実と契約
今まで活動していなかったので、2日連続で出したいと思います!m(_ _)m
「ふーん、ラシェっていうんだ。へぇ…可愛い名前だね。」
魔導士は、馴れ馴れしく喋りかけてくる。
「もう!何なんですか一体!?仕事の途中ですので、漫談は失礼します。」
ラシェは、強めに会話を切りにかかった。
「別にそんなに怒ることないってー。実は僕、貴方を助けようと思って声かけたんだよね。」
私を助ける?そんなこといっても無駄だと思いつつも、聞いてみたくなった。
「この私を………助ける……?」
「……そうさ。ちょっと黙って聞くだけ聞いておいたほうがいいと思うよ?……ラシェ、君はお義母さんたちと一緒にお城へ行きたかった……そうだろ?あっ、言ってなかったけど僕、ラシェの心が読めるんだ。だから、ラシェの願いを聞いてあげたいのさ。」
いきなり会った人に心まで読まれるとはとんでもない人に出会ったと、ラシェは少し不安になった。だけど、願いを聞いてくれるというのはいい話だと思った。
「本当に!?何だかよく分からないけど、貴方いい人ね。ありがとう!じゃあ早速願いをk…」
「おぉーっと、願いは叶えてあげられるけど、その分の代償も貰わなくちゃね〜。商売にならないね〜?」
やっぱり思った通りだ。こんな上手い話には怖い罠があると昔から言われているのだ。それぐらいラシェも分かっていた。
「やっぱり何かあると思ったわ。代償って……?」
すると魔導士は、ふところから紫色の丁度りんごくらいの大きさの丸い実を出してきたのであった。
「これは、シャドゥーアップルと言う林檎に似た実さ。味も香りも普通のリンゴと似ているし、毒じゃない。色だけ見ると不気味だけどな。これを食べることによって、君は死ぬまでずっと魔法が使うことができる。つまり、魔導士、魔法使いになることができる。そして後で請求される代償をはらえば契約解除され、君は本当の自由を手に入れられるのさ。」
魔導士は、ニヤッとしてこちらを見る。ラシェは、迷った。こんなに良すぎる話なんて可笑しすぎる。何か凄い罠があるのじゃないかと。
「ねぇ、どうする?決めるのは君だよ、ラシェ……。」
***
「やっぱり私…………………………遠慮しておき……ます。。」
迷ったあげく断ったのだった。やっぱり何かあるんじゃないかと怖くなったのだ。
「……そうか。ラシェまで僕を疑う人なのか。君なら分かってくれると思ってた。優しい人間だって感じたから、君に近ずいた1つの理由なんだよ。実は僕、今までずっと独りだったんだ。友達もおろか、身寄りだっていない。君に会って何か変わると思っていたけど違ったみたいだ。迷惑だったな、またな…………」
「待ってっっ!!!」
森の中へ去っていこうとする魔導士の腕を掴んだ。
「そんな辛い思いしてるなんて知らなかったよ。私は、本当のお母さんとお父さんは亡くなってしまったわ。同じ気持ちなんだと分かった今、放って置けない。」
ラシェは、そのまま泣きじゃくった。
「君は本当に優しいね。好きになっちゃいそうだよ。じゃあ、まあそれより……僕と契約してくれる?」
そしてラシェは、決意した。
「いいわ。契約する。」
そして、シャドゥーアップルを差し出され食べたのだった。すると、腕に魔方陣の様な紋章が浮かび上がった。
「これが契約のしるしさ。これは、僕との契約を守れば消える、即ち、代償を払えば消えるのさ。ただし、契約を守れなかった場合は、厳しい処罰が待っている。それだけはよく覚えておくように……。では、また会おう。」
そう言って、契約して直ぐに魔導士は消えてしまった。
「厳しい処罰……か……。」