殿下の恋愛相談
私が次に目を覚ました時はもう1人だった。直人さんはいつ戻ったんだろう?
喉が渇いて、頭が痛い。。。あれだけの量で二日酔いなの?お酒は怖いな。
自分に治癒魔法ってできるのかな?
「痛いの痛いの飛んでけー」
自分の手がぴかっと光って、頭痛が消えた。
何これすごい。フィレーナさんありがとう!!!
「おーい、ミキ起きてるか?撤収するから着替えてテントから出てくれ」とジョンさんの声が聞こえる。
「すみません、すぐ準備します」
外に出ると殆どのテントがもう無くなっていた。私のテントもあっという間になくなる。
「テントとか大ウサギの肉って何処に行ったんですか?」
「アイテムボックスっていう魔道具があるんだ。かなり高級だが、騎士団には国から支給されているからな。今回は無理いって2個にしてもらって良かったな、こんなに大量に肉が手に入るとは思わなかった」とジョンさんはホクホクした顔をしている。
それは騎士団としてより個人的に肉が欲しかっただけでは。。
私はまた聖女服を着て、イグニアス殿下と直人さん、カトリーヌちゃんと馬車に乗った。
「帰ったら、私は陛下と宰相と討伐遠征についていつ行うか話し合う。まあ準備もあるから1-2週間後になるだろう。君たちはその間自由に過ごしてくれ。国境の街はここから移動だけでも3ー4日かかる。長い旅になるので、必要なものは揃えておいた方が良い」
「移動の時の暇つぶしグッツ探そうかな、あとそれだけ馬車に揺られるなら、良いクッションとかも欲しい」
「俺は本とか、筋トレグッツが欲しいな。体が鈍ってしまう」
「じゃあ帰ったら、また街に行きましょうか?私はアイラさんや雅代さんにも会いたいです」
「良いな。俺はクロード団長に頼み事があるし」と直人さんと話していると。
「お前達は仲が良くて良いな。私も妃達とこれぐらい話せると良いんだが」とイグニアス殿下がため息をついている。
「今、妃達って言いました?何人いるんですか?」
「王太子妃と側妃が2人。。。、政治的なものもあるから、ほぼ私の意思はなく、子供の時から3人が候補で、選べなかったから3人と結婚した」
「えーーそれで良いんですか?お妃様達はそれで大丈夫?」
「文句は言われてないが、あまり関心も持たれていないようだ。だから色々諦めていたんだ。でも恋愛というものもしてみたい。ミキは私の事どう思う?」
「はい?殿下の事ですか?」
直人さんの目が見開いてる。カトリーヌちゃんは私のことをじっと見てる。
「全くないですね。奥さん3人いる時点で無理です。」
バッサリ切ってやった。
イグニアス殿下はすごくショックを受けた顔をしているが、普通よね?
カトリーヌちゃんは私の膝に乗ってきて、顔をぺろっと舐めてきた。
「イグニアス殿下、私達の世界では一夫一妻が普通なので、同時に数人の女性と結婚したり、交際する事は浮気になるので、受け入れられない人が多いでしょうね。全くないわけではないですが」と直人さんが言うと。
「じゃあ、他の妃と別れてミキ1人ならいいのか?」
えーー絶対やだ。
「そこまで、されると重くて余計に嫌です。それより、3人も奥様がいらっしゃるなら、皆さんと仲良くなることから始めたらどうですか?小さい頃から知っているのでしょう?それに少しでも好きな所がなければ結婚しないでしょう?」
「王太子妃のキャサリンとはずっと一緒に育ってきたので好意はあるが家族愛のようなものと思っていた、側妃の2人はいまだに良くわからない。だが、王族の勤めとして子供を作らなくてはいけない。しかし。。その気になれず。この魔獣討伐を理由に逃げ続けている」
「帰ったら皆さんで話をしてみてはいかがですかね。向こうも義務で結婚したのか、本当にイグニアス殿下の事が好きで結婚を望んだのか聞いてみたらどうですか?3人を思い浮かべて誰の顔が1番初めに浮かびます?」
