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アンドロイド日和シリーズ  作者: おとなしさん
アンドロイド日和 1st story
2/10

アンドロイド日和2話〜理想の……〜

ある日、田舎から出て来た大学生の僕宛に荷物が届く。中から出てきたのは女の子だった。服を着てなかったので自分のスウェットを着せて話を聞くとその子は日和研究所で作られたアンドロイド『日和』と名乗った。アンドロイドと日和研究所でピンときた僕は実家に連絡した。やはり父親が経営する日和研究所で作られたアンドロイドだった。

僕は日和を家に置いておくことにしたのだった。

「ところで、君にはどんな機能があるの?」


別に期待しているわけではないけど、僕は日和に聞いて見た。


「調理、洗濯、掃除など、一通りの家事はできます。」


そう、彼女はいった。不安はあるが、ひとまず試してみようと思い、僕は彼女に指令を出した。


「なら日和、もう夕方だからご飯を作って。」


「はい、マスター。マスターが喜んでくれるよう、頑張ります!」


なんという愛くるしい笑顔を向けるのだ。彼女は台所に向かった。


 その間、僕はこれまた引き出しからノートパソコンを取り出し、インターネットを開いた。というのも、日和はアンドロイドだけど見た目は可愛い女の子だ。あんな地味なスウェットより、もっと女の子らしい服を着た方がいいに決まってる。というわけで、通販で探すことにしたのだ。


『服 女の子 可愛い』


こんな感じに検索をかけて調べた。ずらずらと出てくる女の子向けの服。なんて僕には女の子の服なんてわかるわけなく、とりあえず眺めていた。


 よくわからん、と投げやりになり、パソコンの画面から目を離した。そして視線はどこに行くかというと、キッチンである。日和はちゃんと料理できてるのだろうか。


「日和、ご飯まだかな?」


「はい、今野菜を切っています。」


「そっか、どれどれ……って、やめ!」


つい強い口調で言ってしまった。というのも、彼女はまな板の板上にある人参を左手で掴んでいた。そして右手は包丁を持って、何を考えているのか思いっきり振り上げて今にも力一杯二振り下げようとしているのだから、危なっかしくて見てられなかった。


「え、え、マスター?」


「えじゃないよ。危なすぎるよ。怪我するじゃないか!」


僕は彼女をたしなめた。そしたら彼女の表情は曇り始め、目からは水滴が……ん?


「う、グスッ…ごめんなさい……グスッ…マスター……ごめんなさい……」


彼女は泣き始めたのだ。アンドロイド、だよね。そんな機能までついているのか、とはいえ女の子を泣かせてしまったのは男としてよろしくない行為だ。


「わかればいいんだ、わかれば。これから気をつければいい。」


そう言って、僕は彼女を慰め始めた。


「でも…でも…グスッ……私は…悪い子です……グスッ……私は…マスターに…怒られるような……悪いこと…しました……」


「でも、これはダメだなことだってことはわかったよね。だからもう大丈夫だ。もう泣き止むんだ。」


「でも…でも……」


彼女は全然泣き止まなかった。泣いてる顔も可愛いな……いかん、そうじゃなくてなんとかしないと、そうだ。僕はさっきまで見ていたホームページを見せた。


「日和、君に服を買ってあげる。好きな服を選んで。」


「え、服……ですか……」


「君はもっと可愛い服を着るべきだよ。日和の好きなの選んで、ほらこっち来て、これはパソコンっていう機械、このマウスってのを使って……」


僕は彼女にパソコンの使い方を教えた。少しは泣き止んだようだ。


「この中から好きなもの、選んでいいんですか。」


「さっきから言ってるよ。好きなの選んで。」


「はい、マスター。」


やっと笑った。そんなこんなで彼女に服を選ばせている間に僕は夕食を準備することにした。まぁ日和にはこれから少しずつ料理を仕方を教えていこう。さて、時間ないしカレーにでもしようと思い、僕は食器棚においてあるカレールーの入ったパックを手に取った。


 ふと思ったのだが、日和は僕たちと同じように食事をするのだろうか。見た目は普通の人間だが、アンドロイド、要するに機械な訳で、それにもし充電とかが必要なら、充電器とかはどうなってるのだろうか。


「日和、日和ってご飯はどうするの。充電とかするの。」


「はい、マスター。ダンボールの中に充電器があるはずです。取りに行って来ます。」


「いや、後でいいよ。日和は服を選んでて。」


どうやらやっぱり充電するらしい。というわけでカレーは一人分。まず、さっき日和が切ろうとしていた人参を左手を猫の手にして、右手の包丁を前後に動かすようにして切った。



