第57話 「《影葬の追跡・影獣の狂宴》――一の牙の真なる遊戯」
お疲れ様です!
「影葬の追跡」開始そうそうお互いで高度な知能戦が繰り広げられております!
二の牙の挑発に乗らず、【無銘の牙】の面々はやつを出し抜くことができるのか!!!
彼らがどこまで「一の牙」&「二の牙」に己の牙を突き立てることができるのか!!!
こうご期待ください!!!
また、頭の中でイメージしながら読み進めると物語とシンクロして面白いですよ(^^♪
最弱と呼ばれた従魔たちがどこまで進化するのか――
牙の刻が、これからも続いていきます!
影狼の群れが次々と切り伏せられ、結界の空気がわずかに浄化される。
その瞬間――戦場を俯瞰していたヴァルグ・ゼオグレインが、愉悦に満ちた笑声を上げた。
「クカカカ! 狼の牙を噛み返すか……面白ェ!!」
その声は轟きとなって結界全体に響き渡る。
彼の掌が影を掬うように動くと、瘴気が渦を巻き、狼の影が解体されていく。
影は泥のように地に滴り落ち、そこから新たな形をとり始めた。
影の大地が揺れる。
一の牙ヴァルグ・ゼオグレインは、愉悦に満ちた嗤いを漏らす。
「クカカ……良いぞ、無銘の牙よ。ならば見せてやろう。我が影の深淵を……!」
彼が両腕を広げ、喉の奥から呪詛のような言霊を吐き出す。
「──《影よ這い出でよ、獣を呑み、骸を孕め。
吠えろ、這い回れ、砕き喰らえ!
今こそ解き放たれん、我が眷属よ──
《影獣解放》!」
地面に走る黒い亀裂が、まるで無数の口のように開いた。
そこから這い出すのは、狼だけではない。
醜悪な影のゴブリンが武器を振りかざし、オークの巨影が咆哮し、
さらに山を揺らすほどの巨大なボアの影が大地を踏みしめる。
影の軍勢が、濁流のように無銘の牙を取り囲んでいく。
「フハハハハ! 遊戯の場は広がった! 狼どころか、群れも軍も、我が影と化す!
さぁ、もっと噛みつけ! その牙で、この影の海を泳ぎきれるかぁ!?」
影の咆哮が大地を震わせる中、ナナシの瞳が静かに燃え上がる。
「……いいじゃないか。牙に牙を、群れに群れを。望むところだ、ヴァルグ。」
「どうだ、二の牙よ! これぞ我が影獣の遊戯場! クカカ、退屈など一欠片もねェ!」
ヴァルグは血走った目で戦場を舐め回すように見渡し、牙を剥き出しにする。
結界そのものが呻くように震え、影狼たちの咆哮に混じって、ゴブリンの嘲笑、オークの轟き、ボアの突進音が重なり合う。
戦場はもはや獣道ではなく、影の軍勢がうごめく「戦場迷宮」へと変貌した。
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ナナシは剣を握りしめたまま、その異様な光景を見据える。
「……狼だけじゃねぇ、今度は軍勢か」
声は低く、しかし眼光は燃え立つように鋭い。
プルリの体から光が激しく脈動し、触手が硬直する。
「……数が、桁違い……だけど……止めなきゃ!」
ルルカは尾を叩き、振動で敵の密度を探る。
「狼の足音だけじゃない……! 大きな足跡が混じってる!」
ミミの耳が震え、雷紋の配置を即座に組み直す。
「……囲んで来る……! でも、来るなら……みんなでやっつけるだけ!」
彼らの背に赤黒い月光が差し込み、戦場はさらなる修羅場へと変わっていく。
闇の奥で、それを見ていた二の牙は小さく鼻を鳴らした。
「……やはりヴァルグ。遊戯を広げすぎだ」
しかし、その声は苛立ちではなく、愉快そうな色を帯びている。
「フン。だが……これならば、奴らの牙がどこまで届くのか、試す価値はあるかもしれんな」
影狼、影ゴブリン、影オーク、影ボア――。
影の群れは怒涛の奔流となり、結界の奥底を埋め尽くして突撃を開始する。
ナナシは仲間へ一言。
「お前たち、こっからだぞ本番は。やれるな?……噛み返すぞ!どんな牙だろうと、俺たちの牙で切り裂く!!」
「「「がう!!!」」」
《無銘の牙》は構えを取り、月影の下で新たな連携の刃を研ぎ澄ませる。
――戦場はさらに広がり、牙と牙の宴は今、狂宴の幕を開けた。
――続く――
ここまでお読みいただきありがとうございます!
さらに加速する“牙の伝説”をどうぞお楽しみに!
次話の投稿は、明日夕方17時10分の予定です!('ω')ノ
引き続き『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』
略して『ナナクラ』をよろしくお願いいたします(^^)/