表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』  作者: 焼豚の神!
第2章:『雷牙の狩場 ―覇雷獅王との邂逅―』
96/127

第71話 「黒雷絶界――絶望を裂く無銘なる者たち」

お疲れ様です!


さあさあ、【影葬の追跡シャドウ・レクイエム】も佳境ッ!


エンジン全開で戦いに挑んでいる【無銘の牙」たち!!


彼らの戦いもついに終盤戦へと向かっています!


「影葬の追跡シャドウ・レクイエム」開始そうそうお互いで高度な知能戦が繰り広げられております!


二の牙の挑発に乗らず、【無銘の牙】の面々はやつを出し抜くことができるのか!!!


彼らがどこまで「一の牙」&「二の牙」に己の牙を突き立てることができるのか!!!


こうご期待ください!!!


また、頭の中でイメージしながら読み進めると物語とシンクロして面白いですよ(^^♪


最弱と呼ばれた従魔たちがどこまで進化するのか――


牙の刻が、これからも続いていきます!

黒雷の轟きが大地を裂き、空に稲光の軌跡を描く。


その中心で、二の牙――《忘逆の魔影》の巨躯が揺れ、四肢が大地を抉るたびに衝撃波が周囲を破壊する。


彼の瞳は雷のごとく輝き、呼吸するたびに黒い稲光が毛皮を駆け巡った。



「──我が全力を以て、牙を試すのみ」

低く、重く、しかし戦場に震える言霊が響く。

その声と共に、雷嵐は頂点に達し、砂塵と轟音が荒野全体を飲み込む。


その瞬間――後方の荒野から一の牙、ヴァルグ・ゼオグレインが姿を現す。

伝説の獣、神話級の牙として知られる彼もまた、全力を解き放つ時が来たのだ。


巨大な狼の姿に変貌し、胸元から黒き雷雲を引き連れ、咆哮と共に地面を震わせる。


「無銘の牙よ、終焉までまもなくだ!その幾ばくも無い時間の中で、さあ我らとの饗宴を楽しもうぞ!!……ゆえに、全力で我らに挑め!」


ヴァルグの咆哮が二の牙の黒雷と重なり、荒野全体が文字通り裂けるかのような轟音に包まれた。





◆ ◆ ◆




黒雷と稲妻の嵐が交錯し、ナナシ率いる無銘の牙は文字通り押し潰されんばかりの圧力を受ける。

振り回す剣は稲光に阻まれ、プルリの吸雷膜も限界を迎え、膨張するスライムが引き裂かれそうになる。


ミミの短剣は雷撃に弾かれ、ルルカの炎槍は黒雷に焼き尽くされる。



「……ぐっ、これが……一の牙と二の牙の全力……!」

ナナシは息を切らし、何とか足を踏み留めながらも、雷嵐が放つ圧倒的威圧に心が揺れる。


二の牙の黒雷は、単なる攻撃ではない。

心理を揺さぶる嵐である。嵐の中に一つ一つ己のトラウマを想起させる恐怖の風が吹く狂気を孕んでいる暴風は、恐怖そのものだった。


その圧倒的存在感が、仲間の心に直接影を落とす。


そして、ヴァルグの全力咆哮は、物理の衝撃に加え、精神の圧迫も兼ねる。

牙としての経験、圧倒的な力、そして伝説の威光。

無銘の牙たちは、あらゆる感覚で絶望の重圧を感じ取る。




それでも、無銘の牙たちは諦めない。

プルリは身体を震わせながらも、仲間の顔を思い浮かべる。


「……ここで怯むわけにはいかないの……みんなを……守るよ……あとはみんなで勝ち切るだけだもん!あとちょっと耐えてみせるよッ!!」

吸雷膜を最大限に張り、黒雷の奔流を少しずつ緩める。


ルルカは瞳を爛々と輝かせ、絶望の黒雷に炎を打ち込み続ける。


「一瞬の隙でも……逃さない……!」

炎槍が炸裂するたび、二の牙の毛皮に小さな焦げ痕を刻む。


ミミは踏み込み、短剣を地面に叩きつけながら回避と反撃を繰り返す。


「このまま押し潰されるなんて……ありえない!」

彼女の血吼迅牙が、黒雷の流れの隙間に突き刺さり、微かな衝撃を二の牙に与えた。


ナナシは仲間の動きに合わせ、全力で剣を振るう。


「今だ、チャンスを掴むッ!」

幻牙連斬が雷の奔流を裂き、黒い嵐に小さな裂け目を生む。


その瞬間――

小さな光の隙間が生まれ、仲間たちの心に希望の火が灯る。


「……まだ、終わっていない……!」

声にならない叫びが、雷嵐の中で反響した。


荒野を揺るがす黒雷の轟音は、依然として無銘の牙たちを押し潰そうとしていた。


地面は裂け、空は黒雲に覆われ、二の牙《黒雷》と一の牙《白雷》の最強布陣は、文字通り隙が見えない絶望を生み出していた。


だが――その中に、微かな違和感が忍び寄る。

