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第一章 夢

この話はフィクションであり

実在する団体とは無関係です。





更新は不定期です。

 目の前で水が揺らいでいる。

まるで水中から水面を見上げているかのようだ。

見上げた水面には東京の排気ガスで汚れた街並みが映っている。

そこで小麦色の髪をした少女が胸まで届きそうな髪を風になびかせながら走っていた。

あわてていたようで靴も履かず靴下ではしっていた。

 少女の後ろには、極道と思われる男が迫っていた。

そしてその男は少女の手首をつかみ、ビルとビルの間の裏道へと連れ込んでいた。

少女は、あきらめたようにおとなしく男について行った。

 不意に少女が男に話しかけた。

 「私、どうしてもあそこ(・・・)が嫌いなの。やっぱり戻らなくちゃだめ?」

 男は、少女に目線を合わせてしゃがんだ。

悲しそうなしかめっ面をして答えた。

 「お嬢、私はお嬢の味方なんだがねぇ……今は極力お家門の内側にいる方が安全なんだよ

また誘拐されたり拷問されるのはイヤなんだろう?」

 少女は仕方がないというふうにため息をした。

 「分かったわ。鈴木、お家へ帰る。でもまたお父様から怒られちゃう」

 鈴木と呼ばれた男はやさしく少女の手を取り歩き出した。

 「私となぎなたの稽古をしていたことにしましょう。それならば怒られますまい」

 「うん!」

 少女が夕暮れの街を歩き出したその時、

 アドトラックが2台車道に停車した。

 後ろの車から目だし帽をかぶった男が7人でてきて、

少女と男を襲った。

 「お嬢、逃げてください!」

 男は叫び、アドトラックから出てきた男に襲いかかった。

 そのすきに逃げようとした少女を前の車から出てきた2人の男がつかまえ

車に乗り込み逃走していった………………………………………………………………………………………


                   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 才姫(さいき)はベッドから飛び起きた。

あまりにも夢がリアルすぎたからである。才姫は肩で荒い息をした。

まるで全力疾走した後のようだった。

 目覚まし時計を探して時刻を確認すると、まだ4時であった。

今のは、何だったのだろうか………そう考えると少女の安否が気になってきた。

 バカだなぁ。ただの夢なのに。あ、でも今すぐ寝たら夢の続きが見れるかも。

そう思い布団にもぐりこみ寝ようとする。



 「才姫、遅刻遅刻したいのぉ?お母さんしらないよー」

 あ、やばっ。

時計を見ると今は7時45分。あと15分以内に家を出ないと遅刻するっ!

 階段を駆け下りながら寝ぐせを直し、朝ごはんとして準備されていたピザトーストを

口に突っ込んだ。

 ふとテレビの方を向くと誘拐事件についてやっていた。

  <昨日、六時ごろ松下 彩華ちゃんがI街で誘拐されました。今のところ何も要求がないまま

9時間が経過しようとしています。〉

 私はおどろいて口の中にあったものを詰まらせかけた。

 え、あのテレビに映っている子私の夢に出てきた子じゃない!!



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