第70話 「絶望を裂く光――幻牙連斬」
お疲れ様です!
さあさあ、【影葬の追跡】も佳境ッ!
エンジン全開で戦いに挑んでいる【無銘の牙」たち!!
彼らの戦いもついに終盤戦へと向かっています!
「影葬の追跡」開始そうそうお互いで高度な知能戦が繰り広げられております!
二の牙の挑発に乗らず、【無銘の牙】の面々はやつを出し抜くことができるのか!!!
彼らがどこまで「一の牙」&「二の牙」に己の牙を突き立てることができるのか!!!
こうご期待ください!!!
また、頭の中でイメージしながら読み進めると物語とシンクロして面白いですよ(^^♪
最弱と呼ばれた従魔たちがどこまで進化するのか――
牙の刻が、これからも続いていきます!
雷鳴と暴嵐が荒野を引き裂き、砂と岩を粉砕する。
空は裂け、地は焼け、世界そのものが二つの牙に呑み込まれていくようだ。
だが――その嵐の只中で、無銘の牙たちは立っていた。
誰一人として膝を屈さない。
ナナシ、ルルカ、ミミ、プルリ――それぞれの瞳は、恐怖や痛みに歪みながらも、爛々と輝き続けていた。
「ルルカ、右へ! ミミ、前に出ろ! プルリは後衛から支援!」
ナナシの声は雷鳴に掻き消されそうになる。
だが、その一言は叫びではなく――生き抜くための誓いとして、仲間の胸に深く刻まれた。
◆ ◆ ◆
「ハァァァッ――!」
焦げた鱗、裂ける尾、焼ける肺。
だが彼女は止まらない。紅蓮の息を吐くも、黒雷はそれを裂き、霧散させた。
普通なら心が折れる。
だがルルカは思い返していた。孤独な竜の末裔として過ごした日々を。
今は違う。仲間がいる。背中を預けられる者たちがいる。
「《火穿槍牙》ッ!」
鉤爪を大地に叩きつけ、赤黒き岩槍を連続で突き上げる。
雷に呑まれ溶ける槍もあったが、数本は嵐の隙間を抜け、二の牙の巨体に焼痕を刻んだ。
「みんな効いてるよッ……! やれる……まだやれるよ……!」
恐怖に負けず、ルルカの笑みは仲間と共に抗う誇りの証となった。
「うりぁぁぁッッ!!」
小さな体で雷鳴を裂き、地を駆ける。
稲光が炸裂し、鼓膜が破れそうになる。足裏は焦げ、骨まで熱が走る。
それでも彼女は走った。
かつて群れで“弱い犬”と笑われた日々。
今は違う。ここで踏みとどまらなければ、仲間が死ぬ。
短剣に自らの血を塗り込み、吠えるように叫ぶ。
「《血吼迅牙》!!」
疾風のごとき突進が黒雷の障壁を穿ち、二の牙へ迫る。
稲光が体を貫き、衣服を焦がす。全身が痺れて視界は白に染まる。
それでも、仲間のために刃を突き立てた。
「どうだッ!」
分厚い毛並みに弾かれた刃。だが、黒雷を乱すことには成功した。
たとえ一瞬でも、仲間のために嵐を裂けたのだ。
「ぷるるるるぅぅぅぅッ!」
稲光に直撃され、体が弾け飛ぶ。
ゼリー状の欠片は飛散し、焦げた土に溶け落ちる。
だがプルリは必死に集まり、再生を繰り返す。
“痛み”を感じることはないはずだが、仲間が焼かれるのを見る胸の痛みは確かにあった。
それこそが自分の“心”だと知る。
「ご主人様ッ……今のうちに……!」
声にならぬ震えを必死に響かせ、透明な膜を広げる。
「《吸雷陣膜》!」
無数の稲光を吸収して体内へ拡散。嵐の奔流がわずかに弱まり、仲間の視界が開けた。
仲間が繋いだ、一瞬の光。
その隙を見逃すわけにはいかない。
全身は痺れ、やけどや裂傷は幾重にも増えている。
剣を握る手は焼け爛れている。
だがナナシは前を見据えた。
“俺たちは無銘の牙。
まだ、何者でもなく、名もなき存在だからこそ、退くわけにはいかない。”
「《幻牙連斬》――ッ!」
幾重にも煌めく剣閃が嵐を切り裂き、雷光と暴風を二つに割ったその狭間を駆け抜ける。
恐怖も痛みも関係ない。
前へ――仲間と共に勝利を掴むために。
――続く――
ここまでお読みいただきありがとうございます!
さらに加速する“牙の伝説”をどうぞお楽しみに!
次話の投稿は、明日夕方17時10分の予定です!('ω')ノ
引き続き『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』
略して『ナナクラ』をよろしくお願いいたします(^^)/