屋敷その二
「そんな事があったんですね」
「ええ。ジュードはマギアマキナをそのままにして行っちゃったの。でも、もしこの屋敷が襲われることがあったら、私はきっとマギアマキナに乗るでしょうね」
「シャーロットさん……」
「もしその時がきたら、メグちゃんを守るのはあなたよ。エマちゃん」
シャーロットはエマの手を手元に持ってくると、昨夜使った拳銃をその掌にのせた。
「その銃は……」
「私にはこれがある。エマちゃんにも戦うための手段がないと。もしものことが起きた時では遅いから。頼むわね、エマちゃん。私にはきっと、この子のお母さん役はできないから」
「使い方だって分からないのに……!」
「銃口を向けてトリガーを引くだけよ。私が当たるようにおまじないを掛けておいたから」
エマの傍らに立つメグは、しげしげとそれを見届けたかと思うと、「手伝いはないのかな?」と訊いてきた。
「ああ、ごめんなさい。マギアマキナの横に四脚のマキナがあるでしょ。あれのメンテナンスをするの。今度のデュオマキナのためにね。ジュードのマキナは壊れてしまったけど……。二人には手伝ってもらうわ。とりあえず、そこの工具を持って来てくれる?」
「……分かりました!」
「分かりました。お母さま」
メグは、始めてシャーロットを母として呼んだのだった。
「メグ……」
メグは、始めてやる作業に、慣れないながらも嬉々として取り組んでいた。
――その様子を、とある影に見られているとも知らずに。
買い物に行ったサヤと屋敷の家事に精を出していたリンは、その気配に気付かなかった。ガレージの窓の横に、一人の男が立っていた。彼は、自身の主に連絡をした。
「首長、マーキュリー邸にて御子を見つけました」
『実によいタイミングで見つけてくれた。間もなく、オリジン中にアレが知れ渡る』
「はっ。では早速取り掛かります」
ガレージの窓が割られた。




