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描きたされる絵 ③


昨日に引き続き、私とユキは美術室に来ている。


「なぁ!

何であの絵があかんのん!!」


やはりと言うべきか、あの絵は評価Fとして返却された。

というか美術の評価にFって初めて聞いてんけど。


「見たまんまの評価やろ。

ほんで、先生に何て言われたん?」


「この絵を見たら今後メロンパン食べられへんくなりそう。って言われた!

意味分からへんねんけど!

メロンパン何か1つも描いてへんねんけど!」


あの自称麦わら帽子のやつか。

あれはどうみてもメロンパンやし、それに集る芋虫をみたらトラウマになるよな。


「それは、可哀想に。」


「な、そう思うやろ?

先生の見る目が無いからあかんねん!」


ユキには同情してないから。

私が同情をするべき人は美術の先生ただ一人ですから。


「で、また居残りと。」


「そうやねん!

おまけに部活の顧問もお前は美術の課題を出してからじゃないと参加させん!とか言いよるんやで!

やってられへんわ!!」


そりゃあ、やってられへんわ!

主に私と美術の先生が。


「そうなんや。

これ以上は時間の無駄な気がするけどな。」


「そうやろ!!

言うたれ、言うたれ!!」


何を言うねん!

ユキの絵を描く能力の欠如に文句を言うてるんやけど!!


「仕方ないんやし早く描き。」


「はいはいー。」


ユキは渋々キャンバスに向かって絵を描き始めた。

私は昨日の絵をもう一度見て癒されようと思い、その絵を見ていた。

すると、昨日には無かったものが描き足されている。


「なぁ、ユキこれ見て。」


「なんやのん!

折角調子出てきたところやのに!」


絵を描くのに調子を出さんといてくれ、頼むから!


「この絵、変わった所あるで。

分かる?」


「昨日の絵やん!

何々、間違い探しはめっちゃ得意やで!」


別に間違いとかじゃないねんけど。


「夏のところ見て。」


「あれ?

向日葵や!!

昨日は無かったのにー!!」


そう、この綺麗な絵に向日葵が描き足されていた。

夏を象徴する鮮やかな向日葵はこの絵に描かれている夏の情景にピッタリ当てはまっていた。


「ユキ、これが向日葵やで。」


私は幼稚園児に教えるように優しい声色でユキに伝えた。

ユキの中ではどうやら、ラフレシアと向日葵が混合しているようやったからな。


「分かってるわ!

もう高校生やねん、それくらい知ってるわ!」


知ってたんか。


「そうなん?

じゃあ昨日の絵はなんやったん?」


「あれも立派な向日葵の仲間や!」


どこがやねん!

あの気持ちの悪い向日葵があるかい!!


「分かった、分かった。」


「それにしてもこの絵って未完成やったんやな!」


確かに。

この絵は絵の具やキャンバスの風化から見るに、かなり古そうなものである。

しかし、この向日葵だけはついさっき描かれたみたいにツヤツヤとしている。


「そうやね。」


「怪しい!

これは、多分美術室の怪談の描かれ続ける絵画やな!!」


さながら真犯人を見つけた探偵のようにユキが言った。

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