離宮の湖畔で
私とカトリーヌちゃんはまた殿下とアランさんと一緒に馬車に乗り王都を目指す。
今回は通常4日間の工程を3日間で進む事になった。殿下達もワイバーンが王都にいることが心配らしい。
そしてやっと、3日目の夕方、アイラさんの家が見え始めた。庭には。。。ワイバーンがちょこんと座っている。
それを見た殿下の顔はとても青ざめていた。
その隣で即席のかまどに鍋を乗せて、火を焚べている直人さんがいた。
「直人さーーーーーーん!!!」
「ワンワンワン!!!」
まだ遠かったが、直人さんには聞こえたらしく。私達の方に直人さんが走ってきた。
馬車から飛び出した私とカトリーヌちゃんを両腕で抱える直人さん。
「会いたかった。。。ワイバーンに乗せられて死ぬかと思った」
「直人さん、アイラさんは?」
「ああ、今朝から陣痛が始まって。お医者様も来ているが、まだかな」と直人さんが言った瞬間。ジョンさんが家から飛び出てきた。
「産まれたぞ!!男と女の子の双子だ!!!」と言って、また家に戻ってしまった。
「良かった、私は落ち着いてからお祝いを持って、赤ちゃんを見にこようかな?アイラさんもお疲れだろうし、直人さんは一緒に帰ります?」と私が聞くと。
「そうしたいんだが。。これをどうしたら良いんだろうか?帰って良いぞって言っても動かないんだ。まあ飯は自分で狩ってくるから良いけど、よっぽど炊いたご飯が気に入ったみたいで。毎日食べないと嫌なんだと」と直人さんがため息をつきながら、私を抱きしめる。
「でもミキと一緒に帰りたいし、離れたくない」
「じゃあ、王宮に連れて行けば良いんじゃないですか?ご飯食べているなら、言うことを聞くんですよね?ダメですか?イグニアス殿下?」
「流石に王宮は。。。」とイグニアス殿下は渋い顔をしている。
「殿下。。それなら、離宮で直人さんとミキさんにワイバーンと住んでいただくと言うのはいかがですか?あそこなら広い森もありますし」とアランさんがいう。
「そうだな、悪くない考えだ。よし、荷物とマイマイは届けさせるから、そのままお前達は離宮に行ってくれ。場所はここだ」と地図を開いて見せてくれた。一応王宮の敷地内だが、街と王宮を挟んで反対側の森の中にある」
殿下とアランさんは準備の為に先に王宮に戻った。
直人さんは炊き上がったご飯をワイバーンに与え、これからの計画をチャールズさんと話している。そして私とカトリーヌちゃんの方に戻ってきた。
「ミキ、カトリーヌを抱えて?」
「え?こうですか?え?何?きゃあーーー」
直人さんは私を抱えて、ワイバーンの背中に押し上げる。そして、自分もワイバーンの背中に乗った。
「しっかり捕まってろよ」
よく見ると手綱のような物がワイバーンの首についている。
「初日は死にそうになったけど、あれから飛ぶ練習していたんだ」と言った瞬間。ワイバーンが飛んだ。
「ぎゃーー」
「ミキはもっと可愛く叫べないのかねえ?絶対に落とさないから大丈夫だよ」と言って、私達は離宮へ向かった。あっという間についたが、疲労感がすごい。
離宮は森に囲まれ、湖まである。ワイバーンも気に入ったみたいで、早速夕ご飯の狩に向かった。
私達は離宮の執事に迎えられ、隣同士の部屋に案内された。
案内された私の部屋の奥のドアを開けるとバスルーム付きの寝室があったが、反対側にもドアがあり、そこから直人さんとカトリーヌちゃんがこちらを見ている。
え。。寝室とバスルームは共有?
