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蕾よ、咲き誇れ

 俺が好きなぱんつの話をしよう。

 まずは色から。俺には譲れない二色が存在する。

 一つ、清涼感があり清楚感を感じさせながらもどこかエロさを演出する空色。スカイブルー。水色ではない、空色だ。蒼く澄み渡る空のように清らかなぱんつである。

 一つ、子供っぽさと淫乱さを同時に感じさせ、更に出会いと別れを想起させる桜色。ブロッサム。桃色ではないしピンクでもない。淡い桜色だ。俺は桜色のぱんつの下で花見をしたい。頭上に咲く可憐な花から滴る蜜を垂らした酒を呑みながら、春を過ごしたいと思う。

 次に、柄だ。これは無地。シンプルで文句はな。しかしそこへフロントのワンポイントリボンや、バックに小さな穴が開いていると魅力がぐっと増す。

 だが至高はレース柄。これはレース生地とセットになることでその魅力を天にも届かせる。

 生地だけならコットン素材も最高だ。あのぴたりと肌に張り付き、肉感、質感を目で感じ取れる愛おしさは他では味わえない三ツ星料理並。

 他にも無数あるが、この場では至高ぱんつのみを語るだけにとどめておこう。


 なにせ俺には、迫っている――至高の世界が、すぐ目の前に迫っているのだ。


「……来るか」


 学園の階段を下る俺のぱんつアンテナに反応があった。これはもうすぐパンチラと出会えるという現れ――パンチラの未来視が出来ると言っても過言ではない。

 俺の好みに必ずヒットするアンテナのセンスは、直下型パンチラAVで普段は清楚な美少女がここぞとばかりに淫語で攻めながらぷっくり膨らんだぱんつを見せつけてくる時と張るレベル。

 おしむらくは、なかなか美少女がいないこと。ぱんつとは、それに見合う美少女が穿いてこそ魅力が120%引き出される人間が作り出した英知の結晶なのだ。

 自分に合うぱんつを探すのではない。ぱんつが、己に相応しい美少女を探しているのだ。

 この世界はそれに気付かぬ輩が多い。もう少しぱんつの声に耳を傾けるべきだ、一方通行では醜い姿しか晒せないと言うことを知るがいい。

 そのぱんつを欲している者が世界のどこかにいるのに、相応しくない者が穿いていては宝の持ち腐れ。俺がぱんつの仲介業をやっていい。それくらい由々しき問題。このままではいつしか世界から大切なものが消えてしまう。おれは毎晩、その不安に押し潰されそうになっている。

 しかし。

 パンチラセンサーが反応したということは、もうすぐ女神と出会えるということ。

 ああ、神よ。ぱんつ神よ。どうか俺をその座へ誘ってくれ。必ずや力になってみせると誓うから。


「おっとっと……」


 聞こえてくる声。声がもう可愛い。その声は下階から。山積みのノートを運ぶ少女――ちらりと見せた彼女の姿は、ああ、なるほど。センサーに狂いはないと確信させられる。

 栗色の長い髪は一本のおさげで胸の前に流され、くるっとした瞳が映えるは照れやな印象を与える可憐で赤みを帯びた、ぱんつに選ばれしフェイス。胸はほどほどに、ウエストは細め、特筆すべきはスカートを軽く押し上げるお尻、触るとあまりのぷるぷるさに弾かれそうな素晴らしい太もも。あの腰を包むぱんつは、さぞ幸せだろう。

 そして、おそらくシチュエーションは王道。衝突からのM字御開帳――《黄金角度より現れし(アウルム・エム・)柔らかなる蕾(パンチラ)》で間違いない。

 王道結構。王道に勝るものなしだ。

 センサーが強く反応する。ああ、天を衝きそうだ。


「ちょっと開けてくださーい」

「……ああ」


 わざと当たることはしない。パンチラとは俺の意思で起こる訳ではない。

 世界の意思が収束することで、それは起こるのだ。

 躱し、彼女が横を通ろうとする。

 さあ、来い――そう祈った俺は、何事も無く通りすがる彼女の姿に、唖然としてしまった。

 あたら、ない……? センサーは依然最大反応を示している。まさか、彼女ではないというのか?

 思わず振り返る。俺は願っていた。あの子の、パンチラが見たい。そう強く、切なく、月に手を伸ばすように。

 もう一度言おう。パンチラとは、世界の意思が収束して引き起る。世界とは人間、そして俺も人間だ――つまり、そういうことだった。


「ふわわっ――」


 びたん、と彼女は階段に足を取られ、前のめりに転んでしまう。

 予測は外れた――そこに広がったのは、獣のように四つん這いになった彼女の後姿――《黄金の大三角(デルタ・フォース)》だったのだ。

 ぱんつは、桜色。バックにハート形の穴があり、レース生地で薄く透けるそれは、太陽に翳した桜の花弁のようであった。

 なんと、美しい。この瞬間、日本最速で満開の桜が咲き誇った。


「煌めいて

 我が()を奪い

 咲き誇る

 甘く薫るは

 春の蜃気楼」


 字余り。だが彼女のぱんつは余すことなく、網膜に焼き付けた。


 俺は生涯、出会い続けるだろう。

 至高の――あらゆる全てをねじ伏せるような、広大な自然が如き果てしなく魅力を放出するぱんちらに出会えるまで。

 でも、これを忘れてはいけない。

 自然とは、常に変わりゆく、そう、無限に。

 つまりぱんちらには、無限の可能性があるということを。

 ゆえに、生涯、死ぬっまでずっと、死んでからも永遠に、俺は新たなぱんちらに出会い続ける。



 ――後に、とある偉人は語る。

 人類よ、ぱんつを生み出したことこそが、最大の栄光である。――と。

 







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