描きたされる絵 ②
その絵は四季折々が描かれた綺麗な風景画だった。
流石のユキも
「これは素晴らしいとしか言いようが無いなぁ!」
と言っている。
ユキと同意見とかほんまに嫌なんやけど、この絵にはそれだけの力があった。
「この絵にウチの描いた向日葵の絵を切り取って貼ったらもっと素晴らしい絵になるんちゃう!?」
何ええ事思いついた、みたいな顔してるねん!!
一気に台無しになるわ!
大体ラフレシアってなんの時期に当たるねん!
「ほんまにやめてな。」
「そんな怖い顔せんといてよ!
冗談やん!!」
今のは冗談にきこえんかったけど?
しかも、言うてええ冗談と悪い冗談がある。
悪質な冗談は控えて貰いたいわ。
「この絵を見てユキも見習い。」
「はい、、、。」
ユキはまだ、この絵に向日葵があればもっと素敵になるのに、とか性懲りも無くブツブツ呟いているが、放置しといた。
〜数時間後〜
「でけたー!!」
私はユキのデカイ声に目を覚ました。
いつのまにか寝ていたようだった。
「見せて。」
「ええで!」
自信たっぷりに見せられると、私は見たことを後悔した。
「なにこれ?」
「向日葵と私と麦わら帽子ってタイトルやで!」
いや、タイトルは聞いてない。
しかもなんやねん、そのありそうで無い映画のタイトルは!
大喜利やってるんじゃないねん!
「これなに?」
私はラフレシア(ユキ曰く向日葵)の横にいる芋虫を指して尋ねた。
「これ私やん!
まだ寝ぼけてるん??
もう、お寝坊さんなんやからぁ!」
やかましいわ!
年中寝ぼけてるんユキに言われたくないわ!
ほんで、なんで人が芋虫に見えるねん!
「ごめん、ちょっと何言ってるのか分からへん。」
「しゃーないなぁ!
解説したるわ!」
何がしゃーないねん!
世界一要らん解説やわ!
「これなめっちゃ大きい向日葵やねん!
ほんで、向日葵の陰でお昼寝してる所やねん!」
発想が小学生か!!
「なんで、昼寝してる人こんなモコモコなん?」
「それはな、夜はやっぱり冷えるやろなぁと思って寝袋で寝てる感じにしてん!!」
いや、アホやろ!!
お昼寝やろ!
なんで夜まで寝てる設定になってるねん!!
だから芋虫に見えるねん!!!
「あと、気になってたけど、明らかに浮いてるこのパンなんなん?」
「これ麦わら帽子やんかぁ!
どうしたん?お腹空いてるん?」
やかましいわ!
どっからどう見てもメロンパンにしか見えへんねん!
ほんで、これ明らかにデカすぎやねん!
なんで、こんな帽子の主張が激しいねん!
「お腹は空いてない。
あとこれ何でこんなに大きいん?」
「よくぞ、聞いてくれた!
これぞ、目の錯覚!
遠近感を出して、麦わら帽子を大きくして、飛んで行ってしまったよ感を出してるねん!」
目の錯覚じゃなくて、ただの平面にラフレシアと芋虫とメロンパンがあるようにしか見えへんねんけど!
最早ジャングルの奥地に突如現れたメロンパンを貪ろうとする毛虫とそれを見守るラフレシアっていう何とも心温まらない物語が始まりそうやわ!!
「これほんまに提出するのん?」
「あたぼーよ!」
こっちの頭まで弱りそうなユキの発言に頭を抱えながら、今日の所は解散になった。