「これって夫婦の寝室に見えるんですが。。。」
「見えるんじゃなくて、そうなんだろう?」
カトリーヌちゃんは直人さんの部屋の方を探索しているようだ。
「じゃあ、私も自分の部屋の方を。。。。」と部屋に戻ろうとするが、直人さんに後ろから抱きしめられた。
「えっと。。。」
「俺、随分お預けをくらってるんだよね。まだ、ミキに好きって言ってもらってないし」と言いながら、首筋にキスをされる。
「な。。直人さん、私達、一刻でも早く帰るために、ほぼ野宿状態でここまで帰ってきて。。その、お風呂とかにもちゃんと入れてなくて。きっと匂うから。。その。。」
「あれー、ミキは何を考えてたのかな?俺はミキに好きって言って欲しいだけなんだけど」とニヤニヤしながら、顔を覗き込んでくる。
「。。。。。直人さんの意地悪」
「お風呂か、俺。カトリーヌのお風呂をしてるから、シャンプーとか得意なんだ。洗ってあげるよ」
「え?私は犬じゃないし。ていうか普通に無理無理!!」
でもそんな抗議も聞いてもらえず、私は浴室に抱えられて運ばれてしまった。
「お風呂から出たら、ベットの寝心地も確かめないとな」
「やっぱり、直人さんは変態なんだ」
「健全って言って欲しいな。本当に我慢したんだから」
「私は変態でも健全でも、どの直人さんでも好きですよ」と私はキスすると。
「それは良かった。どっちにしろ、もう離してあげれないから」
直人さんの部屋から、寝室に入ろうとしていたカトリーヌちゃんは私達を見て、そっとドアを閉めた。
「カトリーヌのベットは部屋の方に置くか」と言いながら、浴室のドアを閉めた。
それから数日後、私は赤ちゃん用の帽子を2つ編んで、直人さん、カトリーヌちゃんと一緒にアイラさんの家に向かった。
勿論、ワイバーンに乗って。
「いらっしゃい、ミキちゃん」雅代さんが笑顔で迎えてくれた。
「出産祝いパーティーにお招きありがとうございます」
「ミキちゃん、いらっしゃっい!」とアイラさんが奥の部屋から出てきた。
「アイラさん、体調は大丈夫ですか?治癒魔法かけます?」と私が聞くと、
「フィレーナがかけてくれたから大丈夫。2人ともよく寝るし、ジョンも手伝ってくれるし。こっちのオムツって魔道具に近いのか、漏れないし1日1回交換するだけで、全て吸収するし、かぶれもしないの!」とアイラさんは大興奮だ。
それは楽で良いな。コンビニで働いていた時も、早朝に必死な顔をしてオムツを買いに駆け込んでくるお父さんお母さんいたもんな。
双子はジョンさんと一緒に昼寝をしているらしく、私達は先にお昼ご飯を食べることにした。
「雅代さん、すごいです。ちらし寿司が食べれるなんて!」
「こっちの煮物も美味い!醤油なんてあったんですねこっちに」
私も直人さんも大興奮だ。
「何これおいしー」フィレーナさんもちゃっかり一緒に食べている。
そのうち、ジョンさんと双子が起きてきた。
男の子はカイくん、女の子はエマちゃんは2人とも黒髪でジョンさんのような青い目をしている。
ただ顔立ちは2人ともアイラさんに似ている。
むっちゃ可愛い。2人とも将来有望だ。
長居をすると赤ちゃんを疲れさせてしまうので、早めにお暇する事にした。
離宮に帰り、私達は湖の周りを散歩する。
「今度、また辺境地に遠征に行く事になった。まあレオに乗って行くから、日帰りで帰れるけど」
私達はワイバーンにレオという名前をつけた。すっかり私達と慣れて、いつもカトリーヌちゃんと遊んでいる。
「レオが言うには、野生で育っていない領地で増やされたワイバーンは野生の群れに入れないらしい。そいつらを迎えに行って、ここで暮らしたいそうだ。それをイグニアス殿下に相談したら、ワイバーン騎乗騎士団を作りたいとの要請があった。俺に団長をして欲しいとも」
「え?凄いじゃないですか。まあワイバーンと意思疎通できるのは、直人さんだけだから当然ですね」
そのうち、湖の湖畔のベンチがある所にやってきた。
「ミキ、そこに座って」
「一緒に座らないんですか?」
直人さんは私の手を取って、手にキスをしながら、片膝をついて私の前にかがみ込んだ。
「ミキ、俺はこれできちんとした仕事を与えられて、役職もついた。連れてきたワイバーンがここに慣れるまでは、離宮に住まなきゃ行けないが、そのうち家を買うから俺と結婚して一緒に住んでくれないか?」
もう一緒に住んでいるようなものだけど、直人さんは本当に真面目ね。
「勿論、喜んで。異世界に来たのは予想外だったけど、直人さんと一緒にこれて本当に良かった。これからもお願いします」
直人さんはにっこり微笑んで、ムーンストーンのような石がついた指輪を私の指にはめてくれた。
「どうやってサイズ測ったんですか?」
「それは秘密。人生には多少のミステリーがないと面白くないからね。これからずっと一緒にいるんだし」
そう言いながら、私にキスをしてきた。
「ミキは子供好きなの?何人欲しいの?」
「え?私はひとりっ子だから、兄妹とか欲しかったんですけど、まだ早いですよ」
「そうだな、もう少しミキを独り占めしたいな。随分長い事この瞬間を待っていたからな。でも練習は必要だよな」
「ぶれないですね、直人さん。じゃあ、部屋に戻りましょうか?」
「勿論、僕のお姫様」
「なんか、イグニアス殿下に似てきましたね、最近」
私と直人さんは手を繋いで離宮に戻った
ムーンストーンは愛する人との絆を深めるって石言葉もあるんですが、色が好みなので好きです。




