ずっと好きだったんだ
私は馬車に詰め込まれ、どれぐらい走ったろう?
馬車から引きずられるように出されると、何処かのお屋敷の庭にいた。
「遅い!やっと連れてきたの!」
「本当に使えないんだから」
「申し訳ございません、カレン様、マチルダ様」私を部屋から連れ出した赤毛のメイドはガタガタ震えている。
誰だ、この偉そうな2人。
「あんたが聖女?イグニアス殿下に色目を使ってたのに、あのキャサリンに持ってかれちゃったわね」
「やっぱり手切れ金じゃ、全然足らないわ。やっぱり王宮に戻りたいのよ私達。だからあんたもキャサリンも邪魔なの」
あーーーこの人達、イグニアス殿下の側妃だった姉妹か。綺麗だけど、キャサリン様のような品はないな。
「殿下は私と結婚とか思ってませんし、私も嫌です。ワイバーンの討伐をしないと辺境の街はなくなります。早く帰してください」
あの街がなくなったら米もなくなる。
それはすごく困る。
「は?ここまで聞いて帰すわけないでしょ。それに討伐されたら困るのよ」と背の高い方はいう。これが姉のカレンかな?
「私達の家は魔獣を他国に売っているのよ。今までは小さい魔獣だったけど、ワイバーンをやっと増やせるようになったんだから。攻撃力が高いから高く売れるのよ」
ニヤッと笑った方がマチルダかな。凄く意地悪そうな顔をしている。よくイグニアス殿下はこの姉妹と結婚しようとしたわね。
「この別邸には魔獣を呼び寄せる植物や餌が常にあるし、場所も広いから丁度良いんだけど、増えすぎて辺境の街でもワイバーンが暴れちゃって、聖女まで召喚するとか思わなかったわ」
「まあワイバーンの強さが証明できて、欲しがる国は増えたけどね」
姉妹は笑っているが、そんな笑い事じゃない。
「そ。。そんな。その為に魔獣に襲われて命を落とす人達もいるのに。」
「平民の命なんか、別にいなくても同じでしょ。そこのメイドの家族もね、ワイバーンに襲わせるって言ったら、ホイホイいうことを聞いたし」とマチルダが笑ってる。
「最低ね、貴方達が一瞬でもこの国の妃だったとは信じられないわ。キャサリン様と全然違う」と私が言うと。
「はぁ?何言ってるの、あんな女と比べないでくれる?殿下がキャサリンを気に入っているのは、実家の財力よ。まあ公爵領もワイバーンに襲わせたら、殿下は私達の家を頼ってくるはずよ」とマチルダが私の事を蹴飛ばそうとした。しかし加護が効いて、私にはダメージがない。
「何?あんた防御の加護でもあるの?」
しょ。。しまった。1日に1回しか使えないのに。
その時頭上から大きな鳴き声が聞こえた。
「あら、帰ってきたのね。今日はどこで暴れてきたのかしら?まだお腹が空いているんじゃない?」
「聖女とキャサリンがいなくなれば、殿下は私達の物よね。そこのメイド、早く聖女の口を塞ぎなさい。ワイバーンを倒されたら困るから、なんか口から音を出して魔獣を倒すって聞いたわ」
私はカトリーヌちゃんのように魔獣は倒せない。このままワイバーンに食べられちゃうの私?
そんな事を考えてたら、メイドが私に近づく前にいきなり強い力で掴まれて体が持ち上がった。
ワイバーンが私を足で掴んで、この屋敷の屋根に飛び乗った。
うそ。。やばいやばい。
掴まれているのは痛くないけど、食べられたら終わりじゃない?
離されても、縛られてるから屋根に捕まることもできずに落ちるだけだ。
「ぎゃー、直人さん助けてーーー!!!」
「ミキ!!!」
え???
声もする方を見ると、直人さんが屋根の上によじ登ってきた。
幻覚?なんで直人さんがここに。
あ。。。光の糸が。。私を追ってきてくれたんだ。
「ミキ、俺は絶対離さないから信じてくれ」
え?何?
そういうと、直人さんはワイバーンの足に剣で切り掛かる。
「グワーーーーーーーーーーー」ワイバーンがすごい勢いで鳴いて、体の締め付けがなくなったが。縛られいる私はそのまま屋根の上を転がり落ちる。
直人さんが私の方に走ってきて、私をしっかり抱きしめたが、私達はそのまま下に落ちていく。
そこで私の意識はなくなった。
……………………………………………
「ミキちゃんお疲れ様!」
直人さんがいつもの豆乳ドリンクをカウンターに置いた。
「え?直人さん??コンビニ?私達は元の世界に戻ったの?」
「ミキちゃん、何の話?元の世界って?」
「ほら、女神様が間違えて私達、カトリーヌちゃん、雅代さんを転移させちゃって。」
「ミキちゃん、大丈夫?夢でも見てたの?」
「え?夢?あれでも、元の世界では直人さんは私の名前。。。」
直人さんは豆乳ドリンクの代金を私に渡す代わりに、私に顔をグッと近づけて、
「何で知っているか、教えてあげるよ。耳を貸して?」
そう言った瞬間にベロっと顔を舐められた。
「何でーーー!!!直人さんの変態!!!」
……………………………
と言った瞬間に目が覚めた。
そして目の前には困惑する直人さん。
「変態??って何だよ。」
「直人は変態なのか?俺もアイラに言われた事あるぞ!」と。。ジョンさんもいるみたいだ
また頬をぺろっと舐められた。
あーーーカトリーヌちゃんが私の顔を舐めてたのね。
ここは。。宿屋?