プルリの体内で吸収された黒雷が、逆に小さな光の粒を生み出していたのだ。


「……ん……!? これ……!」

彼女は驚きとともに、体内で雷の奔流を制御し、ほんのわずかに自分の力として返すことに成功していた。


「プルリ……?」

ナナシの声が耳元で響く。彼は瞬間的に状況を理解する。


「なるほど……雷の奔流を返せる……か……!」


ルルカも炎槍をさらに高温化させ、黒雷との干渉を狙う。


「黒雷と白雷……そして嵐と炎。一瞬でも噛み合えば……!」

一瞬の軌跡の中で、二の牙の背筋に微かな焦りが走る。


ミミは短剣を交差させつつ、地面を蹴って跳躍する。


「この隙を……絶対に見逃さないッ!」

血吼迅牙が雷嵐の隙間を突き、二の牙の黒雷を部分的に跳ね返す。


ナナシは仲間と視線を交わし、静かに心の中で決意を固める。


「ここまで……来た……俺たちは……まだ折れない……!」

剣を握る手に力を込め、心の底から雷嵐を迎え撃つ覚悟を燃やす。





◆ ◆ ◆





黒雷の奔流に混ざる微かな光、炎と雷の干渉、仲間の協力……

それらが絶妙なタイミングで重なり、戦場の空気にわずかな“隙”が生まれた。


二の牙の瞳が一瞬揺れる。


「……何だ……? 我の結界が?!……牙ども何をした……!!」

普段は冷徹なその瞳に、かすかな動揺が垣間見える。


ヴァルグもまた、背後で雷嵐を操り続ける中で微細な感覚の変化を察知する。


「クカカカカ♬……よいぞ、良いぞ!無銘の牙たち、どこまで我を楽しませてくれるのだ!……こんな濃密で楽しい饗宴は初めてだ!!実にいいッ♬」



その威圧の中に、微かな違和感が生じる――まさに、心理戦の余波である。


ナナシは一歩前に出る。


「……今だッ!」

彼の剣先が光を纏い、仲間たちと連動した攻撃が、雷嵐の隙間に突き刺さる。


プルリが吸収した黒雷を解放し、逆流する雷の奔流が二の牙を直撃する。


「……ぐッ……!」

黒雷を操る二の牙も、予想外の反撃に体勢を崩す。


ルルカの炎槍が炸裂し、黒雷の奔流を分断する。

ミミの短剣が連撃で二の牙の足元を削る。

四方八方からの多重攻撃で、わずかな“隙”が拡大していく。




二の牙《忘逆の魔影》は咆哮し、黒雷を纏った巨体で突進する。


「……甘く見るな、無銘の牙ども……!」


しかし、その雷嵐の中にも、逆流した光の奔流と仲間の連携が食い込む。

ボアの蹄が地面を蹴るたび、衝撃波と共にナナシたちはひるむ。

だが、ナナシは仲間に指示を出す。


「避けろ……そして攻撃を重ねろッ!」


スライムのプルリは柔軟な身体で雷の奔流を避け、逆流させながら二の牙の下半身に絡みつく。


「……この……少しは止まれ~~~!」

黒雷が暴れながらも、プルリの攻撃は絶妙に軌道を変え、二の牙のバランスを微妙に崩す。


コボルトのミミは俊敏な身のこなしで跳躍し、背後から短剣で攻撃を重ねる。

ルルカは炎槍を操り、雷嵐の奔流に小さな火の渦を生み、黒雷の流れを断絶する。


ナナシは剣を振り下ろし、雷と炎の干渉点を突く。


「今……一気に畳みかける!」


黒雷の奔流の中で、仲間の連携攻撃が二の牙の巨躯を押し戻す。

雷光が一瞬、揺らぎ、黒雷の奔流の暴力が少しだけ弱まった。




戦場に生まれた微かな隙。

絶望の布陣に亀裂が入り、心理戦と連携攻撃が交錯する瞬間。


二の牙《忘逆の魔影》の眼光がわずかに焦りを見せる。


「……何……この牙ども……」

ヴァルグも後方で微細な表情を浮かべる。


ナナシと無銘の牙たちは、互いに視線を交わす。


「「「「……ここだ!!……全力で叩き込むッ……!」」」」

彼らの心に、小さな希望の火が灯る。


荒野を裂く黒雷の中で、仲間の連携攻撃が光を生む。


これが、最終決戦への布石――

絶望の嵐に逆らう小さな光が、未来を切り開く序章であることを、戦場全体が告げていた。



――続く――



ここまでお読みいただきありがとうございます!


さらに加速する“牙の伝説”をどうぞお楽しみに!


次話の投稿は、明日夕方17時10分の予定です!('ω')ノ


引き続き『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』

略して『ナナクラ』をよろしくお願いいたします(^^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