~戦いの果てに~
「はぁっ!!!」
目を見開いた。
「いつつ……」
気がつくと街頭が当たる公園のベンチの上に横になっていた。周りは暗闇に包まれているようだ。
「一体どうなって……? 優樹は!? あの子は!?」
何がどうなっているのかわけがわからなかったが、とにかく2人の事が気になって辺りをよく見渡す。すると2人は兄の横でゆっくりと眠っていた。
「い、いたのか」
傍にいたことでなんとか安心できた。だがその瞬間にすぐ近くから気配を感じた。
「だ、誰だ!!!」
先ほどの激闘の緊張感からなのか、声を上げてしまう。すると兄の呼びかけからなのか、暗闇の向こうから何者かの影が見えた。
だが何者かは何も答えない。しかし、突然兄の頭に何か言葉が聞こえた。
『なぜその娘を助けようとした?』
「なんだ? 頭の中に」
頭に響いた声が、反響して混乱してしまう。
「お、お前の仕業なのか?」
その何者かは問いに全く答えない。だがおそらく前にいる奴のせいだと思い、口を開く。
「そ、そうだな。なんで助けたかなんて……」
ふと、横に寝ている二人を見ながら問われた理由を考える。だがよくよく考えてみると自分でもなぜそうしようとしたのかわからなかった。
「よくわからない。弟の手前、カッコつけるためって言ってたけど、実際なんで助けたかなんてわからねぇよ」
『…………』
「ただ、なんかこの子だけは守りたい。そう思った」
「いてもたってもいられなくなって助けようとした。でもありゃ無謀だったな。てか俺、死んだんじゃ!! じゃあなんで生きてんだ? もしかしてここは天国!? う、うそだろ」
『守りたいか……』
相変わらず、何者かの声が響く。興奮している様子にその何者かは気にかけず、ただ一言声をかけたのち、後ろを向いてそのまま闇の中に歩きだした。
「ちょっと、待て! もしかしてお前が俺達を助けたのか? お前が城から俺達を連れ出したのか?」
『自分の命すら守れもしない者が軽々しくその言葉は言わぬ方がいい。守るということは他の何かを犠牲にするということだ。そしてそれは自分自身だけではない。覚えておくことだ』
何者かは投げかけに応じず、最後の言葉を残して暗闇の中に消えていった。
「おい!!」
そのベンチから立ち上がり、消えた後も大きく叫んだがもうなにも返事はなかった。
「なんだったんだ、今のは…?」
少しため息をつき、またベンチに座り直した。だが座って少し経った後、あることを気づき、再び立ち上がった。
「ってここどこだよ!!? 道わかんねぇ!!?」
これで一章は終わりです。素人なりですが四苦八苦してなんとかストーリを繋げられたと思います。次の章はバトルはないですが、この主人公の三人が今後のことを話していく内容です。