アンドロイド日和番外編1〜日和が生まれて1年間〜(中編)
外伝1前編の続き。
日和が生まれて、少しずつ人間の感情を理解していきます。
私が生まれて、だいたい半年近く経ちました。相変わらず私は毎日実験の毎日です。そんな中、私にはある出会いがありました。
その日もいつものように社長は私の元に来ました。ですが社長の足元には背の小さい可愛らしい長くて黒い髪の女の子が足元を隠れていました。
「やあおはよう。」
いつも通りに社長は私に声をかけました。
「おはようございます。……ところであの、あの子はどなたでしょうか?」
「ああ、この子は私の姪っ子だよ。ほら、ご挨拶して。」
そう言って社長はその子の背中を優しく押しました。
「……は、始めました……あの……日和です……」
人見知りをする少女。社長は紹介を続けます。
「日和はね、小学校3年生なんだけど学校に行けてなくてね。普段は都会で暮らしてるんだけど両親は今仕事が忙しいから俺が預かってるんだ。友達と遊ぶことは好きだから遊び相手になってくれないか?」
「あ……わかりました、社長。よろしくお願いします、日和ちゃん。」
そう言って私は彼女に対して微笑みました。ですがすぐに社長の足元に隠れてしまいます。
それから実験の時以外は毎日、彼女と一緒にいるようになりました。私は遊びとかはあまりわからないのでお話しをしようとしました。
「日和ちゃん。あなたは普段何をするのが好きですか?」
「……」
何気ない質問でしたが、彼女はなかなか言葉を返してくれませんでした。
そんな中、ある日のことです。いつも通り私は彼女に声をかけていましたが反応なし。そして私は実験のために研究員の人たちに呼ばれました。言われた通り、その人たちについて行こうとしました。そしたら
「ねぇ……」
少しびっくりして私は歩くのを止めました。
「あ、あの、どうしたの?」
「ねぇ、どうして行っちゃうの?あなたも私を一人にするの?ねぇ、教えて?ねぇ?」
彼女の声色は震えていました。怒ったような口調に近かったように思います。
「いや……私はアンドロイドの試作機で、実験が……」
「関係ないでしょッ!」
いきなり彼女は怒鳴り声をあげました。
「あなたは、私の、友達になってくれるんでしょ。友達はずっと一緒なんでしょ。私を置いて行った母さんも言ってた。ねぇ。なんで、あなたは友達になってくれないの。なんで、なんで。ねぇ、ってば!」
彼女はさらに激昂。そしたら何故でしょう。私の目が歪んで、熱くなっていきました。そして、そこから何かが溢れて来ました。私は頰に手を当て、それが水分であることに気づきました。
「あ……グスッ……日和ちゃん……グスッ…ごめんなさい……私、悪い子です……」
なんだか声もうねって変です。私の目から出る水分は止まりません。そのまま私は膝から崩れて、そのまま声を上げました。この時に私は初めて、怒られる、泣くという感情を理解しました。
その日の実験は中止になりました。とても行える状況じゃなかったからです。研究員の人たちが私の腕を持って連れて行こうとすると、彼女が彼らの腕を噛み付いたり、何故かポケットに持っていたカッターナイフをむけたりしたからです。でも私は彼女の行動を嬉しく思いました。彼女は私を研究員の人から守ろうとしてくれたんだと思ったからです。悪い人たちではありませんが、実験には正直うんざりしていました。
今回のことをきっかけに、私たちは友達になりました。
私たちは、すべてをさらけ出せる中になっていきました。大切な人にはなんだってできるし、なんだって見せられます。こんな喜ばしいことはありません。
という感じで二人で楽しい日々を送っていましたが、それも長くは続きませんでした。さて次は後編。この外伝も次で最終回。二人が今後どうなるか。そして私自身のこれから、どうかみてください。
次回予告。
仲良くなった少女、日和。何もしならいアンドロイド ideal p0。
少女との交流を重ねていたが、ついに別れの時、そして……自らの旅立ちの時。