「日和、ご飯できた。日和も準備して。」


僕はさっきからパソコンの画面に釘付けの日和に声をかけて準備を促した。彼女がダンボールから取り出した充電器はごく普通のACアダプタだった。彼女はそれをコンセントに差し込み、行儀よく座って待っていた。


「マスター、私は準備できました。」


「僕も準備ができた。じゃ、食べようか、いただきます。」


「いただきます。」


さて、アダプタをどこに差し込むのだろうか。僕は彼女を見つめていた。彼女は両手でアダプタを持ち、それを口に向けた。そして彼女はそれを彼女の指とともに口の中に入れ始めた。


「んぅ……!?」


びっくりした。だって口に入れた瞬間にこんな声を出すのだから。入れた瞬間は苦しい表情を浮かべていたが、だんだんと表情に落ち着きを取り戻した。そして彼女の口から指だけが現れた。指は少し唾液?で濡れていた。


「日和、大丈夫?」


「ふぁい(はい)。ふぁいふぉうふへふ(大丈夫です)。」


どうやら充電中はうまく声が出せないらしい。可愛い、いや、大変そうだ。そんなわけで、僕もカレーを食べ進め、完食した。彼女の充電はまだかかりそうなので、今のうちに食器を洗っておいた。洗いながらきいた。」


「そういえば日和。服決まった?」


「ぅん……。はい、決めました。これなんかはどうでしょうか?」


ちょうど充電が終わった。アダプタは、やっぱり濡れていた。それはさておき、彼女はどんな服を選んだのだろうか。僕はパソコンの画面を覗いた。そしたら……。


「日和、これはね。服だけど、服じゃないよ。」


「え、これはなんですか?」


「これはね、スク水っていうんだよ。」


『前面スカート付き女子スクール水着紺色 1200円』


幾ら何でもこれを私服にするのはまずい。そりゃあ、プールとか海とかならまだいいけど。


ふと思った。この子は一体どういうプログラミングがされているのだろう。このお約束パターンは想定されているようにしか思えない。そして、その謎を解決する手段を思い出した。


「ねぇ日和、ちょっと教えて欲しいんだけど、君、なんていうOSで動いてるの?」


「はい、私は『ideal sister OS』で動作しています。」


やっぱり、OSにヒントがあった。ideal sister=理想の妹 これで謎が解けた。僕はスマートフォンを取り出し、電話帳からまたもや実家を探す。


「もしもし、どうしたのまた電話して。」


「ねぇ、父さんいる?」


「あぁいるよ、ちょっと待って。」


また母親が電話に出たので、父親に代わってもらう。


「もしもし、どうだ、アンドロイドは?」


「どうじゃない、何あのOS?」


「ideal sister OSのことか。その名の通り、理想の妹を動かすOSだ。」


「いや、意味わからない。」


真面目に言ってるのか、声も体も渋さを増す50にもなってそんな理想の妹とかそんなの。


「マスター、つまりお前の理想の妹になるように学習するプログラムが実装されてるから、昔お前、妹が欲しいとか言ってただろ。」


「そんなこと言った記憶はない、いい、切るよ。」


今回もブチ切った。理想の妹になるように学習するアンドロイド……。


「マスター?」


「あ、ごめん、ちょっと実家に電話してた。」


「そうですか……。あの、マスター。」


「何、日和?」


「あの……、お兄ちゃんって、呼んでもいいですか?」


一瞬で考えていたことが吹き飛んだ。いきなりこんな可愛い子に、甘えたような表情で上目遣いでお願いされては、ダメなんてとても言えない。


「わかった、いいよ。そう呼んで。」


「はい、これからもよろしくお願いします、お兄ちゃん。」


「よろしく、日和。」


とまぁそんな感じで、僕たちは兄妹?になったのだった。


「あ、日和の服、やっぱり僕が探しておくね。」


「はい、兄さん。」


やっぱり笑った日和の顔は、とても愛らしくて、可愛かった。

朝、日和を起こして、彼女はリビングに着替えと朝の準備をしに行った。少しは上達したとはいえ、家事の能力は相変わらず低い彼女に不安を覚えつつ、僕は出かける準備をした。


そして、彼女から着替えが終わったと言われ、リビングに入ると、彼女はとんでもない格好をしていた。

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