今度は直人さんに抱きしめられた。
「よ。。よかった、目を覚ましてくれて」と直人さんが震える声でいう。
「直人、どっちかというとお前の方が重症だろう。そこら中にヒビが入ってるし。ミキはケガ1つしてないじゃないか?」
よく見ると直人さんはいろんな所に包帯が
巻かれ、足は何かで固定されている。
「い。。今、治癒魔法を」
「ミキ、目覚めたばかりで無理しちゃダメだろう。俺は大丈夫だから」と直人さんが私の頬を撫でる。
「俺はアイラの為のマイマイをアイテムボックスに入れてくる。その後先に帰るからな」と言ってジョンさんは部屋から出て行った。
「ここは何処ですか?」
「辺境地にある治癒院だよ。外傷とかはないみたいだけど、痛い所はない?」と直人さんは私の頭や手を触って、怪我がないか確かめている。
「私、ワイバーンに捕まって、屋根から落ちそうになった所までは覚えているんですが。直人さんは何で屋根の上にいたんですか?」
「俺は光の糸を追ってあの屋敷に着いたら、ミキがワイバーンに掴まれて屋根にいるのが見えてな。一緒に来た騎士のイアンが風魔法を使えるので、屋根まで後ろから風で押してもらって屋根まで登ったんだ」
「でも私達、屋根から落ちましたよね」
「ああ、俺は反重力の魔石を持ってたろ。あの高さじゃ完全浮遊は無理だと思ったけど、ある程度は抑えられるかと思って。ダメなら俺がクッションになればいいと思って。全くの無傷とは行かなかったが、イアンが残りの魔力を使って風魔法を出してくれたのと、、、、ミキもお守り人形持ってたんだな」
直人さんは直人さん人形を握り締めてる。
ちょっと待ってそれ。。。
「まさか、キャミソールに縫い付けてるとは思わなかったけど」
「そうなんですよ。。聖女服ってポケットなくてって!!!!なんで直人さんが私のキャミソール(人形付き)を握りしめてるんですか!!」と枕を直人さんに投げつける。
「いってええ、俺じゃない。看護士さんがミキを着替えさせる時に。これに俺みたいな人形がって、すごい目で見ながら渡してきたんだよ」
「ご。。ごめんなさい。でもその後ワイバーンはどうなったんですか?」
「結局、ワイバーンの発生地はあの侯爵家だったんだよ。野生のワイバーンを集めて、卵を産ませてたんだ。俺とイアンは討伐隊と別行動してたんだが、結局はここに辿りついて、地面で動けなくなった俺達を攻撃しようとしたワイバーンはカトリーヌが倒してくれた。騎士団の連中はあの女達を拘束した」
私はベットの上でドヤ顔をしているカトリーヌちゃんを抱きしめ、いっぱい撫でてあげた。
「カトリーヌちゃん、ありがとう!!命の恩人」
カトリーヌちゃんは尻尾をブンブン振っている。そして、直人さんに一回吠えて、ベットから飛び降りて、部屋から出て行った。
直人さんは少し真剣な顔をしてから、私の手を握って、私の目を見つめた。
「カトリーヌから部屋に帰ってくる時、泣いていたって聞いたけど、それは俺が原因なのかな?」
「。。。。。、私聞いちゃったんです。直人さんが、世話をするのが減るし、結構面倒くさいから。アランさんも幸せなら、丁度良いって言ってるの。遠征中もあまり話しかけてくれなかったし、私の事言ってるんだと思ってたんですけど。。。。」
「それはカトリーヌの事で、ミキの事じゃない!!」
私はびっくりして顔を伏せてしまった。直人さんの顔が見られない。
「ミキ。。顔を上げて」
「やだ、絶対今変な顔してるから」
「ごめんな、団長がアイラさん不足で、最高にイラついてるから、ミキとイチャイチャするのはやめてくれって騎士団全員に泣きつかれて」
「え?イチャイチャなんかしてません!」
直人さんは、私の顔にぐいっと顔を近づけて。
「俺がしたかったんだよ。前の世界の時からずっとしたかった。ミキ、俺はお前の事がずっと好きだったんだ。これからもずっとな」
やっと言えました。




