早すぎる国の危機
最後まで書き切ってから投稿したかったので、偉く時間がかかってしまいました。前作を読まなくても、話は通じますが。読んだ方がわかりやすいと思います。
目を開けると、そこには甲冑をつけた人達がずらっと並び。真ん中にはキラキラした、いかにも王子様って人がいた。しかし、美しい顔には似合わない困惑した表情だ。
「こ。。これは一体どういうことなんだ?誰がこの国を救うのだ?」
誰が??
私はゆっくり王子の目線の先を見る。
私が左端
真ん中にわんこを連れたスーツのお兄さん
右端にはおばあちゃん
2人ともあの数字が書いてあるコンビニの袋を持っている。
そういえばさっきこの人達、私のレジに並んでたわ。
うちのお店の常連さんだし。
わんこのお散歩ついでにほぼ毎朝寄ってくれる、豆乳ドリンクさんと一人暮らしだから小分けパックの野菜を買っていくおばあちゃん。
私は平日は学校に行く前に早朝バイトをしているので、週末以外はほぼ会う。
王子様も困惑しているが、私達も突然な事で誰も動けない。
「あの街はずれに住んでいる夫婦を呼んでこい。探し物屋と黒騎士団団長夫婦を!!」と王子様が言うと、お付きの人が足早に去っていった。
「お前達は。。。、とりあえず私の執務室へ」
よくわからないけど、私たちは王子様についていく事にした。おばあちゃんは、私ボケちゃった?と悩んでいたので、励ましながら一緒に行く。
スーツのお兄さんも無言だが、ワンコはとても張り切っている。
執務室と呼ばれる場所は、なんだろう。すごく豪華だった。
そこにコンビニユニフォーム姿の私は超絶似合わなかった。
「皆様、遠路はるばるお越し頂き感謝する。私はこのロウレン国の王太子イグニアス・ロウレンだ。今回は国の一大事に対処するために、聖女召喚の儀を行ったのだが、何故か3人もいらしてしまった。今、どなたが聖なる力を持つのか、この国で唯一、鑑定ができる人物を呼びにいっている。申し訳ないが、こちらで待機して頂きたい」
「「「はあ?」」」
よくわからないが、ここにいるらしい。
「すまないが、私は国王に報告があるので一旦席を外す。もし必要なものがあれば、そこに控えているメイドに」と言って、足早に部屋を出ていった。
残された私達とメイドさん。
「あの、何か飲み物を頂いてもいいですか?」と私が言うと。
「紅茶でよろしいでしょうか?すぐにお持ちします」と部屋から出ていった。
「「「。。。。。。」」」
スーツのお兄さんが
「と。。とりあえず自己紹介しますか?私は渡辺直人、23歳。ゲーム会社の営業をしています。こっちは柴犬のカトリーヌです」
カ。。カトリーヌ?
するとおばあちゃんが
「汐田雅代です。今年で68歳になります」とぺこっと頭を下げた。
2人が私をじっと見る。
「あ、山本ミキ17歳です。高校3年なんですが、推薦で大学が決まっているのであのコンビニで早朝もバイトをしてます。あそこで働いて3年目です。いつもご利用頂きありがとうございます。ミキって呼んでください」
「じゃあ俺のことも直人って呼んでくれ」
「私も雅代と」
カトリーヌちゃんが私の手をペロペロ舐めている。可愛い。
「で。。。これはどう考えても。。。」直人さんが困ったように言う。
「ですよね。。あれですね」と私も周りを見回して言う。
雅代さんは、なんだろうと言う顔をしている。
「「異世界転移」」
私達が同時にいった時にドアが開いた。
金髪に緑の目で黒い制服を着ているイケメンと日本人ぽい顔の妊婦さん。
私達が呆然としていると、メイドさんがお茶を持ってやってきた。
「クロード騎士団長様と奥様の分もお茶をご用意しますか?」
「いや、大丈夫だ。ちょっと俺たちだけで話したいので席を外せ。殿下は何処だ?」
「陛下とお話があると、席を外されています」
