私が単刀直入に、世間話のように気軽に振った言葉に、神様は衝撃の答えを返した。
「息子の世界を軌道修正してほしい」
……と、言ってのけたのだ。
一介の霊魂が「何でですか!?」と神様に向かって怒鳴りつけてしまったのは、致し方ない事だったと思うのです。
私は自分の失態を誤魔化すように「こほん」と咳払いをして、「なぜ私なのでしょうか? そもそも軌道修正なんて、なんの超能力も無い私にはできません」と言い直しておいた。
一応正論の筈である。
「無茶なのは理解しているんだ」
「ならどうして……」
「だから君が引き受けてくれた場合、それを考慮して、私の力の一部を君に貸そうと思っている」
「……神様の力の一部を、私に……?」
とんでもない話だ。私がどんなに神様に偏見持ち、過大評価していたとしても、これまで話していた事を考えれば世界を創り、改変する力は確実に持っているのだ。
その一部を私に……とは、一体神様は私をどうしたいのだろう。
息子の為? それにしては少々……いや、かなりやり過ぎなのではないか。私なんかに与えていいものなのか。
「安心してくれ。神の力と言っても一部だ。少し世界に干渉できるようになるだけで、息子の世界の軌道修正以外には使えない力だ」
「いえ、それでもかなり凄いですよ。世界に干渉だなんてとんでもないです。そもそも軌道修正って何をするんですか」
私に何をさせる気なの。神様、コワイ。
聞きたいことが多過ぎて、しかも私の理解が及ばない。まず私と神様の価値観が違い過ぎた。
片や世界を管理し、実際に雲の上に住んでいる神様。片やその世界の砂漠の砂の一粒として生きていた、自称冒険家である。価値観が違わない訳がない。
「難しい事じゃない。息子にアドバイスしたり、実際に行って干渉してみてもいい。私や息子のように法則をどうこうしたり、新たな物を自ら生み出す必要は無い」
「私には荷が重いですよ。というか、そうすると私の転生はどうなるのですか」
「息子の件が片付けばすぐに私の世界に戻し、好条件での転生を約束しよう。又は、向こうで理想の世界を創れたのなら、そちらで転生してもいいだろう」
「何それ超いいじゃないですか!!」
最高ですよ! 夢のチートですよ!
私は興奮していた。転生後の自分の姿を妄想し、その妄想に焚き付けるように、更に妄想が広がる。まさに夢のような話だ。
ところが、ある程度想像を膨らませたところで、ある考えが頭を過ぎった。
こんなにいい話があるわけがない。
「ちょっと待ってください。もし、もしもですが、私が失敗した場合は……」
「やらかした事の大きさによって、それ相応の天罰を与えよう。しかし、何もできなかったからといって罰を与える程理不尽ではないよ。私が無理に頼んでいる事だから。あくまでマイナスに働いた場合だ」
優しく告げられたデメリットと気休めの言葉に、私は良い話には必ず裏があるのだと思い知った。
しかし正直に言ってしまえば、それを考慮しても私はこの頼み事を悪くないと思っている。何せ憧れのファンタジーだ。加えて世界構成に口を出せるときた。
転生も当分先で暇だし、暇だし、暇だし、暇だし……。
デメリットに関しても、何かをする上で少なからずリスクは付き纏う物だと思っている。当然の事だ。生前の私もそうやって生きてきた。
詳しい内容を言われていない所為もあるだろうが、そう重たいものだとは感じなかった。
以上の事を理由に私は答えだけ用意して、聞いておきたい事を聞くだけ聞いてみることにした。
「色々と聞きたい事があるのですが、構いませんか?」
「ああ、大丈夫だよ」
「それは神様が直接なんとかできないんですか?」
「息子とはいえ、相手は神だ。私は息子の創った世界を間接的に創り変える力は持ち合わせていないんだ。直接関わるにしても、私はこの世界に縛られている存在で離れる事はできない。できる事があるとすれば、君のような存在を送り込む事くらいだ。申し訳ないと思っている」
「私に与えられる力は、具体的にはどのような?」
「簡単に言うと世界を渡り歩く力だ。それと向こうは物騒だから、困らない程度には戦える力。あとは……息子に鉄槌を与える力だな」
「……じゃあ最後に、なぜ私なんですか?」
「それは生前の君が無謀な冒険家であったからだよ」
「えっ?」
神様から予想外の言葉が放たれる。それは私を言い表す上では欠かせない言葉で、核心を突くものだったのだ。
神様ならば知っていてもおかしくはないと思うのに、私は『私』を言い当てられた事に動揺していた。
「君も自分の事をそう思っているだろう? 存在しないと気づいていても、様々な場所を渡り歩いて探すのが君だった。君の自己表現であり、生きる目的であり、死因であり、私が君を選んだ理由だ。そこが息子の世界と……息子と気が合うと思ったのだ」
「……」
「それで、引き受けてくれるかな?」
さすが神様。全て筒抜けでした。
ですよね、心の内まで知ってたのはさすがに引くけど、神様はそれくらい知ってますよね。
……恥ずかしい。どうせ私がこれから言う言葉を知っていて、聞いているんでしょう。
私は狂わされた調子を取り戻すようにため息を吐いて、書類の奥にいる筈の神様を見据えた。
「引き受けさせて頂きます。取り敢えずマイナスにだけはしないよう、頑張ります」
「ああ、頼んだよ」
神様は満足気な声で私にこたえ、「さて」と話に一区切りをつけた。
私はこれからの事を考えて、身を引き締める思いで姿勢を正し、神様の言葉に耳を傾ける。
「まず君のやる事を纏めよう。これまで話したのは息子の世界を軌道修正する事。その為に息子にアドバイスをしたり、その世界に君が自ら干渉してその世界を改変する事だ。そこは大丈夫かな?」
「はい。あの、改変とはどのような部分を……?」
「簡単に言えば、魂を宿した生命体の存在する、星の存命に関わる部分だ。息子は変に力を与え過ぎて、世界すら壊しかねない程だからな」
「それがロマンですからね」
それについて私は息子さん側だ。強い、だからこそ憧れるのだ。
「そこを何とかして貰わないと困るのだが……まあ、任せるよ。程よい調節をしてくれ。あとは進行状況の報告だな。全てとまでは言わないが、大きい事は必ずこちらに報告しに戻って来てくれ。戻るのは世界を渡る力で容易にできる」
「はい、分かりました」
「息子には気を遣わなくてもいい。文句を言ってもいいし、殴りつけても構わない。私が許そう」
「ありがとうございます」
「では、力を与えようか」
神様がそう言うと、目の前に拳程の大きさの光球が現れる。これがその力というものか。
私は光り輝く光球にそっと手を伸ばし、指先に軽く触れた瞬間、光球は私に吸い込まれるようにして消えた。
途端に頭に流れ込むのは力の知識と、行使の仕方だった。
まるで最初からあったかのような馴染み具合に、私は目を丸くした。
そして驚く。これでたった一部なのかと。
「与えるものは与えた。早速息子の元へ行ってもらおう」
「はい」
「では、初回は私が道案内をしよう。冒険家の霊魂よ、馬鹿な息子をよろしく頼む。そして生前、叶わなかった夢を果たしてくれ」
パチンと指を鳴らす音が鳴る。
「……私の夢?」
神様に疑問を投げかける前に、視界は真っ白に塗り替えられた。そして、瞬きをした瞬間に私は見慣れない場所に立っていた。