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人間は面倒くさい

(カトリーヌ視点です)


私の名前はカトリーヌ、5歳の柴犬。


今、私のご主人様の直人がバルコニーから部屋に戻ってきて、ベットの上で頭を抱えてゴロゴロしているのを見守っている。


また言えなかったのか。


さっきだって勢いでミキちゃんにキスでもするかと思ったら、頬にキスって何よ。


私のご主人様は筋金入りのヘタレだわ。もうミキちゃんに片想いして、もう1年。何の進展もない。


私がご主人様に引き取られたのは1年前、ご主人様のおばあちゃんが亡くなり、私と一緒に暮らせる家を探して、ミキちゃんの働くコンビニの近くに引っ越してきたのよね。


散歩中に偶然見つけたコンビニだったけど、勿論私と一緒には入れないから、ご主人様がドアの外にあった柱に私を繋ごうとしたら、ミキちゃんがお店から水の入ったボウルを持って出てきてくれたのよね。私が舌を出してはあはあしているのに気がついたみたい。


「今日は暑いですからね」ってにっこり笑ったミキちゃん。

ご主人様はあの時ミキちゃんに一目惚れしたんだと思うわ。


それから、散歩コースにコンビニを入れて、ミキちゃんが働いているかどうかチェックしているご主人様はややストーカーみたいで怖かったわ。


でも一年経っても何をいうわけでもなく、ただミキちゃんがいる時に買い物をするだけ。常連さんと認識されて、一言二言は話すけど、全く何も発展しないから。私のお気に入りのハートのクッションを持って散歩にも行ったのに、ご主人様は恥ずかしがるだけだし、ミキちゃんは可愛いですねーって、私の事を撫で回すだけ。


本当に人間って面倒くさい。


だから、こちらに召喚されてご主人様が私と話ができるスキルをもらった時は本当に嬉しかったわ。


これでミキちゃんとご主人様をくっつけられる。


ただ、私はご主人様のヘタレ具合を舐めてたわ。


その間にあの王子はミキちゃんに色々アピールし始めるし。ご主人様は王子みたいに気の利いた事もいえやしない。


テスト討伐の時にご主人様が怪我をしたり、ミキちゃんが大ウサギの処理を見て倒れたのは予想外だったけど、酔っ払ったミキちゃんをご主人様が介抱して、今度こそはと思ったのに。


おでこにキスだけなんて。。。しかもミキちゃんが寝ている時に。


今日の買い物デートだって、わざわざ私が留守番して2人きりにしたのに。


告白もしてない

ほっぺにキスのみ


まあお揃いの装飾品を買ってプレゼントした所は評価するわ。


なんて考えてたら、ご主人様がむくっと起きた。


「おい、カトリーヌ。お前、俺の裸をミキに見せたかったのか?いつもの格好で出てきてたらやばかったぞ」


「あら、ご主人様は結構いい体をしているんだから、そこをアピールしないと」


「犬の世界だとそうかもしれないが、告白もしてない女性に裸を見せたら変態だから」


「だったら、とっとと告白しなさいよ!このヘタレ!」


「俺はミキが高校を卒業するのを待っていたんだよ。流石に社会人が高校生に告白とかまずいだろう」


「ストーカーのように毎日コンビニ行くよりマシじゃないかな?」というと、ご主人様は黙ってしまった。自覚はあったんだ。


「さっき、馬車で告白しようと思ったんだよ。でも馬車がついちゃって」


「だったら、さっきすればよかったじゃない」


「俺はバスローブだし、ミキはミニドレスだし。。あそこで告白してキスしたら、もう止まれる自信がなかった」とまたベットの上で顔を隠して、ゴロゴロ転がっている。


「まあ、ミキちゃんも満更じゃないみたいだし、ご主人様がいない間、私がそれとなく探りを入れるわ」


「どうやってだよ?お前ら会話できないじゃないか」


「大抵はお尻の匂いを嗅げばわかるんだけどね」


「それは犬同士だろう、絶対やめろ」


「汗の匂いでもわかるわよ。お買い物デートに行く前のご主人様のむっちゃ緊張してた汗の匂いとかね」


「汗の匂いを嗅ぐのもダメだ。ミキはイグニアス殿下の事もなんとも思っていないみたいだし、ゆっくり進めていくから」


「ご主人様はもうちょっと焦った方が良いわよ。殿下のお付きのアランさんからも、好きフェロモンが出てるわよ」


「な!何?」


「まあ、ご主人様がいない間は私がガードしてあげるから、ちょっとは訓練で男らしく鍛えられるといいわね。ジョンさんみたいにグイグイ行く方が好きって、ミキちゃんも言ってたでしょ」


「。。。。俺はもう寝る」


あーー拗ねちゃった。


ミキちゃんからもご主人様といる時にいい匂いがするから、多分好きだと思うのよね。ご主人様からのミキちゃんに対するフェロモンが強すぎて、かき消されてるけど。


ご主人様は本当に眠ってしまったようだ。


「本当に世話が焼けるご主人様だわ」


次の日の朝、夜が明けると同時にご主人様はジョンさんの所に行った。


私はミキちゃんが起きるまで、部屋で待っていて。


メイドさんに連れられて、ミキちゃんの部屋に行く。ミキちゃんの目は腫れぼったい。泣いていたわけじゃなくて、寝不足っぽい。


「カトリーヌちゃん、おはよう!お散歩行こうか?ごめんね遅くなって、昨日はよく寝られなくて」



お散歩の後、ランチを食べて。私が昼寝をしようとすると、ミキちゃんは何か人形のようなものを編み始めた。


小さいもので、黒い髪と黒い目。短髪と長い髪。人形に綿を入れる時に何か石のようなものを入れている。


私にもワンコチャームを作って、中に石を入れて。首輪につけてくれた。


「カトリーヌちゃん、どう?これが私、直人さんとカトリーヌちゃん。中に反重力の魔石が入っているの。小さいからそこまでの力はないけど、自分が落っこちたり、何かが落っこちて来た時に、ゆっくりになるんだって」


ミキちゃんは2つの人形をじっと見てる。


「直人さんには直人さん人形をあげた方がいいよね」とミキちゃんが呟いたので、私はミキちゃんの人形を咥えて、下に落としてワンと吠えてみた。


「カトリーヌちゃんは、直人さんには私の人形の方がいいと思うの?」


私はもう一回吠える。


「そうかなー。カトリーヌちゃんのチャームの方はよかったかもね」



ああーーもう焦ったい。


私はミキちゃん人形を咥えて、ドアの方に行く。


「あれ?外に出たいの?」ミキちゃんがドアを開けると私は自分の部屋に行く。


「あれ、部屋に戻りたいの?直人さんの部屋、開いてるかな?あ、開いてた」


ミキちゃんがドアを開けたら、すぐに中に入る。


私は人形をベットの枕の上においた。そしてすぐにドアから出て来た。


「もういいの?カトリーヌちゃんも私のお人形気に入ってくれたのね」


あーー本当にご主人様はヘタレだし、ミキちゃんは鈍感だし。


私はなんだか疲れてしまって、ガッツリ昼寝をする事にした。


目を瞑った私をミキちゃんは撫でてくれている。


「直人さん、早く帰ってこないかなー、まだ半日なのにもう寂しい」とミキちゃんが呟く声が聞こえた。


私は寝たふりをしながら、思わずニヤッと笑った。



ヘタレなご主人様を持つとワンコも大変です。

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