「そうか、ちょうど良い」そう言ってクロードと呼ばれた人はドアを閉め、鍵をかける。
「すまんな、ちょっと驚かせるぞ。俺は仕事以外ではジョンと呼ばれてる」
その人は首にかけてたネックレスを外すと髪が黒くなり、目の色も青に変わった。
「おい、ポンコツ女神いるんだろ。出てこい」と怒鳴ると。
ピンクの髪の女の人が空中に浮かんでる。
「ひい、幽霊!!」雅代は何か拝み始めた。
すると妊婦さんは雅代さんに近寄り、背中を撫でている。
「大丈夫ですよー、フィレーナさんはどちらかと言うと神様に近い人なので」
「ポンコツすぎて悪霊に近いぞ」とジョンさんが呟いている。
「初めまして、私はアイラと申します。私も2年前にこの世界に転移してきました」
アイラさん。。何処かで見たなあ。
2年前か。
「あーーーーー行方不明のレモンサワーの人!!」
レモンサワーを沢山買った後、行方不明になった人で。警察がセキュリティテープを見せてくれってきたから、よく覚えている。
「あら、あの時レジにいた高校生?」
「で、俺達はなんでここにいるんですか?」と直人さんが言う。
「それは。。。こいつに聞かないとな、フィレーナ、どうなってるんだよ??」
フィレーナさんはふよふよ降りて来て、ソファに座った。
「え。。えっとですね。最近この国の北にある国境の辺境地で、ワイバーンって魔物が発生しているの知ってる?」
「ああ、俺も討伐遠征で何度か行ってるが、最近は特に多いな」
「実は、そこでワイバーンの大量発生が続き。もう騎士団だけでは防ぎきれなさそうになってまして。国をあげて聖女を召喚し、ワイバーンの群れを全て討伐をしようと会議で決まったみたいです」
「おい、お前は前に100年はこの国は平和とか言ってたよな」
「ええ。。そのはずで、私もまだ時間あるなーと思って、その。。準備が終わってなくて」
「なんの準備だよ」
「その。。この世界に聖女がまだ生まれてません。今から仕込んでも、おそらくこの国が滅亡した後に生まれる事になっちゃうので。困っちゃいますね」とフィレーナさんはヘラっと笑う。
あ。。ジョンさんが般若の顔になってる。
「俺の子供が生まれる前に、国が滅亡とかふざけんなよ」
「あ、だからもう生まれている方で異世界から聖女ポテンシャルがある方をお呼びして、加護を多めにつけようかと思いまして。。。でもこんなに来るはずはなかったんですけど」
とフィレーナさんが私達をチラッと見る。
「またお前は、なんでピンポイントで転移させられないんだよ!アイラだってレモンサワーのおまけだったじゃないか!」ジョンさんは顔が真っ赤になっている。酸欠にならないか心配だ。
「で。。誰なんだよ、この中で聖女になるのは?この女の子か?」と私をみる。
まあ聖女ポテンシャルありそうなの私ですよね。
「分かりません!!!」
「何ひらき直ってるんだよ。なんでわからないんだ?」
「それがわかってたら、ピンポイントで聖女さんだけをお呼びしてます。わからなかったから、こうなっているわけで」
「アイラ。。俺は頭が痛くなって来た。あとは頼んだ」とジョンさんはギブアップした。
「フィレーナさん、私が鑑定をすればわかりますかね?」とアイラさんが言うと。
フィレーナさんが、手をぽんと叩いて
「その手があったわね」と喜んでいる。
「では皆さん、私はこれから皆さんの名前、年齢、職業、探しているものを見ます、私とフィレーナさんにしか見えませんから安心してくださいね、鑑定」とアイラさんがいった。
そしてアイラさんがキョロキョロしている。
「直人さんは会社員、雅代さんは定年退職、ミキちゃんは学生さん。。。あ、いました。年齢5歳、職業:聖女、探し物:ハートのクッション。。。えっと、カトリーヌさんってどなたですか?」
ジョンさんの名前がこんがらがりそうになりますが、基本的に黒髪の時はジョンで、金髪の時はクロードです。




