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空色のカナリア  作者: 山門芳彦
第二章 都市国家オリジン
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追う者は

 老翁がその家を見つけたのは、ジュードが28号に乗ってから暫くした後のこと。片腕に巻いた石が示した場所は、スラムの中でも一際目立つ二階建ての家だった。彼が守ろうと誓った少女が、ここにいるはずだった。

 階段を上がり玄関に立つと、城の警備兵と同じ姿をした男が二名伸びていた。不可解ではあったが、とりあえず石に従って部屋に入る。


「お嬢様!」


 部屋はもぬけの殻だった。潜んでいるかもしれない敵に警戒しながら、奥のドアを開ける。寝室のようだが、ベッドが大きく動かされ、床には穴が開いている。随分と荒れた様子だった。


「……!」


 ベッドの横に光るものがあった。彼が少女に渡した石だった。


「お嬢様! いらっしゃいませんか!」


 怒号だけが虚しく響く。ここに少女はいないらしい。

 突然、遠くから震動が迫ってきた。夜の静寂を破る、蒸気機関の機動音。窓を見遣ると、二機のマキナが家の横を通り過ぎていた。デュオマキナでは見なかった武骨で重々しい姿。軍用機のようだ。


(……この魔力はっ!)


 悪寒が老翁の背筋を走る。マキナの向かう先に、膨れ上がる魔力を感じた。この土地に似つかわしくない、柔らかで豊かな、それでいて大きな力。三日前のデュオマキナの事件を思い出す。この感覚は間違いない。


「お嬢様! いけませんっ!」


 石のペンダントを外しているということは、彼が施した守りが消えるということだ。忘れさせていた記憶を思い出し、少女に眠る能力が働いているとすれば、オリジンに潜むヒュージマギアの人間に気取られる。


 マルボルは、床を突き抜けた穴から外に出て、魔力の発生源へ急いだ。



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