にわ
「そうスライムです!単細胞生物故の変幻自在な躰!核を潰されない限り再生可能な耐久性!この器に高知性体の魂を封入し、核自体に特殊な呪式を刻み込む事でスライムであろうとも問題無く思考系統を組み立てる事が出来るのです!更に更にこのスライムには段階を踏んで純度の高い魔石を餌として取り込ませた結果、魔人族にも匹敵する魔力を備えさせております!後は育成を進めれば立派な対勇者用最終殲滅モンスターとなりましょうぞ!!」
「あー、とにかくスゴイってのは分かったがその育成にはどんだけ掛かるんだ?トロトロ育成してたら勇者が攻め込んでくるんだが」
「現在の人間共の移動手段を考えるに馬を使用したとしても辿り着くまで約5年程。なので連中はかつての勇者の軌跡を模倣して空を駆るため、我々の支配下にない北のドラゴン種への協力を取り付けに行くでしょう。連中が失敗すれば+1年の猶予が生まれますが、成功すれば2年程でこの居城まで攻め込んでくるのは確実。現在此方側でも北のドラゴン種の取り込みを進めていますが、それでもはぐれドラゴンとでも契約されたらどうしようも無いのは事実ですので魔王様がご懸念されるのも最も。ですが!その対抗策も既に整えてございます!!」
「ふぅん?用意がいいな大魔導。で、その対抗策とやらの中身は?」
「ハッ!まず居城を中心とした半径1000キロ四方に魔導具を埋め込んで発生させた特殊結界を50キロ間隔で幾つも築いております!具体的には玉ねぎの様に幾重にも重なっているとお思いくださればよろしいでしょう!この結界は発動には四カ所の魔導具の共鳴を必要としますが、発生後は地脈を流れるレイラインから魔力補給を受ける事で一基単独で結界を保持する事が可能!故に勇者等が攻め込むには全ての魔導具を破壊して回る必要があり、戦力を整える十分な時間を稼ぐ事が出来るのです!!」
「………………成程、確かに素晴らしいけど、それにどれだけ使った?」
「予算全体の4分の1程でありますが、いやはや、少々予算が嵩みましたがそれ相応の仕事を……」
「予算使い切ってるじゃないか!!ホントどうするんだよ、予算なかったら軍を維持するどころか政治も城の管理も全てままならないし!!」
「御安心を!勇者出現の報を受け人族に尻尾を振る逆賊共のピックアップと証拠揃えは済んでおります。すぐにでも反逆罪で一族郎党財産没収からの処刑までゆけます!それらを国庫へと注げば3割強補えますので!ああ、更に連中の後釜となれる人材も目をつけておりますので、国政と軍事が滞る事はございません!!」
「高位魔族からの返しの反発が凄そうだなぁ!もうヤダ!勇者対策しようとしたら国政が詰むとかないよ!というかお前寝て無くて変なテンションで物事進めただろ!?少し寝ろ!!」
「ゴファッ!?」
「ふぅ、悪は去った。ああ、にしてもコレが予算四分の三のなれの果てかぁ。ホントこれからどうしよう……」