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プロローグ
夜中の散歩は好きですか?
静かな空気
昼には聞こえない自然の音
美しい星空
見慣れた景色も違った様相を見せる
どこかに恐れのようなものもある
ゆっくりと歩くのは格別だ
時折、腰を下ろして周りを見回すのもいい
何か発見があるかもしれない
もしかしたら新しい出会いがあるかもしれません
俺は夜中の散歩が好きだった。
ん?過去形?
いや、間違ってはいない、好きだったで間違いはない。
なぜ?
夜中の散歩が原因でこんな事態になってるからだよ。
「なんじゃ?妾がいかに美しいからと言ってそう女子を見つめるもんではない」
「見つめてねえよ」
ぼーっと色々考えていたら目の前に座る上下ジャージ姿のケモ耳女がにやけ顔で言ってきた。
そう、こいつに出会った事が俺に過去形で言わせる大元だ。
あの日から俺の人生は変わってしまった。