聖女は間に合わなかったけど
そして半年後、直人さんと私は結婚式を挙げた。そしてその頃、イグニアス殿下とキャサリン妃の元には可愛い王子が生まれた。魔獣問題もお世継ぎ問題もなくなり、国中が活気に溢れている。
そして結婚式から数ヶ月後、私も妊娠していることがわかった。
「これでミキちゃんの子供も未来の王太子様とカイとエマと幼馴染になって一緒に育っていくのね」とアイラさんが嬉しそうに言いながら、よちよち歩いている双子を見ている。
「そういえば、ジョンさんは何処に行ったんですか?」
「双子の誕生日プレゼントを捕まえるって」
「捕まえるですか?」と直人さんの表情が歪んだ。
「すごく嫌な予感がする」
「そろそろペットが欲しいかなって話もしててね。流石にワイバーンは無理だから、もう少し小型の。。。。」
「帰ったぞー、アイラ。捕まえてきたぞ、大ウサギを」
「「大ウサギ!!」」
私達が外に飛び出すと、そこには。。まあ大ウサギにしては比較的小さめだが、それでもポニーサイズの大ウサギがいた。
「何これ!!ウサギちゃんの可愛さがカケラもない!耳が長いだけでウサギにすら見えない!」と叫ぶアイラさんに。
「あの大ウサギ、空飛ぶし肉食ですよ」と直人さんが追い討ちをかける。
「ジョン!何考えてるのよ!子供たちが食べられても良いと思ってるの?」
「あいつらなら、もう大丈夫だろう。歩けるようになったし」
ジョンさんとアイラさんが言い合っている間に、私と直人さんは一緒に家に戻った。
家では双子はカトリーヌちゃんにくっついて寝落ちしていた。
「早く俺たちの子供にも会いたいな」と私のお腹をそっと触った。
「そうね。来年の今頃は賑やかになっているね」
結局、大ウサギはペットではなく、その日の夕ご飯になった。
食べ物があるところには必ず現れるフィレーナさんは大ウサギの串焼き肉を食べながら。
「やっぱり、私には召喚の才能があると思うのよ。ここにきたみんな幸せになったじゃない」と自信満々に言うフィレーナさんに直人さんは呆れたように言う。
「俺たちが努力した結果、幸せになった気がするんですが。雅代さんはどうなんですか?双子のお世話は楽しいと言っているけど、幸せを掴んだとは思えないんだが」
すると、後ろから
「私も幸せですよー」と雅代さんがお隣のディーノさんと腕を組みながら入ってきた。
直人さんがびっくりしていると。
ジョンさんがニヤつきながら
「なんだお前知らなかったのか?結構前からだぞ。初めの討伐に行く前に、ディーノさんはもう告白してたぞ。どっかの誰かみたいにヘタレじゃないからな」
「ほらね、みんな幸せじゃない」とフィレーナさんはドヤ顔だが、
「おい、ポンコツ女神。もう、当分聖女が必要な事態はないんだな?これからは無闇やたらに、コンビニの飯目当てに転移させるなよ?」とジョンさんが言うと。
なんか。。フィレーナさんの目が泳いでる。
ジョンさんの声が低くなった。
「おい、今度は誰を連れてきたんだ」
「えっと。。。もうね、預け先は決まってて、一緒に住んでいるのよ。2人とも幸せそうだし、言う必要ないかなーと思ってて」
「そんないきなりこの世界に順応するわけないだろう、ここに連れてこい」とジョンさんが言うと。
フィレーナさんは念話で誰かと話してる。
「すぐ来るって」と何事もなかったように串焼き肉を食べるフィレーナさん。
30分後、ドアをノックしたのはアランさんだった。
「お。。お邪魔します」
「え?アランさんは転移者じゃないですよね?」と私が聞くと。
「いえいえ、私ではなく。このフランソワです」
「フランソワ?」
アランさんの後ろから、キリッとしたオスの柴犬が現れた。その瞬間、カトリーヌちゃんがすくっと立って、挨拶をしに行く。そして直人さんに何にか言ってる。
「あーー、カトリーヌはに一目惚れしたそうだ。結婚したいって」
「え?カトリーヌちゃん積極的、凄いわね。直人さんとは違うわね」と私が言うと。
直人さんがむすっとした顔でこっちを見てる。
「ほら、カトリーヌちゃんも幸せを見つけたんだから、喜ばないと」と私が慌てて言うと。
「なんか、娘を嫁に出すってこんな気分なのかな?俺達の娘もそうなるのか?」と今度はなんか涙ぐんでる。
気が早すぎる。まだ生まれてもいないし、性別すらわからないのに。
「おい、そのフランソワの飼い主はどうなったんだ?」とジョンさんがいう。
「え?私は見た時、その子はコンビニの外に繋がれていたから。その隣にあった食べ物が入った袋を狙ってただけだったの」
「普通に強盗だな、直人。フランソワに飼い主の事を聞いてやってくれ」と言うので、直人さんがフランソワと話をしている。
「えっと、飼い主は中学2年生。買い忘れたものがあって、飼い主がコンビニに戻った瞬間、フランソワはこちらの世界に来たそうで。飼い主がこっちにきてるかはわからないそうだ」
「ほらーー、大丈夫なのよ。みんな心配性なんだから」
「あ。。あの、中学2年生とは何歳なんでしょうか?」とアランさんが恐る恐る聞いてきた。
「えっと、13-14歳ですかね」と私が言うと。
アランさんの様子がおかしい。
「ま。。まさか」とアイラさんが真っ青な顔をしてる。
「フランソワがきた頃に王宮で迷子が見つかったと。小柄だったので、その歳には見えませんでしたが。暗いブロンド、明るい茶色の目の子で、こちらの服も着ていたので、異世界人と思わず。。。記憶が曖昧なようで家族も探せず。いま、教会にいます」
「フランソワは飼い主のお父さんは外国人でお父さん似だそうです。文化祭の出し物で劇をするらしく、練習帰りで中世の衣装を着ていたと。。。。」
「このポンコツ女神、思いっきり連れてきてるんじゃないか。すぐにそいつをここに連れてこい!!!」
フィレーナさんはすぐに消えたので、教会に行ったんだろう。
アランさんも行ってくると、フランソワをお願いしますと言って走り去って行った。
やっぱり、フィレーナさんはフィレーナさんだった。
聖女召喚のタイミングを間違えるし、コンビニのご飯が大好きで、その為についいろんな人を転移させちゃうポンコツ女神。
でもこちらの世界に来る人たちは、元の世界で孤独で、もっと幸せになりたい人だけ。
私も彼女のおかげで今は本当に幸せだ。
「その子もこちらの世界でもっと幸せになると良いですね」
「俺達以上に幸せになるのは難しいかもだけどな」と直人さんは私を抱き寄せる。
「本当に人間の聖女が間に合わなくて良かったですね」
「全くだ」と直人さんが言った時。双子が起きて泣き始めた。
アイラさんとジョンさんが慌てて家に入ってきて2人をあやしている。
本当に幸せだな。
途中で色々話を変えたので、どうなるかと思いましたがなんとか書き終えることができました。




