表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

奴隷になるということ

続きを書きたくなったので、書きました。

いつの間に読んでくださった方が増えていて、びっくりしました。

噛まれフェチの同志のみなさんでしょうか?

女性に噛んでもらう行為って最高ですよね。

こうして僕は奴隷になった。

うん、奴隷になったんだ。たぶん。

そう自分に言い聞かせる。

言い聞かせてみなければ、理解できなかった。


もちろん奴隷というのが何なのかは客観的には知っている。

僕は変態だ。若干15歳で、「アメリカの某フェチ動画サイト」なんてものを知っていて、実際に利用しているわけだし、まあ多分変態だとは思う。

そしてその某サイトの、「噛みつき」カテゴリーの動画は、動画数だけで言うと実に5万本を超えるのだが、実際に使える動画を売っているメーカーは限られている。

そしてそのメーカーというのは、メーカーというよりはむしろ個人であることが多い。

噛みつきの場合、使える動画、つまり人間の皮膚に思いっきり噛みつき、離した後にくっきりと残る歯形をカメラに収めている、そんな動画を売っている個人というのは、プロのSM女王様がほとんどだ。

Miss Va◯laとか、Miss M◯ya Sin◯tr◯ssとか、もうとにかく容赦のない噛みっぷりが最高なのだが、

なぜそんな思いっきり噛みつくことができるのかといえば、それは相手が彼女たちの奴隷だからだ。


だから、奴隷とは何なのかは知っている。

でも、自分が奴隷というのはさっぱり分からなかった。

実感が湧かない。

一体何をすればいいのだろう。

というか、刻印?何ソレ、それだけで奴隷ってなれるもんなんですかね…。


いや、確かに僕はドMで、どうしようもなく地味でクズで、神無月さんの歯を見て色んな妄想をしてきたから、その神無月さんに噛まれて、しかも奴隷にされるなんて夢のようなのだ。

でも、夢のようというより限りなく夢に近い現実だ。

だいたい、中学生で女王様って、あり得るのか?

そんなの、フィクションの中にしかいないはず。

現に僕だって、妄想の中では自分が奴隷で、神無月さんが女王様で…って思うことはあっても、本当に奴隷になるつもりなんて無かったし、中学生で奴隷なんてまず考えもしなかった。


しかし昨日の理科室で、神無月さんは言ったんだ。

『うちが歯形を刻んだんだから、お前はもう奴隷だよっ☆』と。

もうなんでもいいや。僕は神無月さんの奴隷になった。

それでいいんだ。

というか、「それでいい」どころか、最高すぎるじゃん。

妄想じゃなくて現実で、僕は神無月さんの奴隷。

しかも、神無月さんが僕を、有無を言わさず奴隷にしたんだ。

そんなこと、僕の妄想を遥かに超えた最高のシチュエーションじゃないか。

もしかして、今日から僕はリア充なんじゃないか。

そりゃ、普通の性癖の中学生ならいきなり奴隷とかにされたら嫌だろうけど、僕にとってはむしろ逆だ。

彼氏彼女なんていう、普通の関係は、憧れてないと言ったら嘘だけど、なんていうか大変そうだし、変態性癖を相手に隠さなきゃいけない。

つまり僕にとっては、ご主人様と奴隷という関係の方が恋人関係よりもありがたいのだ。

ふへへ…。

地味で良かった。非モテで良かった。卑屈で良かった。

地味で非モテで卑屈だから、神無月さんは僕を奴隷に選んだんだ。


今日からは、現実に神無月さん…、あの結衣たんが僕の肉体にあの美しい歯形を刻んでくれるんだ。

昨日の歯形はミミズ腫れになっていて、当分消えそうにない。

もちろん昨晩はこの歯形をおかずにしましたとも。

へへへ…。僕キモい(笑)


「田中くん。どうしたの?朝のホームルーム始まってるよ?」

そんな神無月さんの声を聞き、はっと我に返る。

僕以外のクラスメイトは全員起立していた。

僕だけが、1人ニヤニヤしながら座っていた。

ああ、僕はなんてダメなキモ男なんだ…。

というより、今まで目立たない優等生というポジションで学校生活を平穏にやり過ごしてきたのに、この状況はまずくないか…?


「田中が注意されるって珍しいな」

「というか、さっき田中くんニヤニヤしてなかった?w」

「えっ、キモいんですけどww」


ほらほら、まずいまずい!

急いで僕は起立して、朝のホームルームはその後何事もなくいつも通りに終わった。


いや、いつも通りでは無かったかもしれない。

神無月さんは、僕を注意した後も、僕の方を見続けていた気がする。

って、そんなことはないか。

また妄想してしまった。

本当に僕は調子に乗って、何を考えているんだ。

僕のようなカースト底辺の、勉強しか取り柄のない非モテ男を、神無月さんが見つめ続けるなんてあるわけないじゃないか…。

奴隷の話だって、全部夢だったんじゃないか?

僕の変態的妄想がいよいよ爆発して、ついに妄想と現実の区別すらできなくなったんだ。

そうだ、そうに違いない。

本当に僕は、気持ちの悪い、最低な人間だ…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