「王太子妃のキャサリンだな、公式な場では彼女と一緒にいる事が多いし、聡明で優しい人だ。彼女は私の執務も支えてくれている。側妃の2人は姉妹なんだがあまり公務にも関心がないようだ」
「そのお2人は普段は何をなさってるんですか?」
「お茶会とかだな。買い物も好きでよく行商を呼んでいる」
「ちなみに全員のバックグラウンドは?」
「キャサリンは公爵家出身で宰相の娘だ、姉妹は侯爵家出身で2人の父親はこの国の大臣だ。私も初めは妃はキャサリンだけで良いと思っていたんだが、大臣がゴリ押ししてな。結婚で家の力が偏るとか言われてな」
王族ってのも大変ね。でも殿下はキャサリンさんだけで良さそうな気がするけど。
「討伐が終われば、子供を作るために妃達の争いが激化しそうだし、だったら聖女様と結婚すればみんな文句言わないかなと思って」
「うわ!ひどい。そんな消去法だから誰とも上手く行かないんですよ。俺はお前だけだってグイグイくる方が女の子は惹かれるんですよ」
カトリーヌちゃんもバウっと吠えてる。
「ほら、カトリーヌちゃんも賛成してくれてるんですよね、直人さん?」
「。。ああ、そうだな」
カトリーヌちゃんは直人さんをじっと見てる。
「クロード団長みたいなのは、女の子的にはどうなんだ?俺から見るとやりすぎなんだが」と直人さんが聞いてきた。
「そうですね、あれは人によりますけど、まああれだけのイケメンが一途に1人だけってのは羨ましいですよね」
「キャサリンもそう思ってくれるだろうか。。。」とイグニアス殿下がポツリと言った。
なーーんだ、殿下はちゃんとキャサリンさんだけ好きなんじゃない。
「とりあえず、他の2人の妃達をどうにかする事からですね。好きでもないのに、妃としておくのは向こうにも失礼ですし」
そんな事を話していたら、いつのまにか街外れについていた。
外から「団長!!」という叫び声が聞こえる。
ジョンさんのお家に近いのかな?
アランさんが困った顔をして、
「殿下。。クロード団長が。。」
「放っておけ、ここまで持っただけでも奇跡だ。明日の会議には必ず出るように言っておけ」
アランさんが慌てて、馬を走らせて先に行く。
アイラさんの家を通り過ぎる時、アイラさんを抱きしめているジョンさんに必死で何かを伝えているアランさんが見えた。
アイラさんは困った顔をしているが、しっかりジョンさんの頭を撫でている。
「やっぱり。。。羨ましいですね、実際に見ると」
「そうだな、私もキャサリンに頭を撫でられたい」
「殿下。。そういうのは今は心の中に留めてキャサリン様に直接言ってください。直人さん、直人さんも頭とか撫でられたいと思います?子供っぽくないですか?」と直人さんさんの方を向くと、なんだか固まっている。
カトリーヌちゃんは私の手に頭を擦り寄せてきた。
「カトリーヌちゃんは頭撫で撫で好きなの?いつでもしてあげるよー」と撫で回してると。
横からボソッと。
「俺だってされてみたい」
と聞こえた。
「「え?」」
私と殿下が直人さんの方を向くと、顔を真っ赤にした直人さんがいた。
「な。。なんでもない!!」
「あら、直人さんも羨ましくなちゃいました?カトリーヌちゃんだけ撫でたから」
「いや。。忘れてくれ」と後ろを向いてしまった。
「じゃあ、直人さん!今、頭を撫でる代わりに明日私とお買い物デートしましょう!」
「え?どういう意味?」と直人さんが困惑した顔をしている。
「明日のお買い物で荷物持ち手伝ってくれたら、お礼に頭撫で撫でします」
「。。。お礼はいらないよ、いつでも手伝うから」
「じゃあ決まりですね」
「え?ああ。。一緒に行こうか」
「私もキャサリンをデートに誘おうかな」と殿下はため息をついている。
「先に他の妃の事を対象しないと、逆効果ですからね、殿下」
殿下は難しい顔をして黙ってしまった。
直人さんも何か悩んでいる。
さあ王宮までもう少しだ!
キラキラ王子のはずがなんかヘタレになってきてしまった。




