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夜に動く人体模型 ③

〜2時間後〜


めっちゃ暇やわ。

かれこれ2時間くらい理科室に居るが何も起きる気配がない。

ユキも飽きてきたのか、理科室の物品を漁り始める始末だ。


「ユキ、もうそろそろええやろ?

巡回に行こう。」


「うーん、そうやな。

何も起きひんしつまらーん!!!

巡回に行くか!!!」


私たちは理科室を出て夜の学校を探検、、、じゃなくて巡回に行くことにした。


「夜の学校に慣れて来ると何てこと無いなぁ。

もっと幽霊とか怪奇現象がうじゃうじゃ起きるんかと思ってたのに!!」


何を期待してるねん!

毎回そんな事になってたら先生らも用務員さんもみんなお亡くなりになってるわ!


「現実はこんなもんやと思うで。」


「そうなんかなぁ。

もう眠いし、家に帰りたくなってきたわーー。」


自分勝手か!

勝手に巡回を引き受けて勝手に放棄し出すなんて、だから最近の若者は!って言われるんやで!知らんけど。


「そしたら大体学校一周したら仮眠室で寝よか。」


「そうしよ、そうしよ!」


ほんまに子供か、、、。

これで高校生になれるんやもんなぁ。


ユキに呆れつつも教室の周辺や音楽室周辺などに問題が無いか見て回った。


ん?あれ?


「なんかあそこに見えへん?」


「なにー?

どうせ虫とかやろー」


どんだけいじけるねん!

無理矢理買い物に連れて行かれる子供か!!

ってそんな事はどうでもええねん!

あれって理科室の方ちゃうのん?


「虫じゃないと思うで。

あれ理科室の方から誰が覗いてるように見えへん?」


「え!?あれ!?ほんまや!!

もしかして人体模型!?!?

早よ行こう!!

逃げられてまう!!」


そう言ってユキが走りだした。

人体模型は逃げへんやろ。

それよりも早いねん!!


「ちょっと、ユキ、待ってよ。」


私たちは走って理科室の方へ向かった。


〜理科室〜

「おかしいなぁ。

さっきは絶対に誰かおったのに!!」


「ほんまやなぁ。」


理科室まで走ってきたはいいものの、特に変わりばえの無い普通の理科室そのものだった。

もちろん人体模型が動かされた形跡もない。

見間違いやったんかなぁ。

いや、明らかに何かが居た気配がある。


「なんやねん!!

うちら幽霊に遊ばれてるんちゃう?」


「誰が幽霊やねん、まだワシは生きとるわい!!!」


「「キャーーーーーーーー!!!!!!!」」


なに、なに!?!?!?

誰!?!?

おばけ!?!?

何でもします、ユキは連れてっていいから私の命だけは助けて下さい!!!!!!

そんな事を考えながら祈っていると


「やかましいわい!

なんじゃ、最近の若者は!!!!!」


薄っすら目を開けるとそこには、骸骨みたいに痩せたお爺ちゃんが立って居た。


「あれ、佐藤のおじちゃん、なんでこんな所におるん??」


ユキが骸骨じいちゃんに話かけている。


「ワシはな、ここの先生なんや!

居ってもおかしくないやろ!!」


は?何を言うてはるのん?

このじいちゃんは?


「ユキ、この人誰なん?」


「この人はウチの家の近所に住んでる佐藤のじいちゃんやねん。

認知症が進んでてちょっと会話が難しいんよなぁ。」


ユキは複雑そうな顔をしながら言った。

なるほど、これが夜に動く人体模型の正体か。

確かに暗がりの中でヒョロヒョロの爺さんがおったら人体模型と間違えてもおかしくないかもしれん。

なんか、ちょっと残念やな。


「佐藤のじいちゃん。

今は夜やから授業はもう終わりなんやで。

一緒に家まで帰ろか。」


「なんやて!

ワシはな、生徒に呼ばれたんや!

だから授業に来たんやで!!!」


「はいはい。

その話は後で聞くから、一緒に帰るで!」


ユキは慣れた様子でお爺ちゃんの相手をしている。

何度もこう言う事が近所であったのだろう。


「ほんならもう家に帰ろか。」


「そうやね!

うちは佐藤さんの家に寄るから先帰ってて!」


「分かった。じゃあ、またね。」


「ごめんね、ばいばい!!」


初めてユキがこんなに頼もしく見えたわ。

それにしても学校の怪談なんかこんなもんなんやな。

こう言うちっちゃい出来事が噂を読んでそれに尾ひれが付いて夜に動く人体模型って言われるんやな。

あのじいちゃんを人体模型なんていうのは失礼やけどね。

そんな事をら思いながら、私は理科室を後にした。


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