6 ◇不信感しかない終結
6 ◇不信感しかない終結
そして、ちゃんと正論を発言できず焦って明後日な発言をした
尊(踊り初心者なのに後にリーダーに抜擢される)が、
竜星(踊りがそこそこ上手い)と俊樹(竜星と仲がよい+踊り初心者で苦手)から
責められてこの問題は終結した。
他のメンバーで誰一人として尊を庇う人間もいなかった。
夏目(CEO)も仲裁には出てこなかった。
私としては、竜星を諫めてほしかった。
代理のリーダーを決めた者としても、それからその乱暴な人としての
有り得ない行為についても。
私はこの点にも、夏目に対して正直不信感がぬぐえなかった。
何故なのか、誰も彼も尊を擁護しなかった。
だって、昴(最年少の中学生+踊りがめちゃくちゃ上手い)の意見に
同意したのはみんなもでしょ?
決めたのはメンバー全員なのに、責められたのは……責められるターゲットに
されたのは尊ただ1人。
たぶんこの時の均衡では……尊は不合格になる可能性がこのメンバーの中で
誰よりも高かったからである。
彼は踊りができないというのがネックでそれゆえ、昴の言いなりにならざるを
得なかったわけで、またそのために自分だけが責めを受け、悲しい想いを
したのである。
見る者が見れば、自ずと見えて来るその場に居た者たちの縮図。
私は思った。
あの煽りまくったTVのスタッフ……
自分で抗議せずに要領よく竜星に怒鳴り込ませた俊樹……
あんたたちはクズ。
尊を擁護せず、見放した人間たちもどうなんだろうね。
まぁ、一番のクズは佐藤竜星(踊りがそこそこ上手い)なわけなんだけども。
だが、この男、画面のこちら側から見ていると石田俊樹とTVスタッフに
完全に踊らされた感が否めない。
俊樹がどんなふうに一連の経緯を竜星に伝えていたのか、その伝え方にも
興味はあるが、一生俊樹と竜星以外には知る由もない……のが残念だ。
そしてやはりというか、その後、伏見尊は不合格となる。
数日間その後もオーディションは続き、最終日合格者が次々と決まっていった。




